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異端の奇才 ビアズリー展

19世紀末に25歳の若さで夭折した芸術家、オーブリー・ビアズリーの作品展にイテキタ。2025年現在、三菱一号館美術館で開催されている「異端の奇才 ビアズリー展」だ。

ビアズリーの人物像なんかをワタシが書いてもなぁと思うので、シンプルな感想を。

妖艶で美しく、ある意味で変態的な才気を感じさせるビアズリー作品たち。耽美的で妖艶な曲線と緻密な装飾がほどこされた作品は、大胆な白と黒のコントラスト、それを効果的に演出する余白と構図によって、唯一無二の個性がグングン匂い立つ。そんな作品群の展示に心躍った。マア要するに良かった!

書籍ごとに作品がまとまっているのも、挿絵画家ならではのわかりやすさがある。つまり、時代性や精神・肉体的なコンディション、社会的な境遇なんかが、作品へどう影響してるかをつかみやすいのは、その時々の作品をまとめて観ることが出来るからだろう。

初期の作品である「アーサー王の死」に掲載された作品はみずみずしく、力強さ感じる。のちの作品にみれる妖艶さこそ控えめだけれど、本当に活き活きとした作品が多い。

「サロメ」から「イエローブック」、この最盛期の作品群にビアズリーの変態的な才能の爆発を感じることができる。挑発的な表現でオスカーワイルドを揶揄している様子は、絶頂期の彼の高揚感を表しているようだ。

そして、晩年の様々な規制の中にある抑圧的な画風は、爆発的な感情が身を潜めた反面、絵画表現としては緻密で繊細な作品へ変化していて、画家としての技術が円熟期を迎えていることを感じさせた。

最後に、個人的なナラティブとしては、ワタシの父の仕事部屋をわずかに思い出した。売れないイラストレーターだった父の部屋には、落書きみたいなイラストが時々落ちていたりして、そんな風景を思い出したし、そんな父もビアズリーに心動かされたりしたのかもな、なんて思ったな。

※参考
「異端の奇才 ビアズリー」

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