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名前のない贈り物

目立たない場所に咲く綺麗な花が優しく吹く風と踊ってその体を揺らしている

お婆ちゃんの腕の中で小さい子供が眠っている
ゆったりと歩く寝息の速度

校舎に跳ね返る野球少年たちの掛け声が青い空に吸い込まれていく

磨りガラスを抜けた西陽が輪郭のボヤけた光になって部屋を包む、夜の手前

団地のどこかの部屋から漏れるfmラジオ、背丈よりも高いひまわり、錆びれた自転車

深く吸い込んだ春の空気が眠気を誘う

日常の隙間に転がる誰かにとっては何でもない、でも確かな美しさを纏う時間のこと

そういう名前のない贈り物の一つ一つを大切に生きていきたい





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