【石丸伸二】フィーバーはいつまで続くのか
私が「政治家としての石丸伸二」を高く評価してないのは過去記事にも書いてきたし、今も変わらないスタンスである。
しかし世間では一部のファン(石丸信者)から根強く支持され続けていて、まだSNSで高いインプレッションを獲得できるアイコンとして重宝されているようである。この現象がいつまで続くのか考察したい。
一つの決定的な分岐点になりうるのは、2025年6月22日投開票の東京都議会議員選挙(定員127)だろう。
ここで石丸新党(再生の道)が惨敗すれば、流石に「もう石丸伸二を金銭的に支援するメリットは無い」と資金源が判断して手を切る可能性が高い。
そうなれば、もともと裕福な家庭(政治家を輩出できるほどのカバンを持つ)の生まれではない石丸伸二は政治活動を続けるのが困難になると思われる。
石丸伸二は、2020年の市長選出馬時に公費負担だと思い込んでいたポスターと新聞広告の経費が上限オーバーした自己負担分の約70万円を印刷業者へ支払うことを民事告訴されても拒否し続けたし、おそらく有力なパトロンがつく前の2023年12月に出演したYouTubeの番組では「選挙を金を使って優位に運ぼうなんてチート行為だ」と強烈に批判していた。これらの言動には良くも悪くも《金が無い人間の苦節》が滲み出ている。
よく見かけるものとして、「石丸伸二は東京都知事選でSNSを有効活用して票を伸ばした」というのが定説になってるけど、これは間違いである。確かにTwitterやTikTokやYouTubeで石丸伸二は多くのインプレッションを集める話題だったが、それだけで東京都民有権者165万票の説明はつかない。
同じ戦略を取ったひまそらあかね(11万票)や安野貴博(15万票)が2024年現在にインターネットの力だけで獲得できるリアルな票数だろう。選挙の三種の神器(地盤・看板・鞄)を使わなくても出来るのは、せいぜいここまでが限界なのだ。
では石丸伸二が2位に躍進できた最大の要因は、都知事選の直前に大手メディアが有力候補4人として地上波テレビで放送してくれたから、これにほぼ尽きる。別に政治とか興味ないけど、小池百合子はなんか嫌だし、蓮舫はもっと嫌だし、田母神俊雄は右翼のイメージがあるから怖そう…という一般人にとって石丸伸二は消去法でもっとも選びやすい駒だったからである。大手テレビ局が紹介するくらいだからきっと立派な人だろう、と考えるのが普通の人の感覚である。
そして『選挙の神様』である藤川晋之助が選挙活動を、人海戦術と街頭演説攻勢で大きく尽力してくれたことが非常に大きかった。街頭演説というのは場所の戦略的な選定から始まり、自治体への連絡や調整、そして当日の運営に至るまで、非常に多要素のノウハウを必要とする活動であり、ここに藤川晋之助のような熟練のコンサルタントは必要不可欠だった。
つまり結局のところ石丸伸二の躍進は、テレビと街頭演説という、それはもう昔ながらも昔ながら、完全なるオールドスタイルで、《浮動票という名の組織票》をゲットしたのが決め手だったのである。その最大のキーマンの一人だった藤川晋之助がたった一度の選挙で見放したのだから、もう石丸伸二が都知事選を奪るようなことは、たぶん起きないだろうと私は思う。
あとは資産家たちに、いつまで支援してもらえるのか、という問題になる。
石丸伸二が敗戦の弁で性根の悪そうな醜態を晒し、選挙や政治に興味がない一般人にまで「石丸構文」なる不名誉な造語が浸透してしまったのは記憶に新しいが、、、
最近は有力メディアにも、石丸伸二に批判的な記事が増えてきた。
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目立つようになると、問題行動も注目されるようになるのは当然で、石丸伸二もこの法則からは逃れられない。
少し政治を聞き齧ってるだけの人達や、一度はSNSでなんとなく乗せられた若者も、そろそろ違和感に気づく頃だと思われる。
2024年7月は知名度が低かったおかげで《何も知らない有権者》の票を集めることに成功したが、このままだと2回目以降はどんどん集客効果が下がっていく。
ただし一度は石丸伸二に強く共感して、信じ込んでしまった人達(信者)の多くは、自分のプライドを横に置いて、過去の自分を冷静に見つめることが出来るようになるまでにはもう少し時間が掛かる気がする。あるいは再生の道が大敗するとか象徴的な出来事が起きないと難しいかもしれない。
元信者の中には「石丸伸二の本質を見抜けなかった」と落ち込む人達も居るかもしれないけど、別にそれは恥ずかしいことではないと思うよ。いま頭良さそうな態度の老人でも、過去には小泉純一郎や民主党を的確に見抜けなかった人達がたくさん居るのだから。失敗から学ぶことが出来るのもまた人間の美徳である。
週刊文春の有料記事については、私は読んでないけど、まあ私は石丸伸二に関する事前知識がそこそこある方だし、読んだらしき人達のツイートから大体内容を推察することはできるかな。
石丸伸二 都知事選で重大疑惑《事務担当者は「こんなん捕まるぞ」》 | 週刊文春 電子版
— 暇空茜 (@himasoraakane) February 5, 2025
業者に依頼→キャンセルしました!キャンセル料全額払います!→キャンセルされた業者がボランティア笑で実行
頭いいなあライフハックじゃん
キャンセル料ならやりたい放題 https://t.co/fCiNTbLbAb
「業者に委託はしませんでした」
「でもお金を払ってますよね?」
「あ、それはキャンセル料金です。直前だったので全額支払で」
「へえ、そうですか、で、この人達は選挙に関わりましたか?」
「はい、ボランティアとして!」
そりゃ、やり方が完全に詐欺師のスキームだよ。(笑)
普通に、不正会計の扱いにできないのかな?
まあ本当の本当に、ここに書かれた通りに「キャンセル料という扱いにすれば違法にならないぞ」と悪質な会計処理をしたのか、それともマジで石丸陣営は頭が悪いだけのおっちょこちょいで「あ、ここで注文したら違法になってしまう、ごめんなさいキャンセルさせてください」だったのか(藤川晋之助がついててそんなこと起きるw?)は、おそらく資料からだけでは証拠不十分で特定できなくて、刑事告訴されてもたぶん無罪で逃げ切れそうな気はするけども。
でも、そういう「法の目を掻い潜る」のが一般的な詐欺師のやり方だし、まあ「詐欺まがい」だと批判されても仕方ないわね。
有料記事なので何が書いてあるのかは買わないと分からないけど、ぼくの言葉で要約するとこうです
— なる (@nalltama) February 5, 2025
選挙のライブを業者に発注
ヤバくね?と指摘されて発注キャンセル
ただしキャンセル料は100%
その業者がボランティアとしてライブしてくれる
まぁ誰が見てもアウトだけど
その程度で捕まるわけないよ https://t.co/QBjZsMNq3c
推定無罪の原則に従えば、良い弁護士をつければディフェンス成功できそうな気はする。
ただし信頼を売りにするはずの政治家としては失格に値する行為であり、リーガルでディフェンスできれば良いというものでもない。そもそも党利党略とか不透明なお金の流れとか、追求する立場で「政治屋の一掃」とか掲げていた人がやって良いことではないでしょ。(呆)
今回のキャンセル料金スキームは、まさに今後の選挙でも(他の候補者にも)公職選挙法の逃げ道として悪用されうるスキームなので、法改正が必要だとも思う。少なくともキャンセル料金を受け取った相手がそのあとでどのように選挙に関与したかまでは追跡調査して常識の範囲で考えて適正な罰則を課せるくらいにはなって欲しい。
(了)
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