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まるで映画のように4300万円を阿武町が回収した件

事実は小説よりも奇なり。

物語としてすごく面白い。

ハリウッド映画でありそうな展開。

▼まさかの国の税金徴収システムを活用!

文春オンラインの記事がよく纏まってて分かりやすかった。

文春の内容をさらに纏めると、

  • 田口さんには国民健康保険税の滞納があった。(数万円程度?)

  • 中山弁護士は、国税徴収法を根拠に決済代行業者の口座を差し押さえた。(行政は税金滞納者と委任関係にあるというだけで企業の口座を差し押さえできる。めちゃ強引だけど行政にはこういうチートスキル並の強権があるのだ!)

  • 決済代行業者は、法的に反論することもなく任意送金に応じた。

常識で考えてほしいんだけど、やっぱ強引だよね。(笑)

オンラインカジノの性質にもよりますが、本件が注目を浴び、探られることは、決済代行会社経由で数千万円を払ってでも避けたい状況だった可能性も否定できません。
もっとも今回の中山弁護士の「鬼手」には、実はリスクもあります。
というのも国税徴収法を使った差し押さえは、本来法律が想定している、滞納者の口座による滞納税の差し押さえとは本質的に前提を異にします。わずか数万円の滞納税差し押さえの建前で、実際には税金と関係ない第三者口座に存在する数千万円の資金を凍結する、というのは、かなり大胆な行動です。
決済代行業者の立場からすれば、「不当」という見方もできます。法的には、行政訴訟で不当な超過差し押さえについて争えば、帰趨は予想できなかったのではないでしょうか。
報道によれば代理人は「容疑者と業者は委任契約を結んでいて、公序良俗に反する取り引きをしていると判断した」としていますが、公序良俗違反というのは、個別具体的な法律での処理ができない場合にむしろやむを得ず使う理論であり、一筋縄で当てはめられる性質のものではありません。相当な反駁が考えられます。
そうしたリスクを踏まえたうえで、中山弁護士は、「決済代行業者は恐らく法的に反駁してこない」という点まで想定し、強気な方法に出ていると考えられます。

つまり中山弁護士は大きな賭けに出て、勝ったという感じね。

さらに毎日新聞には加えて、中山弁護士の根回しが紹介されていた。

  • 中山弁護士は、決済代行業者に送金した2銀行に「疑わしい取引」の届け出と「金融庁のガイドライン」に基づく対応を要請していた。(=国が決済代行業者とオンラインカジノを調査するように、銀行に申請してもらうように求めた)

分かるよね?

これは決済代行業者に対する脅しである。「おたくの取引先の男が税金滞納してたので、おたくの口座を凍結させてもらいました。そもそも誤送金で男に入った泡銭だったのはご存知ですよね。おたくの口座に阿武町のお金が入ってるんで、ここに支払いの書類を置いていきます。建前上、支払いは任意ですけど、払わなかったらアレコレ国の調査が入るかもしれませんよ」と。

それなのに、で記者会見では「いやーなぜか分からないが業者が満額を払ってきた」とスッとボケているので、これは相当なタヌキジジイだぞ。(笑)

決済代行業者とかオンラインカジノとか、どんな組織が運営に絡んでいるか分からないのに、かなり強気に出たもんだ。普通怖くて出来ないでしょう。冗談抜きで命が危険に晒されるレベルじゃね?

一方で、そんな中山弁護士には気になる特徴があった。

▼中山弁護士がマスクをつけない理由:

デイリー新潮の記事で「反マスク主義者か?」と煽っている箇所がある。

前半は普通に中山弁護士の手腕の解説だが、最後にこの話題が出てくる。

見事、阿武町を救ったヒーローになった中山氏であるが、24日の記者会見では、突飛なことを言い出して、「変な弁護士」とのレッテルも貼られたという。
「マスクをつけないで会見に臨んでいたのですが、いきなり話の途中で、『申し訳ありませんけれども、私はそういう義務に従うつもりがない。遵法精神がない、同調しないタイプの人間ですので』と断り出したので、ざわつきました」(地元記者)
これだけのことを成し遂げたのだから、多少の変人ぶりは目をつぶってもいいのかもしれない。

これ、地元記者の発言(引用)が一言一句正しいのかちょっと怪しい。仮にも弁護士の職に就く人物が、本当に「義務」や「遵法精神」という語句を使ったのだろうか。使ったとしたら中山弁護士なりのギャグだったのかもしれないが。

そもそもマスクをつける有効性については、感染症対策としては科学的な根拠に乏しく、法律で定められているものでもないので、もはやマナーとか慣習とかエチケットといった部類のものである。

つまり義務でも法律でもなく、ただの常識である。それなのに弁護士先生が「義務」だの「遵法精神」だのといった語句を用いるのだろうか。

私はこれは、決済代行業者やオンライカジノの裏側に潜む反社会的な勢力へのメッセージだと理解した。

マスクをつけないのは現代社会では「非常識」な行為だ。そして非常識なことをすれば批判を集めるのは当然だ。しかしマスク着用に関しては非常識なだけで他人に迷惑をかける具体例があるわけではない。私は映画館や公共交通機関や商業施設などでは「マスクを着用してください」とお願いされているから付き合っているだけで、本当にウイルス感染症の予防効果があるとは考えていない。もし警察がマスクを着用しない人を「マスクを着用しないという理由で」取り締まるなら、それは法的根拠があると言えるが、そんなものはない。(*日本には『マスク警察』という言葉があるが、彼らは後ろ盾になる法律があるわけではない点で、一般的な警察組織と根本的に異なる)

よって、中山弁護士が示しているのは、彼は常識にとらわれる人間ではないというメッセージであり、つまり「私には脅しは効かんぞ」と示唆しているのだと、私は読み取った。

これは私の勝手なイメージだが、オンラインカジノのような商売をしてるのは、本当のガチの反社会的団体というよりは、半グレの人達のような気がする。彼らの強みは、法律に書いてあることに違反することなく、一方で世間の常識という法律に書いてないことに対しては無頓着(ある種のバカ)になって、他人に付け込んで、旨みを吸い取ることである。(常識や良心があったら詐欺や犯罪はできない)

そうすると彼らにとって一番扱いにくいのは、カタギで頭が良い仕事をしてるのに、常識とかマナーの面で少し壊れてて頭がおかしい人達だろう。昭和を舞台にした任侠映画などでヤクザに取り入る汚い刑事なんかも、この手の人物である。だからこそ中山弁護士は、敢えて厄介な頑固ジジイをセルフプロデュースしている節があると私は読み取った。

まあ実際にかなり年齢の行ったジジイだし、それなりに裕福そうなので、自宅や移動では一定以上の安全が確保できて、また「本当に社会の正義につながることに貢献できるなら最悪殺されてもても構わない」くらいは肝が据わってそうである。(*マスクをつけることは科学的に効果が証明されていないので、彼の中では正義に含まれないのかと)

こういうクセが強すぎる人物なのも、また映画的エンタメ要素だよね。

▼このまま一件落着では済まないか?:

文春オンラインで追加で書かれたこちらによると、決済代行業者は阿武町に速攻で金を返したが、SNS全盛の現代社会でそんなことで収まるはずもなく、社会の後押しを受けて然るべき調査と摘発は始まるだろうとのこと。

まあ、そりゃそうだろうね。いや、知らんけど。正義という意味ではそうあってほしいとは思いつつも、これまで放置されてきた文脈も少なからずあると思うので、そんなにスンナリ上手く行くとも考えにくい。

ただ、少なくとも今回話題の当事者になった決済代行業者やオンラインカジノの責任者はすでに立場を追われるか、最悪の場合は消されている可能性もあるんじゃないかしら。マジで怖いわ。

あとは、今回はたまたま中山弁護士が頭の切れる男で、かつ田口さんに納税滞納の事実があったから、国税徴収法というスーパー裏技波動砲を使えたけれども、田口さんが阿武町と国に借金が無ければこの手は使えなかったわけで。このヒヤリハット感は凄まじい。

そもそも町長の捺印つきの振込依頼書で誤送金した阿武町にも、明らかに不審な支払先と金額であるにもかかわらず確認を怠った銀行にも、追求されるべき責任が大いに残っているわけで。

まあそこらへんはちゃんとしてほしいと願うわ。

了。

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