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娯楽と芸術の結晶クリストファー・ノーラン

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考察するのも楽しい映画作家ですよね。
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2024年4月の記事一覧

フェミニズムの文脈で観るオッペンハイマー

どうしても原爆の問題で注目されがちですが、フェミニズム映画としても語れる要素がある映画だと思います。 あくまで史実ベースの映画なので、大きなネタバレにはならないと思いますが、一部劇中のセリフを脚本から引用しますので、ご留意ください。 ▼オッペンハイマーの女性関係:まず、映画でオッペンハイマーと性的関係を持つ女性は3人とも強いです。 カリフォルニアの共産党員のパーティで強気に議論をふっかけてきて、セックスでは常に騎乗位だけ描かれるジーン・タトロック。彼女はツンデレだったり

【オッペンハイマー】35mm上映の感想

視力2.0の私の正直な感想です。 ▼結論:109シネマズプレミアム新宿の35mm上映を観覧しましたが、結論から言うと、映画オッペンハイマーに関しては、私にはあまり良くなかったです。 ▼詳しい感想:あくまで私個人の感想ですが、35mm上映はアナログ特有の温かみや揺らぎなど《味わい》こそあれど、オリジナルフィルムを8KデジタルスキャンしたIMAXレーザー(4K上映)の方が美麗で観やすいと感じました。 私は両目とも視力が2.0あるのですが、視力が高い人は日本のアナログ上映は不

【オッペンハイマー】日本語字幕批評:ラストのセリフ

#ネタバレ オッペンハイマーの最後のセリフに関して、石田泰子氏の日本語字幕を批評します。 ネタバレになるので映画を観てない人は読まないでください。 ▼文脈からのアプローチ:セリフ原文:I believe we did. 直訳:私達はそれをした、と私は信じています。 字幕:我々は破壊した。 まず字幕では「I believe」の部分をゴッソリ削除していますが、これは「私は〜だと信じている」という、言っても言わなくても意味が変わらない部分(脚注*1)なので、削除してOKだ