FAQ/なにも、ありもしないものを…。
"jamais vu"(ジャメヴュ)とはなんだろう?
活動開始から既に4カ月近く経つのだが
いまでも明確な言葉をもっていない。。
振り返れば、LOKIは「omokage」というタイトルの半ドキュメンタリー/半フィクションビデオ作品を作ると言い、
Tadashi Westwoodは撮影してから脚本を手掛け、サウンドを制作するという離れ業でビデオを制作してきた。
しかしこれはあまりに行き当たりばったりで曖昧な行為であり結果オーライで済ましている感は否めない。
周りから見ればお前らは一体何をやってるのか?と疑問を持たれることだろう。
いや、疑問を持たれるくらいならよいが、
そもそも活動をしていることすら知らない人が殆どなはずである。
何事も準備が必要だ。
来るべきときに備え、質問されたことはないが、質問されたら恰好よく答えられるよう
どこかの企業のサポートページにありそうなFAQを、
いけ好かないキャラクターで答弁するスタイルで作ってみようと思う。
●映画を作ってるの?
ー違う。
それに映画は厄介ごとが多いから好きじゃない。
仮に好きだとしても好きだと言えば、「じゃあさ、この映画は見たことある?」
とズケズケ話しかけられるのが嫌だから絶対に好きな映画のことは言わない。
●舞台化の予定は?
ーそういう発展があってもいいけど、今のところ予定はない。
(制作は非劇場型パフォーマンスLOKIがやってるんだけど…)
●ライブの予定は?
―ライブに相応しい曲が出来れば、やらないでもない。
で、やったら君は来てくれるの?
●YouTuberになりたいわけ?
―いい質問だ。
この活動の目下のメインはビデオ制作ではあるし、
YouTubeでビデオを公開しているわけだから
多くのYouTuberからインスパイヤされることは沢山ある。
むしろ映画やドラマより多いくらい。
●無料で公開してるからお気楽に作れていいよね。
―その通りだ。お気楽だよね、まったく。
だからお金の話はやめないか。
●劇場が嫌いなの?
ーイエスでもあり、ノーでもある。
僕らにとって劇場は押入れみたいなもんなんだ。
親にはとってお仕置きの場であり、
安らぎの場であり、
空想に浸る格好の空間でもある。
でも人がゴミゴミといるのは好きじゃない。
そこが劇場と押入れの違いだよ。
さて、「一日目」の話をしておこうと思う。
これを話さないと先に進まないからだ。
もともと非劇場型パフォーマンス‶LOKI”のアクターであるヨシアノ氏は、
2020年9~10月にかけてYouTubeやSNS上で架空の料理研究家・熊切坂保(くまきりざかたもつ)だった。
10月18日にクライマックスであるオンラインパフォーマンス「会見」で熊切坂保の活動を辞めたあと、
LOKIは新たなフィクションを作ろうとTadasi Westwood氏に脚本と楽曲を依頼した。
しかし創作開始の時期が迫ってもなかなかWestwood氏から作品台本やその内容はなかなか共有されず、届いたのは以下のキーワードだった。
「化粧道具」
「女性」
「日本舞踊」
「和室」
「鶴」
etc. ……
これらのキーワードが何を指し示すのかLOKIには見当がつかなかったが、
LOKIは一つの大きな問題を抱えていた。
制作期間があまりないということである。
というのも、LOKIは一つのフィクション作品を作る予定だったから
行政の補助金の対象期間もあり(経験則としてフィクション作品の制作は最低2カ月は存分に周知するのであれば3ヵ月は必要)、
残り2カ月だというのに、何をやるか決まっていない、キャスティングも決まっていない。予算も計上できないという苦悩を抱え、LOKIは焦りを感じていたのだった。
更に困ったことに、他にも不安材料があった。
Westwood氏とは一度会ったことはあったものの、
そのときWestwood氏は別な名前を名乗っていたし、
それは2年も前の話だっだのである。
ヨシアノ氏は昨年7月にWestwood氏の「だるまさんがころんだよ」というリリックなテキストで
2分ちょっとの短いビデオ作品を制作した関係ではあったが、
それは一度も会うことなくチャットでコミュニケーションしただけの関係で、
いわば誰も正確なTadashi Westwoodという人物を見たことがなかった。
「Tadashi Westwood」なる人物は存在しないのではないか?
切羽詰まった状況においては、そんな不安が頭をよぎるのも無理からぬことだった。
そこでLOKIは先にフィクション作品を作ることにした。
Tadashi Westwood氏から受け取った先のキーワードをもとに作品構想を練ってしまうのだ。
実はこれは熊切坂保のときもやった手法である。
「会見」脚本の平松れい子氏から作品構想を受けたものの
熊切坂保が料理系YouTuberだということを考えると、
どうしても料理コンテンツは作っておきたい。
そう考えて「はちみつ檸檬ソテー」「バルサミコのトマト玉子炒め」のコンテンツを作った。
そもそも熊切坂保が嗅覚障害の料理研究家であるという設定以外
どんなキャラクターか分からない中での話だ。
それを再現しようと試みたのである。
ただ、熊切坂保と違い今回は得ている情報はないに等しい。
そこで、Tadashi Westwood氏が発したキーワードから話を膨らませ、
いくつかの情景を考え先にキャスティングをしていった。
熊切坂保は全く一人のパフォーマンス活のため、
アクターを数人入れるつもりではあった。
そんな折、Westwood氏から「撮影を開始しよう」と連絡が届く。
まだ台本はおろか作品構成のシェアもないのに?
何を撮影するというのだ?
「待ち合わせは、ヨシアノの家の近くにあるお寺の大門にて。
そこで軽く撮影をして、二人のパフォーマーに会いにいく。
何をどうするかは、その場で考える。」
明らかにおかしな提案だ。普通じゃない。
2020年12月27日。
指定されたお寺の大門付近の駐車場にTadashi Westwood氏はやってきた。
巨大な大門には年始の参拝客を迎える「謹賀新年」と大々的な幕が張られていた。
ヨシアノ氏とTadashi Westwood氏は
互いの存在を確認しあうやいなや撮影をはじめた。
これがその一日目のはなし。
「omokage」(The First Day)
出演 富永汐香、村上春香、ヨシ・アノ
制作 Tadashi Westwood&LOKI
※次回に続く
▼熊切坂保の「会見」を見る
https://lokifootprints.studio.site/1
▼ヨシアノ×Tadashi Westwood 「だるまさんが転んだよ」