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「omokage」とは? 現実を描くためにフィクションを描く。

2020年12月27日。

台本なしで始まった jamais vu (ジャメヴュ)の撮影ですが、劇場外でのフィクション創作を目的としているLOKIとして何かしらフィクションを形にできないかと考えたのが、半ドキュメンタリー半フィクションスタイルの作品を作ることでした。

僕のお気に入りの映画で「アクト・オブ・キリング」というドキュメンタリー映画があります。

これはインドネシアで1965年の軍事クーデーター後に横行した民間人による民間人への大虐殺(実に100万人とも言われる多くの方々が謂われない理由で殺害された)がテーマで、殺戮した側の人間を、過去犯した数々の殺人について再現してもらうことで取材するという、とても斬新な切り口のドキュメンタリー映画です。

この映画はユニークな切り口のインタビューを見るだけでも一見の価値ある映画ですが、僕にとってこの映画を傑作にしたのが、あいだあいだに挿入される”殺人者”たちの千両役者っぷりが発揮されるフィクション映像でした。

自己肯定をしている人間がこれほどまでにオーラを放つとは。そしてドキュメンタリーパートと、フィクションパートの相互関係の絶妙さは圧巻でした。

期待を持って観たこの映画の続編「ルック・オブ・サイレンス」が凡作に終わったのは、虐殺された側(その遺族、殺されかかった側)に視点が置かれたこともあり作品全体に饒舌さが失われトーンダウンしたというのはもちろんあるけれど、それよりもドキュメンタリーに終始し、虐殺された側なりのフィクションを作れなかったことにあるのではないかと思っています。

「現実を描くためにはそれ相応のフィクションを描かなくてはならない。」

こんな想いが、jamais vu最初の撮影日にわきおこりました。

昨年LOKIの第一作目として作ったオンラインパフォーマンス「会見」の打ち合わせのとき、脚本の平松れい子さんがポツりと「フィクションをつくってこそだよね」と呟いたことが、僕には釈迦の言葉になってイメージが広がり(平松さん自身はそんなつもりはなかったかもしれないけど)明確なベクトルを与えてくれたように思います。そこから僕は自分自身をフィクション化するためにLOKIという劇場外の演劇という定義を明確に持ち始めるようになりました。

料理系ユーチューバー熊切坂保という、それ以外に特にドラマを持つ必要のなかった男にフィクションを与える。それがLOKIとしての「会見」の試みでした。

12月27日に池ノ上の小さな板間の和室で富永汐香さんの化粧する姿を撮影しながら思ったのは、この夢のような現実に相応するフィクションについてでした。

そしてこの「化粧する」顔をフィクションにしたいと思いました。

現実の顔を鏡にうつしたようなフィクション。
それが面影、「omokage」でした。

最終的なタイトルは変更するかもしれませんが、創作過程においては一貫してこの名前で公開していきます。

2020年1月3日。

このフィクションを作るにあたり、かつて舞台で共演した吉田真優さんにお声がけをしました。

2年前に演劇ユニットLABO!「如月小春クロニクル」でご一緒し、昨年12月にLABO!「A・R」に出演されていた舞台を拝見し、彼女にしか出せない雰囲気を感じお声がけしたいなと思っていた矢先でした。

今回は、その12月27日【一日目】の余韻が残る1月3日【二日目】、急遽参加していただくべく行ったインタビューを記録しているドキュメンタリー。そして彼女の言葉から展開していく後日撮影したフィクションの片鱗を織り交ぜる形で、まだ見ぬ、そして日の目を見ることがあるかわからない仮タイトル『omokage』のシュミレーションとして、この短編動画を作りました。

どうぞご覧ください。

LOKI ヨシアノ(熊谷知彦)


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omokage( the second day )
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出演:吉田真優、ヨシアノ、富永汐香(the first day内にて)
インタビュアー:Tadashi Westwood

撮影:熊谷知彦、芥生浩隆
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▼jamais vu は note で活動を報告します。
https://note.com/jamaisvu_syn

▼jamais vu の Twitter
https://twitter.com/jamaisv76677723?s=09

▽非劇場型パフォーマンスLOKIのサイト
https://lokifootprints.studio.site/


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