第56回気象予報士試験を受ける決心をした方へ
2021年3月12日(金)に第55回試験の合格発表がありました。2616人が受験して合格したのは146人。2470人が多かれ少なかれ悔しい思いをしました。あちらこちらで言われていることですが、冬の試験後は勉強を続けてきた方にとってリベンジがしやすい試験です。なぜなら、例年通りの日程ならば、8月の試験までまだ5カ月くらいあるからです。夏の試験の後よりも時間がたくさん残されています。これまでの勉強の蓄積がある方は、時間にある程度の余裕を持って、さらに知識を積み上げることができるのです。
受験体験記「なぜ4年もかかったのか?反省を踏まえたノウハウ」でも書きましたが、私は6回目でなんとか合格したので5回悔しい思いをしました。その度に次回こそは!と沸々と闘志を燃やしたものです。そこで、自分の体験を踏まえて、次の第56回試験に向けて持つべき心構えを書いてみました。参考にしていただければ幸いです。「1.次の次まで見据えてプランを練り直す」は、どちらかというと受験を始めたばかりの方に向けて書いてます。
1.次の次まで見据えてプランを練り直す
この資格試験の最大の特徴は、一般・専門の学科試験の合格資格が保持できるので、「1年以内に行われる試験において、合格した科目の試験が免除となる」ということです。そしてこの資格試験の最大の難所は実技試験です。この実技試験は、学科2科目に合格しないと採点すらされません。学科免除を勝ち取って、実技試験の勉強に集中するのが王道です。
今回の試験で一般試験または専門試験の学科試験のいずれか一方に合格された方は「このままの勢いでワンチャンあるかも!?」と、次回の試験で学科試験の残り1科目と、実技試験の合格を一気に狙いたくなると思います。ここでいったん立ち止まってください。次の次まで見据えて、学科試験の残り1科目の合格を確実に狙うのが、実は最短ルートになるかもしれません。これは実技試験の勉強を一切しないということではなく、学科試験の残り1科目の勉強を徹底的にするという意味です。
実技の勉強は時間との戦いで、消化するべき過去問の量も膨大です。設問も天気図を読んで答える形式なので、気象予報士っぽくて、なんだか楽しくなってきます。その結果、実技試験の勉強にさく時間が多くなり、学科の勉強を疎かにしてしまうと、次の試験で学科合格を果たせず、採点もされず、1歩も前に進めない…という悲惨な目にあうかもしれません。ちなみにこれは、私が5回目の受験の時に陥ったパターンです。あまりにも情けなくて、受験を辞めてしまおうかと本気で悩みました。
具体的には、週単位や月単位で勉強のプランを立てる際、学科試験の勉強のノルマを消化することを最優先にします。例えば、過去問10年分を3周する!と決めたなら、実技試験の過去問演習をストップしてでも、学科試験の勉強を優先します。残りの時間を実技試験の勉強に使いましょう。この判断を心がけるのが鍵になると思います。
実技試験は、単純に考えれば一回演習するのに75分かかります。添削して丁寧に復習すれば、その倍の時間かかることもあると思います。これを7〜8年分こなすには膨大な時間と体力気力を使うのです。次の試験で、残りの学科試験さえ合格すれば、その次の試験は実技の勉強に全力を費やせます。ちなみに私は合格した時は、専門知識と実技試験の同時合格でしたが、これは6回目の挑戦だったからできたことだと思っています。受験科目が増えるほど本番で1日あたりの試験時間も長くなるので、細切れに受かるのがベストだと思っています。
2.一度合格した科目の復習を定期的にする
頭ではわかってても、次で受かりたいという焦りがあると、復習になかなか手を出せません。しかし、実技試験は、一般・専門知識の延長にあります。一般知識の理解があいまいだと記述問題の解答の精度が落ちますし、専門知識の暗記があいまいだと、実技試験の問3に出てくるような防災気象情報の設問や1点として落としたくない穴埋め問題を落とすことにつながります。過去問を解く必要はありませんが、参考書やノートを引っ張り出して眺めるだけでいいので、頭から抜けないようにするべきだと思います。
以下の受験体験記「なぜ4年もかかったのか?反省を踏まえたノウハウ」でも書きましたが、学科合格には大きな盲点があります。それは「合格点ギリギリで合格してしまうラッキー合格」です。学科試験の知識が100%でないのになんだかきちんと理解できたような気になってしまい「学科免除→学科復活」を何度も繰り返すことになります。
「学科免除→学科復活」を何度も繰り返さないための学科の勉強方法については受験体験記をお読みいただければ幸いです。学科試験は、仮に試験を受けた時点で十分に理解して合格できたとしても、一般試験と専門試験は似て非なるものなので、インプットを継続しなくなったとたんに頭から離れていくのが現実です。繰り返しますが、過去問を解く必要はありませんが、参考書やノートを引っ張り出して眺めるだけでいいので、頭から抜けないようにするべきだと思います。
始めにも書きましたが、8月の試験までまだ5カ月くらいあります。合格率の低い試験なので、1回、2回で合格を勝ち取られる方は稀です。次の次まで見据えて安定した勉強を続けることが、合格までの最短ルートになると信じてます。検討をお祈りします。
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