娯楽を人に教えるという行為の話
格闘ゲームやLoLなど様々なゲームをプレイしていると、初心者に経験者がゲームを教えるという場面に多々遭遇します。様々なゲームで教わる側や教える側をやってきて、常に頭においておきたい考えを自己反省の意味も込めて書き留めようと思います。
以下の内容は様々なことに共通する部分もあるかと思いますが、基本的には「ゲームのような娯楽において人に物を教える行為」について個人の感想をまとめたものになります。
1.気持ち編
「物事を教える」という行為にとって、教える側(講師)と教わる側(生徒)の気持ちの釣り合いが取れているかどうかは1番重要なポイントになります。特にありがちな例として、各々のモチベーションが講師>生徒となってしまうパターンです。これを私は部活と呼んでいます。
中学校の部活動をイメージしてみてください。私は運動が苦手なオタクだったので、顧問の先生の熱が入った指導が身に入らなかったり、他のメンバーのモチベーションについていけなかった経験があります。部活動の経験は人それぞれだと思いますが、このように生徒がそんなに教わりたいと思っていないのに必要以上に教えてしまうという状況を部活と定義します。
これが入試勉強だったり人生に関わるようなものである場合は嫌でも教わらなければなりませんが、娯楽に置いてはこのような部活状態の指導は良い環境だとは言えません。
人から物を教わりながら行う娯楽は基本的には楽しくないということを頭に入れましょう。
楽しくない指導を敢えて受けたいと思うのは、生徒が楽しくない思いをしてでも成長したいと思っていて、成長したことで得られる楽しみをイメージ出来ているからです。
指導のやり取りの中で「楽しく遊びたい気持ち」と「楽しくなくても成長したい気持ち」が生徒の中で何対何の比率になっているのか意識するのが重要だと思います。逆に言えば、生徒の人は「これくらいの気持ちで頑張りたい」というのを積極的に伝えましょう。
これは人それぞれで異なるだけでなく、時と場所によっても変化します。休日にガッツリ遊ぶゲームと、仕事から帰ってきて息抜きにプレイするゲームではモチベーションが変わります。生徒が今どのようなモチベーションなのかというのは指導を行う上で最も気をつけなければならない項目です。
もちろん、「どんなに辛い思いをしてでもとにかく成長したい!」という貪欲なモチベーションを持っている人に対してはどんどん教えてしまっても良いと思います。
2.教える編
人に物を教えることの目標は「生徒がより効率よく成長すること」であると言えます。では、下のような例は良い指導と言えるでしょうか。
六法全書の音読音声を3倍速で流すから全部覚えてね!!!
覚えられるわけがありませんね。つまり何が言いたいのかというと、指導の質の高さというのは指導の密度の濃さではないということです。ではどのような指導が質が高いといえるでしょうか。
まず1番に、人が1度に覚えられる量には限界があります。六法全書を覚えるにしても全てを1日で覚えられるわけがありませんよね。どれだけの量を覚えられるかは生徒の能力によって異なるため、講師は生徒のキャパシティがどの程度かを指導の中で探っていく必要があります。これについても生徒の方から「今回はここまでが限界なので復習させてほしい」と指導を切り上げてしまうのも有効だと思います。
そして次に考えたいのが、人から教わって学んだことよりも自分で気づきを得て学んだことの方が身につきやすいということです。良い指導というのが「得た知識が身についたもの」だとすると、悪い指導は「得られるものが無かったもの」であると言えます。つまり、「講師は何も教えなかったが、生徒が自身で気づきを得た指導」というのは良い指導であるということです。指導というのは「講師が教える行為」で構成されるのではなく、「生徒が学べる行為」を軸として組み立てられるべきです。
極端な話をすると、講師が何かを教えるよりも生徒自身に気づきを得てもらう方が質の良い学習ができるということです。1度に覚えられることに限界があるという前提の中で、そのキャパシティをなるべく「より身につきやすい学び」に使うほうが良いと考えます。
もちろん中には「知識が無いために生徒がそもそも気づきを得られない」ということもあります。そうなって初めて、講師の方から物事を教えてあげれば良いのです。
以上のことをまとめると、より効率的に学べる指導とは、
経験を与えて生徒自身に気づきを得てもらうが、知識不足が原因で学びを得られない部分は講師が補足説明をする
といった形式であると思います。
全ての知識をその場で1度に話してしまうことが最善ではなく、講師は常に生徒に与える知識と今は与えない知識を選別し、どの知識をどのタイミングで教えるかということを意識することが重要だと思います。
今の指導や経験で生徒は何か新しい知見を得ましたか?得られているのであれば、それは良い指導です。そこからさらに追加で情報を与えるのが本当に良いことかどうか、一度立ち止まって考えてみませんか?
3.話長えよ
・生徒のモチベを講師が把握(共有)して互いにハッピーな指導をしよう!
・生徒が自分で気付いて学ぶことを指導の軸にしよう!
・あえて今は教えないということも大事だと思うよ!