夏の夜の恐怖...
【夏の夜の恐怖体験】
前世はセミだったんじゃないか。
と、感じるほど四十にして寝ることが好きになったオイラ。
なので、寝る直前が私にとって一番の至福の時間。
寝室のエアコンをつけてヒヤヒヤ最高の状態にし、真っ暗なベットに潜り込む。
『あぁ〜、この心地よさ! セミが7年も土からでない理由はこれだなぁ~。ああ、最高だわ』
と、気分良く眠りに就いた直後、
何やら暗闇に人の気配が!
「ねえ、ちょっと、大事な話があるんだけど…。」(妻の声)
「……、」(僕)
「ねえ、起きて! ほんとに大事な話があるの!」
聞こえている。 ええ、聞こえていますとも。
しかし、かみさんからの「大事な話」なんて、
この世にこんな恐ろしい話はない。絶対にない。
間違いない。
この得体の知れない恐怖感は、世の男すべてのDNAに刻まれいるはずだ。
俺のDNAはそう言っている。
ミトコンドリアはすでに縮み上がっている。
一瞬にして、私の頭は覚醒しつつ、身体は大地震が起きても微動だにしないであろうほど硬直。
this is the本能。
我が身を守るために備えられたスペック。
頭の中が騒ぎだす!
これは、もはや、本能寺の変!
信長さま~~!! 一大事じゃ~!!
思いっきり、無視を決め込むべきか、いや。
100%無理だよね...。
がっちり、俺の肩に、かみさんの手が、
食い込んでるよね。
エルム街の悪魔フレディもびっくりだよ。
フレディも今の俺の状態を見たら、
「お取り込み中、大変失礼しましたっ!」
つって、ダッシュで逃げていくよね。
『なに、なにをやらかしたんだ? 俺は???』
頭の中は、スーパーコンピューター並の高速回転。
蓮舫議員に言ってやりたいですよ!
2位でいいから、これ以上、責めないでっ! てね。
いや、うちのかみさんは蓮舫じゃない。
落ち着け。
とりあえず、俺のスパコンはすでに、エラー音を鳴らし続けてる!
そうだ、壊れているんだ。現実逃避だ。
ジョブズも言ってた、
あれだ、<Think different>というやつ?
間違えも話せばわかる?
そう俺は、<違いがわかる男>だ
それは、ネスカフェか? ゴールドブレンドか??
だばだぁ~♪ だぁ~ば だばだぁ~♪
頭の中でゴールドブレンドがリフレイン。
『え、俺なんかした?? どうした俺? どうした、かみさん??
俺の帰りが遅いのが原因? え、疑ってるの? 俺が浮気でもしてると思ってるのか? それとも、ほかに好きな人でも出来たんか??』
もうなんでしょう…。
ゾンビでも、この状況なら生き返らないでしょ。
もう確実に、ゾンビも死んだふりっしょ。
映画一本撮れるっしょ。
全米が震えたっ!
ゾンビが、震撼!
蘇りを拒否するほどの恐怖!
みたいな映画。
『このままでは、らちがあかん! 白黒はっきりつけたるわい!
おれも男だ! ゾンビ越えだぁ~!』
ちゅうコトで、
心の勢いとは裏腹に、
ゾンビよりゆ~っくり、ゾンビより気配を消しつつ、
そ~と、寝違えたゾンビのごとく、
かみさんの方を振り向くー。
暗闇に浮かぶかみさんの影、、、。
きゃ~~! ダークナイト!!!!
夢なら覚めて!!
『オラ、オーラが見えなくてよかった!』
なんて、くだらないダジャレが出てくるほど、
テンパってる?
かみさんのシルエットにビビってる?
『ほんと、さっきまで寝てたからね。ちょ~~眠いからね。
わかるでしょ?』
『お手柔らかにね、おねがいしますよ~(泣)』
同情を誘うような声色で、
「え、あ、はい。 なに? 眠いんだけど、、、どうかした?」
「めだか………なんだけど」
「え、なに????」
「め・だ・か・を飼いたいか、 どうかなんだけど」
「はあ、なに?? めだかってなに????」
『なに、うちのかみさん何ってるの? これ、なんかのドッキリ??』
『後ろから、池乃めだかさん登場とか、ありえるの??』
「え、だから、めだかをおとなりさんがくれるっていうことになって、水槽までもらっちゃったんだけど、お世話はパパと●●(長男)で見るしかないから、相談しようと思ってー」
「え、なに、なんで、こんな時間に? 寝てるとこ起こすほどのことなの?
ギャク? ギャクでやってんの?」
天然すぎるにもほどがあるわいっ!!
一気に爆笑! クハハハハハハハハーー!!!!
「だって、水槽までもらっちゃって、おとなりさんだから、ちょくちょく会うし~」
「意味わかんね~! クハハハハハハッ!!!」
かみさんと二人、しばらく笑いが止まりませんでした。(笑)
いや~、家族って映画より面白いですね!
(水野晴郎口調)