愛着障害と発達障害の違いとは?原因、症状、治療法について
愛着障害と発達障害は、似ているようで異なる精神障害です。
愛着障害は、幼少期に親や養育者との間に愛情の絆が形成されなかったことで、対人関係や社会生活に問題を抱える状態です。
発達障害は、脳の働き方の違いによって、物事のとらえ方や行動のパターンに特徴がある状態です。
原因
愛着障害と発達障害の原因は、それぞれ異なります。
愛着障害
愛着障害は、後天的な要因が主に関与します。例えば、虐待やネグレクトを受けた、親や養育者が頻繁に交代した、暴言や体罰を受けた、性的虐待や両親のDVを目撃したなどです。これらの経験は、子どもの脳の発達にも影響を与え、聴覚野の肥大や視覚野や前頭前野の萎縮などを引き起こす可能性があります。また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状も併発することがあります。
発達障害
発達障害は、先天的な要因が主に関与します。例えば、遺伝的な要因や脳の発達に関係する要因などです。発達障害には、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの種類があります。これらの障害は、脳の構造や機能に偏りがあることで、言語やコミュニケーション、注意力や衝動性、社会性や感情などに特徴があります。
症状
愛着障害と発達障害の症状は、子どもと大人で異なります。
愛着障害(子どもの場合)
愛着障害は、人に対して過度に警戒したり、過度に馴れ馴れしくしたりすることがあります。表情がなく、笑顔が見られない、他の子どもとの交流がない、親や養育者に対して反抗的や無関心な態度をとる、理由もなく嘘をつく、自傷行為や他害行為をするなどの特徴があります。発達障害は、言葉をそのまま受け取ってしまう(比喩が分からなかったり、場の空気が読めない、曖昧な言葉に混乱するなど)、物事や行動に強いこだわりを持ち、変化を極端に嫌うことがあります。
愛着障害(大人の場合)
大人の場合は、愛着障害は、自立心や自尊心が低く、他者とのコミュニケーションが取りにくいことがあります。人間関係に不安や不信感を抱き、孤立したり依存したりすることがあります。恋愛や結婚に消極的で、パートナーとの関係に問題を抱えやすいことがあります。
発達障害
発達障害は、仕事や学習に困難を感じたり、ルールや常識に従えなかったりすることがあります。自分の興味や特技に没頭したり、独自の思考や感性を持ったりすることがあります。
治療・対処法
愛着障害と発達障害の治療や対処法は、個人や家族の状況によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
愛着障害の治療や対処法
心理教育や養育者のトレーニング、家族療法や個人療法などがあります。
心理教育では、愛着障害の原因や症状についての知識を提供することで、自分や子どもの問題を理解しやすくすることが目的です。
養育者のトレーニングでは、治療者の指導のもとで、子どもの愛着行動に共感的に応答し、楽しみを共有するなどの肯定的な相互作用を体験することで、子どもとの関係を改善することが目的です。
家族療法では、愛着に関連する家族機能不全を改善するために、家族全員が参加するセッションを行うことが目的です。
個人療法では、愛着障害による心理的な苦痛やトラウマを解消するために、治療者との対話や心理療法を行うことが目的です。
発達障害の治療や対処法
療育や薬物療法などがあります。
療育では、発達障害の特性に合わせて、言語やコミュニケーション、注意力や衝動性、社会性や感情などのスキルを向上させることが目的です。
薬物療法では、発達障害に伴う不安やうつ、多動や衝動などの症状を軽減することが目的です。
まとめ
愛着障害と発達障害は、幼少期の経験が影響する深刻な障害ですが、適切な治療や支援を受けることで、改善する可能性があります。自分や子どもが愛着障害や発達障害ではないかと感じたら、専門家に相談することをおすすめします。