アニメと広報#1「若者でバカ者でよそ者で…」/サクラクエスト
やっと書きました『アニメと広報』。
書くのに時間がかかったわけではなく、正直サボってました。
やらなきゃ、でもまあ強制じゃないし、いいか。と自分を甘やかした結果です。
次回からはもうちょいしっかりやるように心がけます。
ちなみに『アニメと広報』がなんなのかというと、僕の愛するアニメとPR・広報を無理やり紐づけて、アニヲタらしく『アニメ作品を通して思い浮かんだ広報論』という体裁の記事を発信します。という記事です。
半年もかかっちゃった💕テヘ
ちなみに、タイトルにもある「若者でバカ者でよそ者」という言葉は地方創生に紐づけてよく言われる言葉で、P.A.WORKSのお仕事アニメ『サクラクエスト』の印象的なセリフでもあります。
今回は1回目の記事ということで、地方創生&活性化を目指す、PR・広報ど真ん中な作品『サクラクエスト』を取り上げていきます。
作品についてのお詳しい話は、やはり公式サイトを見ていただくのが一番だと思いますので、リンク置いておきますね。
『サクラクエスト』の良きポイント
正直、『サクラクエスト』は(失礼ながら)めちゃくちゃ勉強になったり、アニメ史に燦然と輝いたりする作品ではありません。
それでもPRとは何ぞや?みたいな疑問を紐解くヒントや、コンテンツ×地方創生のいい事例がある良質な作品ではあると思います。
なので、現時点で広報の仕事をしている人やこれから広報の仕事に就きたい就活生にはぜひとも観てほしいし、「ワイはPR・広報の仕事してないから」という人も、観て損をすることはない作品だと思うので、ものは試しに観てみてください。
個人的に感じたこの作品の良きポイントを大雑把にまとめるとこんな感じ。
1)地に足の着いた着地点(地味)
2)コンテンツ×地方創生 地域保全イベント『桜ヶ池クエスト』
3)「若者でバカ者でよそ者」の真意
ここからは一つ一つ、どこがどう良きなのかをお伝えし、そこからどんな広報論が導き出されるのかを語りたいと思います。
どうぞお付き合いください。
その前にまずはあらすじ
舞台は過疎化が進む間野山市。間野山市はミニ独立国「チュパカブラ王国」として独立宣言した田舎町。
このミニ独立国というのは、井上ひさしの小説『吉里吉里人』のヒットに端を発し、バブル期の日本で流行った町おこしの手法の一つですね。
今では廃れた手法のため、実際のミニ独立国はすっかりお目にかかることがなくなってしまった。(探せば実際の日本のどこかにもまだあるかもしれないけど)
そんな「チュパカブラ王国」の国王(観光大使)にひょんなことから就任してしまった主人公が、仲間を集め、過疎・観光客の減少で窮地に陥った「チュパカブラ王国」を救うためのクエスト(課題)をクリアしていく……という町おこしのお仕事をテーマとした作品です。
それでは、改めてこの作品のポイントについて少し踏み込んでお伝えしていきます!
良質なポイント1 地に足の着いた着地点(地味)
あらすじにもある通り、ミニ独立国の国王に就任する羽目になった主人公が過疎化の進む田舎町を何とか盛り立てようと奮起する作品ではありますが、この作品の最終到達点、つまりエンディングですが、実は町おこしが大成功して町に大勢の人が移り住む!という大団円ではありません。
唐突なネタバレごめんなさいね。
でも、ここがめちゃくちゃ重要なので、踏み込むしかありませんでした。
最終到達点、それは町民や関わる人たちの意識が少しだけ前向きに変化しました!という外連味のない着地点でした。
広報的には大成功と言ってもいいくらい地に足の着いた着地。でもフィクションとしては物足りないよね的な地味な着地。
でもそれがこの作品の良さなんです。
広報的には、この意識の変化をパーセプションチェンジ(認識変容とか態度変容とも)だとか言うんですが、行動変容(『サクラクエスト』的に言えば観光客の増加、移住者の増加・定着)を促すための第一目標なんですね。
正直、意識を変えることがどれだけ難しいか。
意識が変わってしまえば行動変容は自然現象的に起こってくる部分もあるので、意識変容が第一目標であり、大目標でもあると個人的には思っています。
だから、そうそう上手くはいかないことも多いのですが、『サクラクエスト』作中では住民たちの意識がある程度いい方向にパーセプションチェンジして、終わりを迎えます。
だから広報的には大成功!となるわけですが、エンタメ作品としては地味ですよね。
個人的には、そんなリアルな成功例を描いた『サクラクエスト』には地味だけど良質なストーリーテリングが詰まっていたと感じざるを得ません。
その地味さがある意味で最高にPR・広報っぽいが、アニメ的には評価が集まらなかった最大の理由だとも思います。
盛り上がりに欠けるのはわかっていただろうし、エンタメ作品を作る以上、めちゃくちゃ勇気が必要な描き方・結末だったはず。それでもそういう描き方を選んだ制作チームには、だからこそ拍手を送りたいです。
良質なポイント2 コンテンツ×地方創生 地域保全イベント『桜ヶ池クエスト』
この作品の画期的なところを挙げるなら、地域保全イベント『桜ヶ池クエスト』だと思います。
コンテンツ×地方創生の良い事例で、サイトを見てみると面白いんですよ。
アニメの舞台『間野山市の桜池』と、モチーフになったリアルの街『南砺市の桜ヶ池』をリンクさせ、アニメ25話に登場するワンシーンのような桜いっぱいの桜ヶ池(アニメ中では桜池)実現を目指し、地域とコラボして行う桜保全活動になっています。
ゲーム感覚で気軽に参加でき、聖地巡礼にもなり、地域の観光資材づくりにも協力できる。ファンにとっても地域にとってもいいこと尽くしの愛ある企画。今風に言えばソーシャルグッドなイベント。なにより自分自身が『サクラクエスト』作品内で町おこしに参加しているキャラクターの1人になれるような没入感たっぷりな体験ができるのがいい。
アニメの間野山市とリアルの南砺市が次元の壁を越えて姉妹都市提携したことに端を発しているようなのだけれど、このアニメ×リアル姉妹都市提携というのも、また面白い試みだなと、当時から思っていました。
ちなみに自分は偉そうに面白い面白いと書きながら、『桜ヶ池クエスト』には参加したことがありません(申し訳ない……)。
いつかは行ってみたいなあと思いながら『桜ヶ池クエスト』のHPを見ていたら、イッツタイムリー。5月20日(土)に開催されていたんですね!
次回も参加できるかはわかりませんが、タイミングがあえばぜひ参加してみたいところです!(「飲み会行く?」の質問に「行けたら行く」って答える奴みたいですみません…)
良質なポイント3 「若者でバカ者でよそ者」の真意
「若者でバカ者でよそ者」という言葉は、地方創生やら町おこしやらでよく使われる言葉なので、聞いたことある人も多いかもしれません。
あとはイノベーション論的なところでも聞くことがあるかも。
もちろん町おこしをテーマにした『サクラクエスト』の中でも、この言葉がキーワードとして飛び交います。
聞いたことない人向けにどんな言葉かざっくり説明すると、
若者(斬新さ、新しさへの許容)
バカ者(意外性のある発想、思い切りの良さと行動力)
よそ者(そこに染み付いた固定観念や常識にとらわれない思考)
のことを指していて、組織や社会にイノベーションを起こす際に必要とされる資質(あるいは発想法)と言われています。
『サクラクエスト』の主人公の一人・木春由乃(こはるよしの)は東京の短大に通う女子大生で、就職活動が上手くいかず追い込まれた末に、派遣事務所からの依頼によりバイト感覚で国王(観光大使)の任を受けたという「若者でバカ者でよそ者」を体現した人物。
本作では、そんな「若者でバカ者でよそ者」がやって来たことで、すぐに町にイノベーションが起こっていく!というわけもなく、町の人間と関係を構築しながら、また人間関係に四苦八苦しながら、町やそこに住む人の魅力に少しずつ気付いていく様子が描かれています。
さて。改めて、「若者でバカ者でよそ者」という言葉に戻りますが、実はこの作品は、その言葉をやんわりと否定しているのではないかと考えています。
否定というか、「若者でバカ者でよそ者で……」と後に続く言葉を残していると言った方がいいかもしれない。
最終的に主人公たちは、由乃の国王の任期満了に応じて、各々の道へと進みます。そのまま間野山に住むものもいれば、あえて外に飛び出すものもいる。住む場所も居場所もずっと一緒だったのに、最終回でバラバラになってしまう。その寂しさは確かにあれど、それでも、どこにいても変わらない、全員が共通して持ち続けた思いがあった。
間野山が大好きだという気持ちだ……。
まるでパンドラの箱の底に希望が残されていた……みたいな書き口ですが、この「大好き」という感情が、最後に変わらず残されているところにこそ意味も肝もあると思うんです。
「若者でバカ者でよそ者で、だけど愛がある」
田舎町というパンドラの箱を開けたら、若者も、バカ者も、よそ者まで飛び出てきて、田舎町の謎の箱もの建築物だとか、新しい町民vs昔からの町民のジメッとドロッとしたぶつかり合いだとか、かなり余計なものもいっぱい飛び出てきて、でも最後に愛やら「大好き」だけが残されていたと考えたら、どうでしょうか。
その愛こそが、元々の町民や関わる人たちの意識を変えるに足るファクターなのかもしれません。
そして、それは町おこし(ひいては広報)という仕事に必要なファクターであることはもちろん、どんな仕事にも必要なことなのかもしれない。と『サクラクエスト』を観ていて、考え至りました。
記事の冒頭でも言った通り、現・広報マンや広報マンになりたい就活生以外にも、観てほしいと思ったのは、このポイントからです。
作品を観て、今の自分の仕事を振り返るきっかけにでもなれば、少しは刺激的な毎日を送れるかもしれない。
何においても愛は必要なのよ。仕事に愛を持つってのは、なかなか大変だし、忘れがちだけどね。
『サクラクエスト』から導き出した広報的結論
愛は大事。
この一点に集約されます。
地に足つけて、愛を持って、魅力を伝える。正直に。真摯に。
作中で主人公の由乃はこんなことを言います。
うろ覚えで申し訳ないが、まさにこの言葉こそが真髄だと思う。
もう終わりです。
アニメ作品を通して思い浮かんだ広報論を語る「アニメと広報」の第1回はド直球な町おこし広報アニメ『サクラクエスト』を取り上げました。
正直まとまりも悪く、乱文が目立ちますが、そこはご愛嬌ということで。
次回はもっとましな文章で、もっと簡潔なものを召喚できるよう努めます。
さて、気を改めて。
愛を持って、真摯に、これからの仕事に打ち込みたいと思います。
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