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出直し選挙の是非(10/3CA)

議論の前提と背景

10月3日のゼミでは、上記、兵庫県の斎藤知事を背景に、出直し選挙の是非について、立論者は賛成、他の学生は、反対の立場で議論を行った。

前提条件として以下が挙げられた。
・出直し選挙:現職が自ら辞職して再度民意を問う選挙であること。
・今回は各都道府県の知事や各市町村長に限る。

前提質問は以下の通りだった。

Q出直し選挙に対しては、一般化するほど事例もなく、個別具体の問題として議論すべきではないか?

A一般化して議論したい。

Q出直し選挙が問題とする場合は、今回の兵庫県に関しては、全会一致で不信任を可決する議会の決議が出たのにも関わらず、その結果を受けてもなお、再度立候補するという点が問題であるのではないか?

Q今回の兵庫県に関しては、県政の組織や、特に公益追放についての問題であり、出直し選挙という問題が根幹でないのでは?
A.個別具体に関してではなく、一般化して話すこととする。

事例の少ない、出直し選挙を一般化して議論をするという部分に議論は難航した。

立論側の論点とそれに対する議論

1.民主主義の強化に繋がる可能性が高い
→出直し選挙は、有権者に再度意思表明の機会を与えるプロセスである。政治家が新しい状況や争点に対して有権者の支持を再確認することで政策や方向性の正当性が明確になる。これにより、有権者の意志がしっかり反映された政治が実現し、民主主義のプロセスが強化されると考えられる。

Q議会制民主主義(議会は民意を代表する)、議員の決定という民意を無視することになるのでは?
A公約を見て選ぶ、それが達成されていたらいいのでは。

Q議員の首長への不信任という判断は、民意であり、出直しすべきではないのでは?
A一部のリーダー、小数人の意見で不信任。市民全員に議会の判断の是非を問うべき。

Qそれだと、議会制民主主義が崩れるのでは?
A首長を選ぶのも市民であり、権利の行使である。

2.政治家の説明責任の強化
→出直し選挙は政治家が自らの行動や政策について再度審判を受ける場である。これにより、政治家は自らの政策が有権者に支持され続けているかを確認し、場合によっては政策の軌道修正を行わなければならない責任が生じる。説明責任を強化することで、政治家がより慎重に行動することを促す。

Q自己都合で、出直しをするべきではないのでは?(費用が各回18億円) 
A理解が進んでいない。知事がやめたら、副知事を進めるという知識が広がっていない。
 民意として、知事が必要だという流れがあり、知事を立てる必要がある。 

3.出直し選挙は有権者に新たな選択肢を提供する
→出直し選挙により、有権者は現職の政治家に対して支持を続けるか、新たな候補者に投票するかの選択を再び得ることが出来る。これは有権者が政治家の政策や行動に対して積極的に意見を述べる機会を増やすものであり、選挙の意義を再確認する場となる。

4.政治的な透明性の向上
→辞職後に出直し選挙を実施することで政治家は自らの立場や政策に対する支持を明確に問うことができる。また、有権者に対して過去の政策や行動を評価してもらい、信任を改めて得る機会となる。この透明なプロセスを通じて、政治家が責任を持って行動していることが保証される。

Q不信任を受けても再選できるという事例を作れば、自分に不都合なことを言わなくなるのではないか。もみ消しにつながるのでは。
A他の都道府県も透明性があるわけではないではない。桜を見る会問題。功績を見て判断するべき。

Q今回の内部通報制度が上手く機能していないのではないか。

立論側の予想される反論の再反論とそれに対する議論

1.一度、選定された職で責務を放棄する(=「辞職」)ことを指すのでその責務を負う立場に戻る道議的な理由がない
→政治家が自ら辞職して再び立候補することは有権者に対して「このリーダーが引き続き信任に値するかどうか」を直接問う機会を提供するものである。有権者に選択肢を与えることはより強い民主的プロセスを確立することにつながり、これ自体が責任ある行動となると考えられる。

Q政治的な知見をもった市民がどれくらいいるのか?誤った判断基準で選ばれる可能性がある。
A危険は人によって異なる。年寄りより、若者を。

Q県の県議会が全会一致で辞めさせられているという点が問題なのでは。
A功績がいいという判断軸で選ぶ市民もいる。

2.出直し選挙は不要な税金の浪費を招く
→出直し選挙のコストは確かに無視できないが、民主主義の根幹である「民意を反映する」ことの重要性と比較すると、その費用は必要な投資と言える。政治が不安定化する前に、民意を再確認し、政策の正当性を保つことができるならば、むしろ長期的に無駄な政策や不満を抱えた政府の運営による浪費を防ぐことになる。

3.政策の中断を引き起こし、行政を不安定にする
→確かに短期的には政策が一時中断する可能性はあるが、それ以上に政策の正当性が失われたり、民意に反する政策を強行することの方が、社会にとって長期的に深刻な影響を与える可能性がある。出直し選挙を通じて支持を得た政策は、より強固な基盤のもとで進められるため、結果として行政の安定化につながる。

4.投票率の低下を招く恐れがある
→ 投票率の低下は選挙の回数そのものよりも、政治に対する信頼や関心の低さによって引き起こされることが多い。出直し選挙が行われることで、有権者にとって重要な課題や新たな選択肢が提示されるなら、むしろ投票率を高める可能性もある。選挙が活発であることは、民主主義にとって健全な証拠でもあり、重要な課題についての選挙であれば、有権者は積極的に参加するはずである。

先生コメント

民主主義国でルール上規定されていることはやればいい
知事は県民から選ばれる、議員も県民から選ばれる。
知事が解散することも構わない。知事に少しでも反論できないのが問題
制度をチェックしていくことも必要。
今回の件は、知事が権力の乱用しているとは思わない。
コストがかかるかは別の話。








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