カマラ・ハリスの敗因はインフレ対策の弱さ
木村 喜由の『マーケット通信Vol.2202』
完全雇用なのに現政権が大敗するのは非常に珍しい
振り返ればこの秋は世界各国で政権交代あるいは与党の後退が相次いでおり、政治にとっては大きな嵐が吹いたといえるだろう。
だが法律に定められた選挙により、武力闘争なしに政権移動が行われるのは、民主主義の大きな利点でもある。
選挙や議会運営にはコストが掛かるが、円滑に民意が政治に反映されるのはよいことだ。
その大前提として選挙や政治運営のルールが公平・公正である必要がある。
このルールが不足すれば、暴力的な政権が居座り、国民の要望が政治に反映されることはない。
これを覆すには革命などの違法な暴力行為が必要となり、経済や歴史に大きな傷を残すことになる。
トランプ主導の議会襲撃も違反行為であり、いずれ歴史の指弾を受けるだろう。
違反者でも大統領になれたわけだが、こうなった原因は時代遅れの米国最高裁判事の終身任期制度である。
恣意的な党派人事の塊であり、下級審で積み上げられた判決を多数派は容易に覆すことができる。
重大な課題を時代の常識に即して法律に反映させるには不適切な制度である。
次回のトリプルブルー、民主党が大統領と上院下院を制した時点で見直しが求められるであろう。
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