崖に直面する世界経済、4年後にはまた崖が待つ
木村喜由の『マーケット通信』Vol.2201
「今だけ、カネだけ、自分だけ」のトランプを選んだ米国民
米国大統領選挙はトランプ氏の勝利に終わった。
筆者はハリス氏勝利と予想したが、10月に入り有権者の関心の高い経済問題や外交・安保問題に説得力ある提案を打ち出せず、イスラエルの対外攻撃が一段と過激化・残虐化したことにも無力で、イスラム系や若者の反戦主義者からの離反が増えたことで、想像以上に基礎票の崩れが生じた模様だ。
慶応大渡辺靖教授が先月NHKで大統領選挙に絡む統計的事実を紹介していた。
簡略化すると学歴、収入、人種、性別により支持政党比率に明確な傾向があり、人口動態や学歴構成の変異に伴い、激戦州も時代により移り変わっていったということである。
前回の選挙では大卒以上が有権者の35%以上を占める州では民主党が全勝、30%以下の州では9割方共和党が勝った。
時代により率は上がっているが、高学歴で高所得の州は民主党が勝利する。
マクロ的データ解析で過去10回の当選者を的中させてきたアメリカン大リクトマン教授は9月5日にハリス勝利と発表したが、筆者の分析根拠も似たようなもの。
共和党のコア支持層である白人キリスト教福音派などの人口が趨勢的に低下しているから、よほどのことがない限り民主党候補が勝つと読んだ。
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