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溺れるロシアは北朝鮮を掴む
木村 喜由の『マーケット通信』Vol2200
ウクライナの粘りがロシア経済を土俵際まで追い込んでいる
ソヴィエト連邦が崩壊した経緯を覚えているだろうか。
81年レーガン政権が冷戦下で軍備拡張路線を取ったのに対抗して、ソ連側も軍事費の拡大を行った。
それを可能にしたのは原油価格の急騰であり、石油大国のソ連にとっては棚ぼた的な利得があった。
86年以降原油は急落したため、財政の半分を資源売却益に依存する政権は窮地に陥った。
通貨は下落、国民に満足な給料が支払えない一方で、アフガン紛争が泥沼化し、累計でソ連兵は1万5千人死亡、7万5千人が負傷し、政権への不満が充満していた。
同盟国への支援も不可能になり、東欧諸国は次々と社会主義から脱却していった。
つまり、面子を守るためにわざわざ国外に軍事進出したが、経済封鎖と財政悪化により国民生活が悪化、戦況がどうであれ兵士の損耗が明らかとなり、経済も政権への信頼も崩壊したのである。
現状は当時とそっくりである。
英国戦争研究所の推定では9月末でウクライナ戦争でのロシア軍戦死者は20万人、負傷者は45万人と推定され、特にこの夏の損耗は激しかった。
これを受けてプーチンは兵力増強を表明、ついに北朝鮮から1万2千人の兵士を「借りる」ことになった。
北朝鮮はこれまでに累計1兆円規模の経済支援を受けており、その見返りとして派遣に応じたようだ。
北朝鮮としても大量の兵士を無為に抱える余裕はなく、エネルギー付きで人手を肩代わりして貰えるのは、まさに渡りに船だったろう。
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