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ロシア、経済指標の動きは危機の接近を暗示

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2205

半導体は米国経済の生命線、その中核である台湾を危うくするウクライナ侵攻


筆者の最大関心事はウクライナ情勢である。
もしウクライナが全面降伏する事態になれば、直ちに中国の台湾併合問題が当面の課題として浮上する。
経済を動かす基本要素はヒト、モノ、カネだが、持続的に動かすには食料、エネルギー、情報が必要である。
一応、食糧生産は世界合計では驚くほど安定的だ。
エネルギーは再生エネルギーの増大と近未来の新型原発の導入まで見込むと緊急性が高いとまでは言えない。
情報、言い換えればITは今や人体における神経系、循環器系に相当し、それが止まれば瞬時に死んでしまう。
半導体はITの基礎資材であり、世界生産の8割近くが極東の漢字文化圏4か国に集中する。

もしロシアがまんまとウクライナ占領、属領化に成功すれば、同じ論理を振りかざして中国が台湾の合併に動くだろう。
韓国(南朝鮮)はどうなるかと言えば、米国と中国を天秤にかけて上手に立ち回る曲芸ができるほど器用で戦略性の高い国民性ではなく、ロシアと中国の支援を受けた北朝鮮が立場を強めると、安易に親中国路線に乗ってしまう可能性が高い。
下手をすると北朝鮮主導で南北統一などという事態も視野に入ってくる。

この時点では半導体生産の7割、メモリーはほぼ9割が中国支配権に入ってしまう。
IT産業は間違いなく米国経済の中核だが、その生命線を中国が握ることになる。
これを警戒して米欧日がこぞって自国内での半導体生産誘致に向けて巨額の補助金を出すようになったのだ。
しかしその主要なピースは疑いもなく台湾の受託生産専門企業であるTSMC(台湾積体電子)であり、台湾が中国領になるなら計画は根底から白紙に戻ってしまう。

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