物語の魅力的なセリフ
物語に必要不可欠なのがセリフです。
言わずもがな、これはジャンルを問わず必要なものです。これがないと始まらない。当たり前のことですが。
このセリフの良し悪しが作品の質を左右すると言っても過言ではないと思っています。
でも、なかなか魅力的なセリフを書くのはむずかしい。
では、どうすれば魅力的なセリフになるのか?それは、
言いたいことの周りの言葉を書く
ということです。
なにそれ?ってなると思うのですが、自分の経験から話します。
物語を書くことを始めた当初、自分の書くセリフがつまんねぇなぁってずっと思ってて、なんでつまんねぇのかなぁってずっと考えてました。
なんか説明セリフばっかりで、自分で読んでもつまらないものばかりでした。ただ、物語を進めるためだけの言葉でなんかグッとこない。
なぜそうなるのかずっと考えました。んで、結果わかったことがあって、それは、
読み手の想像力を働かせる
ということです。
人は想像力を働かせると感情が動くという性質をもっています。和歌や短歌が何百年たっても愛されているのはこのせいだと思います。感情が動くとそれを楽しいと思います。これを利用します。良い感情悪い感情含めです。
例えば、あなたは明日デートです。何を着て行こうか考えます、想像します。どこで食事をしようか考えます。想像します。楽しくなりますよね?ワクワクしますよね?
逆に、あなたは借金があって明日返済の期日です。でも手元には千円しかありません。タバコと牛丼を買えば終わりです。どうしようと考えます、想像します。もう終わりだぁと震えあがりますよね?怖くなります。
このように、良くも悪くも想像すると感情が動きます。
物語を書く上で読み手の感情を動かさなければなりません。感情を動かせなければその作品は面白くないということになります。
そこで、
言いたいことの周りの言葉を書く
ということが必要となってくるのですが、その前にセリフが持つ機能を考えたほうが良さそうです。
セリフには機能があって
1、登場人物の心情をあらわす
2、登場人物たちの相関関係をあらわす
3、物語の進行を促す
まだあるかもしれませんが、だいたいこんな感じです。
それぞれ、言いたいことの周りの言葉を書く、の簡単に例をあげていきます。
1、登場人物の心情をあらわす
AがBに告白するシーン
AはBと面と向かって
B「何?こんなとこ呼び出して」
A「いや、あのさ」
B「なによ!」
A「おれ、お前のこと好きなんだ!」
B「は?なに言ってんの?」
これが普通のセリフです。
これを周りの言葉で書くとこうなります。
B「何?こんなとこ呼び出して」
A「いや、あのさ」
B「なによ!」
A「おれ、お前と手をつなぎたいんだ」
B「は?なに言ってんの?」
これが「好き」の周りの言葉です。
恥ずかしいくらい良いセリフではないですが、「手をつなぎたい」あー、AはBのこと好きなんだなって想像しませんか?ちょっとだけ気持ちがフワッとしませんか?感情が動きませんでしたか?
最初に書いた普通のセリフよりも。
直接的に「好き」と言ってももちろんいいのですが、周りの言葉で書いたほうが良くなりませんか?
加えてキャラの個性みたいなのも出てくると思います。ホントに何言ってんの?大丈夫?このキャラってなると思います。
2、登場人物たちの相関関係をあらわす
父Aと娘Bの朝の食卓での会話
A「こないだの中間テストの結果どうだったんだ?」
B「え?」
A「え?じゃないだろ、結果だよ」
B「まぁまぁ」
A「まぁまぁじゃ分からないだろ」
これが普通の会話
周りの言葉を使うと
A「こないだの中間テストの結果よかったんだろ?」
B「え?」
A「え?じゃないだろ、結果だよ」
B「まぁまぁ」
A「まぁまぁじゃ分からないだろ」
どうだったんだ→よかったんだろ、にすることによって娘に圧を加える父なんだなってのが出てくると思います。テスト結果が良くて当たり前、勉強ができて当たり前、みたいな印象になると思います。
娘に圧を加える父というような相関関係が分かると思います。
加えて、最後の分からないだろって言葉がより強く言っているように見えませんか?
最初の「どうだったんだ?」ではやさしい父とも取れると思います。どっちか分からない。
3、物語の進行を促す
冒険もので海を望む崖の上でAとBが話しています。
B「行かないで!一度船で出たら戻ってこれないかも」
A「いや、おれが行かなきゃいけないんだ」
B「なぜあなたなの?」
A「おれしかヤツを倒せない」
これが普通の会話
B「行かないで!一度船で出たら戻ってこれないかも」
A「いや、おれはおれが好きなお前やこの村のみんなを守りたいんだ」
B「なぜあなたなの?」
A「おれしかヤツを倒せない」
おれが行かなきゃいけない、これでもいいのですが、守りたいんだっていう意思が感じられてこっちのほうがより良くなっていると思います。別のシーンで守りたいっていう意思を感じられるを語ってもいいのですが、ここで伝えておけば一石二鳥です。
どうでしょうか?周りの言葉でセリフを書くと少し感情が動きませんか?一歩踏み込んだ言葉と言ってもいいのかもしれません。
いずれにしても想像を掻き立てる言葉をチョイスしてセリフにする。ということが重要なのだと思います。
それが難しければ、セリフの機能
1、登場人物の心情をあらわす
2、登場人物たちの相関関係をあらわす
3、物語の進行を促す
1と2を同時にこなす。2と3を同時にこなす、1と3を同時にこなす言葉、とイメージすると少し簡単になるかもしれません。
ここで挙げたセリフが魅力的かどうかは分かりませんが(私の中では魅力的です)普通のセリフと比べるとマシと言えるのではないでしょうか?
もうひとつセリフについては言いたいことがあって、それは本音を言わせない、ということです。
どういうことかと言うと、物語を書いてると好きだ!嫌いだ!とかああしたいこうしたいなどのセリフを直接的に言いがちです。そのセリフはつまらない。面白くないです。
なぜかというと、書いてる物語を早く先に先に進めたいと思っているだけだからです。これだと面白くないのです。なんの感情も湧かないからです。
直接的なセリフではなく、一工夫加える必要があると思います。
そうすることで魅力的なセリフが生まれてきます。
何か物語を書く際の参考になればと思います。
次回も物語を書くためのあれこれを書いていきたいと思います。
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