ほめる? (動機付けは難しい)
「自己肯定感」を伸ばすことが1つのヒントになるでしょう。
動機付けに使う手段を「強化子」と言います。そのうち,ほめたり,ごほうびを与えたりすることを「好子(こうし)」。叱ったり,罰を与えたりすることを「嫌子(けんし)」と言います。
「ほめて伸ばす」とよく言いますが,ほめられても嬉しくないこともあります。例えば志望大学に合格したときには,ほめられて嬉しいものですが,不本意入学なら嬉しい気持ちにはなれないでしょう。あるいは,英検2級の人が英検4級の問題を全問正解してほめられても嬉しくはないでしょう。つまり,本人の希望する「達成課題のレベル」に合わせてほめる必要があります。
では,ごほうび(好子)の効果はいかがでしょう? 成績が上がるたびに,こずかいをアップすば,きりがありませんし,そのうち感覚がマヒするでしょう。
その逆に,叱ったり罰(嫌子)を与えたりする効果はどうでしょう。ずばり「選択的態度」を取る場合が多いようです。例えば先生の前だけでは,よい子にしている。あるいは「罰が怖いから宿題をする」などで,場合によってはトラウマになることもあります。
このように,ほめることが効果的でない場合もありますし,叱ることで自己否定の悪循環に陥ることもあります。
それでもヒントはあります。人は自分の行動が他人に認められたと実感できたとき,前進する力が出ます。例えばサッカーの試合に負けても,後半20分のパスの通し方はよかった,と言われると,自分のプレーを認めてもらった気持ちになります。これは「自己肯定感の好循環」につながります。
「動機付け」は難しいテーマで,正解はないのかもしれません。しかしながら,人の気持ちを聴く,つまり「傾聴」し,人が実行したいことを「援助」する気持ちを持つことで,場面に応じた動機付けができるようになると思います。