【起業支援プログラム第6回レポート】成長戦略とグロースハック
JAFCOでは起業家支援の一環として、起業支援プログラム「First Leap」を運営しています。このプログラムでは、起業を志す方々がJAFCOに客員起業家として参画頂き、3か月間の期間を通じてビジネスアイデアを実際の事業に具体化していきます。
その中で、外部のスタートアップの先輩経営者・起業の専門家など、豪華な講師陣を招き、起業に必要なノウハウを提供しています。第6回の勉強会では、会計ソフトfreeeなどを提供するフリー株式会社の三浦將太さんをお招きして行った勉強会のレポートをお送りいたします。
■講師 三浦さんのプロフィール
👇フリー株式会社 HP
■概要
<勉強会の目的>
フレームワークや理論だけではない「商売の本質」である、”誰に” ”何を” ”いつ” ”どう売るのか” その原則を学び、成長戦略とグロースハックに関しての理解を深める。
<構成>
ー売上成長を目指す際に、守るべき2つの"原則"
ーCEP設計の3か条
ー売れるCEPを見つけよう
■売上成長を目指す際に、守るべき2つの"原則"
売上の成長には”浸透率”(特定の市場やセグメントにおいて、自社の商品やサービスを利用している顧客の割合)が大きく影響します。また、浸透率の増加には顧客が商品を購入する際のきっかけである”CEP”(顧客が商品を購買する際の生活シーンやきっかけ、タイミングなどの文脈)を増やすことが必要です。CEPは自社のサービスやプロダクトに通じている「入り口」です。
消費者の購買動機やニーズは、属性情報と「対」になっているのではなく、生活文脈やタイミング、時期など、日々変わります。それをとらえるのがCEPの基本的な考え方です。
売上やシェアが大きな商品・サービスほど、たくさんのCEPを持っています。あえて大げさな言い方をすれば、企業成長はCEPをいかに見つけ、そして占有するかの勝負にかかっていると言えるでしょう。そしてこの事実は、BtoCのプロダクトだけでなくBtoBプロダクトも同様であると言えます。
■CEP設計の3か条
CEPの設計には将来の「ペルソナ的」な顧客の捉え方から脱却することで顧客の置かれた生活文脈やインサイトに注目することが重要であると言えます。
■売れるCEPを見つけよう
売れるCEPを見つける基本的なポイントは、「Self Observation」「Unrefusable Offer」「Cognition/Physical Flow」の3つです。CEPを見つけた後、定量調査を行い、ボリュームと妥当性の評価を行います。今回は「Unrefusable Offer」と「Cognition/Physical Flow」の2点について解説いただきました。
・Unrefusable offer =絶対断れない提案
Unrefusable offerを検討するにあたってプロダクト/サービスの便益を、30秒で説明し、顔と名前がわかるn=1の特定の個人に「買いたい!欲しい!」と思わせる必要があります。
よくペインの解消と言われることもありますが、それだけだと「便利だね」という認識で終わり、購買には至りません。「便利だね」で終わらず、どうしても買いたくなる、試したくなる、そんなオファーを考えなければなりません。これが設計できないのに、プロモーションにお金をつぎ込んでも成果は出ません。まずはトップ自らが「欲しい!」「試したい!」と思ってもらえるようなセールススクリプトをつくれるかどうかが重要と考えます。
Unrefusable offerに絶対解はありませんが、代表的な要素は以下の3点です。
・感情:「やってみたい」「試してみたい」とトライアル意欲が上がるもの。
・合理:「課題や悩みを解決できる」「得する」と納得できるもの。
・選択性:他に選択肢がないもの(やらざるをえない状況になるもの)
・Cognition & Physical Flow =認知導線と行動導線
CEPを見つけるには、顧客の認知と実行動の「導線(動線)」を見極め、その導線上に自社プロダクト/サービスを設置する必要があります。
【Cognition Flow = 認知導線】
顧客ニーズの認知導線上に、自社のプロダクトやサービスを設置することが重要です。顧客が消費活動をするときに、頭の中でどのように検討しているのかを考えましょう。分岐をする道のようなものを想像していただけるとわかりやすいと思います。食事であれば、「内食か外食か」。外食を選べば、「肉か魚かそれ以外か」。肉なら「ステーキか、焼肉か、ハンバーグか」などなど、色々な分岐があります。
この分岐において、「もっとも人通りが多い導線」に自社サービス/プロダクトを設置できると効果的です。分岐フローの川下で選ばれる確率を高めても、そこに到達する人が少なければ効果は小さいです。なるべく川上で選ばれる必要があります。
参考までに、うまくCognition Flow:認知導線を設計したと個人的に思うものを挙げてみます。
◾️ Physical Flow = 行動導線
Physical Flowとは、顧客の行動導線(動線)上に、自社のプロダクトを設置することです。行動導線においては「いつ」「どんな時」「どんな場所」といったシチュエーションを検討することが重要です。
例えば、「雨が振ったときの傘」、「最も人通りの多い道にランチ看板を出す」などです。行動導線上にないと、「購買時に選ばれない」し「思いだされることもない」です。
ディズニーランドではアトラクション体験後の最も気持ちが高まったタイミングでギフトショップを設置していたり、帰園時に「そういえばお土産」と思いだせるよう出入口付近に数多くショップを設置しています。
キングコング西野氏が、絵本を販売する際に「様々なエリアで展示会を多く開催してもらい、その出口にお土産として絵本を販売する」といったプランは、誰もが学ぶべき事例の1つだと感じました。絵本とお土産の「お財布」が異なることに着目し、かつ導線上、必ず購買機会に触れさせることができる場をつくったその思考プロセスには、マーケターや経営者も学ぶべきポイントが非常に多いのではないでしょうか。
売れているものには色々な理由がありますが、その1つに行動導線があります。是非、自身がサービスや商品を購入したときの「行動導線」を検討してみてください、何かヒントが見つかるかもしれません。
参加者コメント
企画者コメント
プロダクト開発の0→1フェーズが完了し、グロースに向けて動くときに何から手をつければよいのか、という具体的なテーマについてfreee執行役員の三浦さんからお話を頂きました。マーケティングの理論は理解したけど、自社のビジネスに応用した時に具体的なアクションがわからないという参加者のニーズに深く刺さったようで、活発な質疑応答がされたのが印象的でした。全6回のプログラムの締めに相応しい最終回になったと思います。
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