Web1.0と2.0をじっくり解説
インターン生の早舩です。前回のnoteではWeb3.0に関連して過去1年間のNFTブームの進退についての振り返りを行いましたが、Web3.0を理解する前に、Web1.0とWeb2.0を理解する事は重要だと考えたので、今回はWeb1.0とWeb2.0に焦点を絞って解説していきたいと思います。歴史を振り返る事は非常に大切ですよね!
今回の記事のポイント❗️
※前回のNFTの記事はこちら!
インターネットの登場(Web1.0時代)
Web1.0は、2004年にWeb2.0という言葉が生まれたと同時にできた言葉だと思われますが、主にインターネットが一般人向けに普及し始めた1995年から2000年頃を指しています。ただ、当初インターネットは通信速度が十分でないことや、従量課金型であったなど様々な制約があり、日本の場合は1990年代後半でも国民の使用率は約20%でした(以下グラフ参照)。
ドットコムバブルから再考するWeb1.0時代
ここで、もう少しWeb1.0を深掘りするために、前回の記事でも取り上げたドットコムバブルについて考えていこうと思います。
上のグラフは米国の代表的な株価指数であるS&P500指数の2000年付近のチャートですが、1990年代後半にかけてかなり大きく上昇している事がわかります。株価は期待を表しているという言葉もある通り、かなりインターネットが期待されていたという事が伺えますが、当時の実際のインターネット環境は先ほども言及した通りまだまだ制約があり、世界的にみても広く普及しているとは言い難いものでした。結果的に実体経済と金融経済の乖離が大きくなってしまい、バブル崩壊を招いてしまいました。
Web1.0時代の企業をピックアップ
より具体的にドットコムバブルを乗り越えた企業(Amazon)と、乗り越えられずに倒産してしまった企業(Webvan)を細かく見てみましょう。
・Amazon
1995年にAmazonはオンライン書店としてサービスを開始し、ローンチしてからわずか1ヶ月で知名度が拡大し、アメリカ全州、世界45カ国へ本を発送。2ヶ月後には、1周間の売上が2万ドルにまで達したといいます。このように順調な滑り出しをみせたAmazonは、設立から3年後の1997年、米株式市場ナスダックへの上場を果たしました。しかし、創業者のジェフ・ベゾスは、開業当初の4 - 5年間では利益を挙げることはできないと予測し、配当を株主に還元せず、徹底して顧客満足の拡充を意識しました。その結果、21世紀初頭の多くのIT企業を倒産に追い込んだドットコムバブル崩壊において、堅実なビジネスモデルを選択した Amazon は生き残り、IT不況を乗り越えて電子商取引における大手企業となりました。
・オンラインの食料品購入サービス「Webvan」
2020年はオンラインの食料品購入が大きな注目を集めましたが、遡ること約20年前の1999年もまた話題となった年でした。それらのサービスを担う企業の1つとしてWebvanが挙げられます。当時、AmazonをはじめとするIT企業がECで成功を収めたことで、数兆ドル(数百兆円)規模の米国食料品業界においても、ECによる破壊的イノベーションが起こるのは避けられないと考えられていました。そんな中約800億円もの資金を調達し、台頭してきたのがWebvanです。ただ、利益率が低い場合が多い配送および食料品販売業界は、事業を拡大しないと十分な利益が得られない性質上、ある程度事業が育つまでは資金調達に頼らざるを得ないのですが、ドットコムバブル崩壊が起こってしまい、資金が枯渇し、結果的に倒産してしまいました。
会社の命運を左右した経営判断
1990年代に食品ECサービスがあったのか!と驚いた方もいるかもしれません。現在では、当たり前に成り立っている食品ECサービスが、どうして当時上手くいかなかったのでしょうか。また、逆にAmazonは何故バブル崩壊を乗り越える事ができたのでしょうか。その理由として、やはり経営判断の影響が大きいと思っています。Amazonは株価よりも顧客を優先する経営を徹底してきました。創業者のジェフ・ベゾスは顧客にしっかり向き合った結果、顧客を満足させられるレベルのインターネット環境・物流環境が整うまではかなり時間がかかる事を見通していたのではないでしょうか。
反対に、Webvanのように事業拡大のための投資が先行してしまった企業は、思ったよりも利益が伸びず、資金が枯渇し、バブル崩壊を乗り越えられなかったのではないでしょうか?
Web2.0登場の時代背景
さて、Web1.0とWeb2.0を比較すると考察しやすいので、続けてWeb2.0についても解説します。
「定義」より「用途」
2000年代前半にかけてWeb2.0というワードが流行しました。
Web2.0ブームを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
Web2.0というワードはアメリカの出版社を経営していた、ティム・オライリー(Tim O'Reilly)らによって提唱された「(当時における)次世代のWebの姿」を表現した概念です。オライリーらは、ドットコムバブルを生き抜いた企業に共通する特徴を見出し、1つの言葉に凝縮して「Web2.0」という言葉を生み出しましたが、当時Web2.0の定義ついて議論していた方々は「次世代のWeb」という言葉が含む曖昧さゆえ、結論の見えない議論を繰り返していました。そのためWeb2.0が生まれ、一定期間を過ぎた頃には、言葉の定義よりも、その言葉自体をたたき台に、「Web2.0を使ってどうやって儲けるか」という議論がなされるようになりました。
当時のインターネットを取り巻く環境
さて、Web2.0という言葉が生まれた2000年代前半、当時のインターネットを取り巻く環境が大きく変化していました。ここでは大きく「環境の整備」と「Google」の登場という2つの大きな変化を取り上げてみようと思います。
・環境の整備
インターネットには高速大容量の接続環境が必要ですが、光ファイバーなどの技術の台頭により、実現に大きく貢献しました。更に当時はパソコンも1人1台所持が当たり前になり、高速大容量の通信接続も安価で可能になってきたことより、インターネットユーザーが指数関数的に増えていきました。
・Googleの登場
1998年にGoogleが登場し、検索エンジンを開発したことより、ユーザーがあらゆるWebサービスにアクセスできるようになりました。GoogleはWeb2.0そのものを表しているという方もいるほどです。
オライリー氏の考えるWeb2.0の「7つの原則」
ここでは、オライリー氏の考えるWeb2.0の定義のようなものを紹介していきますが、当時流行っていたWebサービスを整理したと考えても良いかもしれません。大切なことは、過程を理解するということだと考えています。
当時の方々がどのようにWeb2.0と向き合い、試行錯誤していたかを理解することで、Web3.0を考察するきっかけになればと考えています。更に、当時からこんな事を考えていたのか!と驚く部分もあるので、是非読んでみてください。
考察
長々と歴史を綴って来ましたが、これから本題の考察に移ります!
Web1.0の時代にアイデア自体はあった
1990年代に食品ECサービスがあった事に少し驚いた方もいるのではないのでしょうか。重要な事は、インターネットビジネスのアイデアの基盤はもう既にWeb1.0の時代に出来ていたのではないかという事です。ブログというサービスもWeb2.0時代を待たずして、Web1.0の時代には出来ていました。
巷の記事を見てみると、Web1.0はサービス提供者の一方方向性が特徴であるという記事をよく見かけます。確かにその観点はあると思います。まだ、そこまでビジネスが育っていないのです。ただ、一方方向だからという理由で当時のユーザーが離れて行くでしょうか?それよりも私はインターネットの土台が出来ていないという特徴の方が大きいと考えています。つまり、この段落を要約すると、Web1.0時代はインターネットビジネスのアイデアはあるものの、環境が整備されていない時代なのではないかという事です。
Web2.0の時代はインターネットが普及する土台が整った
もうお分かりかと思いますが、私にとってWeb2.0時代とはインターネットが普及する土台が整った時代を表しており、Web2.0はそれを可能にした技術群を表しているのではと考えています。特にWeb2.0時代に特段新しい概念が生まれたわけではなく、新しい技術によって、人々の常識が変化し、Web1.0時代の理想像が一気に花開いた時代ではないでしょうか?
S&Pのチャートを見ても着々と数字を伸ばしています。Web制作の知識が無くても簡単に情報が発信できるようになったり、企業がAPIを当たり前のように公開するようになるなど、インターネットが人々にとって身近となる文化も醸成されたと思います。
最後に
「歴史は繰り返す」という言葉もあるように、私は事あるごとに歴史を振り返り、以前の同様な事例を調べています。今回の場合はどうでしょうか?
この記事の主旨は、インターネットが普及するまでに、期待フェーズと浸透フェーズの2段階のステップが存在したのではないかという仮説提案です。新しい技術が出てきた時、それが広く普及できるような環境が整備されているかという視点は重要だと思います。その視点からWeb3.0を見てみるとどうでしょうか?口座開設の複雑さやハッキングの脅威など、まだまだ土台ができているとは言えないのではないでしょうか?今のWeb3.0関連企業が見習うべきはもしかするとAmazonなのかもしれませんね!
次回のnoteは今回得た知見を元に、Web3.0に焦点を絞って記事を書きたいと思っています。
※本記事の内容の一部は、信頼できると考えられる公開情報に基づき作成しておりますが、その正確性を保証するものではありません。また、記載した見解は、必ずしも会社の立場、戦略、意見を代表するものではありません。掲載された内容によって生じた直接的、間接的な損害に対しては、責任を負いかねますので、ご了承ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?