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【キーマンは左利きCB?】「湘南ベルマーレ 2024」シーズン総括&補強ポイント

「湘南ベルマーレ 2024」

※ 初稿時、タイトルに名前を入れせて頂いていた「宇野禅斗」選手のエスパルス移籍が発表されたため、タイトルを一部変更しました(12/24)

シーズン総括&補強ポイント


Ⅰ.「成績確認&シーズン総括」

表Ⅰ.湘南ベルマーレ 2024シーズン成績表

シーズン総括

 山口監督体制4年目となった2024シーズン。
 山口監督がシーズン頭から指揮を執っている2022年以降、リーグ序盤で大きく躓き、終盤の追い上げで残留を決める流れが続いているベルマーレ。
 今シーズンも例に漏れず、リーグ前半戦は9戦連続引き分け以下を含む「3勝6分10敗」と大きく負け越しており、降格圏の18位での折り返し。

 それでも後半戦、夏場の3連勝、更にはリーグ終盤、上位陣相手の4連勝で残留を大きく手繰り寄せることに成功。
 勢いそのままに一桁順位も見えていた中、その後は勝ち点が思う様に伸びず、15位で閉幕。

 上記した現象に関しては、毎シーズンオフ、主力選手の入れ替えが起こっているため、どうしても開幕直後はチームの完成度が落ちていることが要因と思われ、主力の引き抜きは、クラブ規模を考えると今後も続く可能性は高く、非常に悩ましいところ。
 チームの完成度が高まった終盤戦は結果だけでなく、内容も伴った試合をしているだけに、主力選手の入れ替えがない状態で新シーズンを迎えることが出来れば、上位進出も現実的な話と言えるか。

 ちなみにこの現象が続く限り、カップ戦での早期敗退は当然の帰結であるとも考えられ、ファン・サポーターを含む、クラブ関係者にとっては悔しい現状。

フォーメーション

 過去2シーズン、年間を通して「3バック」(基本は「3-1-4-2」)を採用していた中、今シーズンは「4-4-2」で開幕
 対戦相手を見る限り、基本的には「3トップ+2シャドー対策」とも考えられる4バックの採用でしたが「1勝2分3敗」(8得点11失点)と失点が嵩み、結果もついて来ず、11節以降は全て3バックでのスタート

攻撃陣 総評

 2024シーズン、得点数は過去3年で最多の「53」を記録
 2024シーズンは、38試合制と過去2年よりも4試合多いことを差し引いても、前年から「13点」増えており、この点は評価されるべきポイント。
 その得点数の面においては、鈴木章(10点)・福田(10点)・ルキアン(11点)選手の3名が二桁得点を記録。
 また、カットインシュートが形になり始めた畑選手が「4得点5アシスト」BOX内への飛び出しが光った田中聡選手が「5得点4アシスト」と、パリオリンピックのメンバーから漏れた2人の活躍も目立ったシーズン。

守備陣 総評

 良い数字を残したと言える攻撃面に対して、守備では過去3年でワーストの「58」失点を喫しており、この点は一桁順位・上位進出を目指す上では改善が必須。
 最もこの点に関しては「守備陣」だけの問題ではなく「攻撃陣も含めたチーム全体」での取り組みが重要(詳細は「補強ポイント」の章にて後記します)。
 個々の選手に目を向けると、高卒3年目となる鈴木淳選手が、シーズン途中から本職ではないCBとしてスタメンの座を確保。当然のことながら、守備面においては不慣れな部分が見受けられたものの、持ち前の高い足元の技術を活かし、ビルドアップの面では大きくチームに貢献
 また、松村選手も怪我からの復帰を果たし、今シーズンはWBで起用されていたものの、個人的には鈴木淳選手をサイドボランチに配置し、松村選手を左サイドCBとして見てみたいところ。

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Ⅱ.「補強ポイント&候補選手」

現有戦力の確認

※ 期限付移籍中:富居・石井大・柴田徹・杉岡・福島・蓑田・柴田壮・中野
※ 契約満了:阿部・山田
※ 特別指定:田村・渡邊
※ 加入内定:石橋・本多・松本

補強ポイント GK

【優先順位:低】

 上福元選手・ソムボムグン選手と、J1主力級の実力の持ち主が2名在籍。頭数も揃っていることから補強の必要性はないと判断。
 但し、2024シーズン途中から上福元選手にスタメンの座を奪われ、8月以降は出場機会のなかったソムボムグン選手が退団を申し出ても不思議ではなく、その場合、富居選手への復帰要請を優先に、代替選手の補強は必須。

補強ポイント CB

【優先順位:高】

 山口監督が採用している「3-1-4-2」システムは、守備時に「5-3-2」に可変するとはいえ、トランジションの際、どうしても「3CB+アンカー」で守らなければならない時間が出てくるだけに、失点を減らすためには、単純に3CB個々の守備における総合力の高さは必須
 そう考えると、やはり、鈴木淳選手は本職の中盤で起用したいところ。
 更には大岩・大野選手が2025シーズン中に36歳となる点や、手術を受けている舘選手のコンディション等々を考えると、不安要素は少なくなく、主力級のCBが1枚以上は欲しいところであり、補強の優先順位は高いと判断。

 また、ビルドアップの観点から考えると、個人的には左サイドCBに左利きの選手を配置し、サイドボランチへの縦パスやSB裏のスペースへのスムーズな配球を求めたいところであり、以上の点から補強候補として以下の選手を挙げさて頂きます。

【CB補強候補選手】
・伊藤槙人(ジュビロ磐田)
・河面旺成(名古屋グランパス)

 まず、伊藤槙選手に関しては、J1で71試合・J2で115試合出場している、32歳の経験豊富なCBであり、J1・J2の両カテゴリーでリーグ制覇
 マリノス時代はポステゴグルー体制のハイライン戦術を経験しているため、ベルマーレにおいても、3バック裏のスペースへの対応が期待でき、また、ビルドアップにも定評あり
 ここ数シーズンにおける、大岩・大野選手のJ1残留への貢献を踏まえると、彼らの様な経験のある選手は必須であると考えられるだけに、いずれは、2人の後継者としての役割も期待したいところ。
 ちなみにジュビロでは鈴木雄選手と共にプレー経験あり

 河面選手サイドCB・WB・SBと複数のポジションを担うことの出来る、30歳のレフティー。その左足から繰り出されるキックの精度には定評あり。
 また、身長184センチと高さもあり、2024シーズンは主力としてグランパスの堅守、ひいてはルヴァンカップ制覇に貢献。
 正に僕の求めている左サイドCB象に適した選手であると言え、また、WB・SBと複数のポジションを担える点は、人件費の面でも有難いところ。

 あとは前記した通り、現有戦力の松村選手の起用も選択肢のひとつではありますが、如何せん、長期離脱から復帰したばかりであり、まだ経験も浅いため、計算の目途という意味では、やはり補強は必要かと思います。

 また、2024シーズン途中からゼルビアに期限付き移籍している杉岡選手に関しては、個人的にWB・SBの選手ではないと思っており、そうなると、適正ポジションは左サイドCB一択ということになります。ベルマーレの財政面を考えると、複数のポジションを担える選手を優先したいところであり、噂が出ているレイソルへの移籍となっても不思議ではないと思います。

補強ポイント WB

【優先順位:中】

 まず左サイドに関しては、畑選手を筆頭に吉田・松村選手が控えており、更には小野瀬選手もこのポジションを担うことが出来るという現状。
 仮に河面選手を獲得できれば、WBとの併用もできるため、ベルマーレのクラブ規模を考えれば、十分な戦力と言えるか。

 対して右サイドに関しては、鈴木雄選手以外、年間を通して計算の出来る選手が存在せず、現状、控えは怪我の不安を抱える岡本選手のみであることを考えると、1枚は補強をしたいところ。

 また、2024シーズンのベルマーレの試合を観ていた中で、パスワークで手詰まりになった際、サイドでドリブルの出来る選手の必要性を感じていました。
 代表で言えば、三苫・伊東選手の様な縦に「突破できる」「剥がせる」選手でも、堂安選手の様な中に「持ち運べる」選手でも構わないのですが、何れにせよ、ドリブルの出来る選手が1枚いるだけで、個人での突破だけでなく、パスワークにも好影響が期待できるため、今回は「ドルブルの出来る選手」という括りで補強候補選手を選んでみました。

【右WB補強候補選手】
・オナイウ情滋(ベガルタ仙台)
・島村拓弥(柏レイソル)

  まず、オナイウ情選手に関しては、豊富な運動量とスピードが武器のサイドプレーヤー。
 先日の「J1昇格プレーオフ決勝」にて、ハイライト以外では初めてプレーを見たのですが、とにかく、シンプルに「速い」選手。また、スピードと違って1試合だけでは判断でき兼ねますが、クロスの質も悪くなかったと思います。
 まだまだ粗削りな感じもありましたが、2025シーズンが大卒3年目であり、まだJ2でのプレー経験しかないことから、年俸面でもJ1の選手と比較し、抑えられると考えられる点も好材料
 ちなみに獲得の噂が出ている藤井選手(アントラーズ)も同タイプ

 次に島村拓選手に関しては、解説者の林陵平さんが「柏のベルナルド・シウバ」と呼ぶ程、ドリブルに特徴のある左利きの選手です。
 2024シーズン、レイソルで「28試合3得点」を上げているものの、先発は僅か7試合のみであり、また、島村選手が多くの移籍を経験している選手であることを踏まえると、交渉の余地・獲得の可能性は十分にあるかと思います。

 ちなみに同じくドリブラーであり、2024シーズン、主力として横浜FCのJ1昇格に貢献した、期限付き移籍中の中野選手に関しては、きちんと結果を残している点に加え、松村選手のCB起用を考えると、左WB候補として呼び戻したいところ。

補強ポイント アンカー

【優先順位:中】

 育成組織出身で、今やチームの顔的存在とも言える田中聡選手を筆頭に、茨田選手・奥野選手がいることを考えると、頭数的には揃っていると言えるアンカーポジション。
 しかし、サンフレッチェからのオファーの噂がある田中聡選手が移籍となれば、優先順位が急激に高まることは当然ながら、そうでなくとも、阿部・山田選手が契約満了となり、サイドボランチが手薄になっていることを考えると、茨田選手をサイドボランチでカウントし、アンカーを新たに1枚獲得すべきとも考えられるかと思います。
 そこで以下の選手を補強候補として挙げておきたいと思います。

【アンカー補強候補選手】
・宇野禅斗(FC町田ゼルビア)
・小林祐希(フリー)

 宇野選手は守備に特徴を持つ、いわゆる「ボールハンター」と呼ばれる類の選手です。
 攻撃面でも2023シーズンは、リーグ終盤に田中聡選手を彷彿とさせるBOX内への飛び出しを含む3得点を上げ、ゼルビアの優勝・昇格に貢献。2024シーズンは途中加入ながら、期限付き移籍先のエスパルスで2得点を上げ、同じく、優勝・昇格に貢献。
 プレースタイル的にはベルマーレに適しており、アンカーで挙げさせてもらいましたが、サイドボランチとの併用も出来そうであることから、むしろ、サイドボランチの即戦力として、田中聡選手の移籍がなくとも欲しい選手
 21歳という年齢とゼルビアの選手層を考えると、2025シーズンも期限付き移籍となる可能性は十分に考えられ、獲得に現実味があるとも言えるか。

 小林祐選手は、左足のキックを武器とした攻撃面や強気な発言のイメージが世間的には強い選手かと思いますが、ヘーレーンフェーン時代はアンカーとして攻守の舵取り役を担っており、チームのために黒子に徹し、頭を使った気の利いたプレーが出来る選手でもあります。
 もちろん、左足のキックは彼の大きな武器であり、プレースキッカーが不足しているベルマーレにとっては、加入が決まれば貴重な人材となるかと思います。
 また、契約満了となってしまった阿部選手に対して、僕はベルマーレの若手攻撃陣の先生役の様なイメージを持っており、彼の退団はクラブ・選手にとって、数字だけでは推し量れない影響があるのではないかと懸念しています。
 しかし、小林祐選手であれば、サッカーIQ・コミュニケーション能力が高く、国内外でのプレー経験も豊富であるだけに、阿部選手とタイプは異なりますが、同じ様な役回りを十分に期待できるかと思います。
 ちなみにコンサドーレを契約満了となっており、現在フリーであるため、移籍金が掛からない点も好材料

補強ポイント サイドボランチ

【優先順位:低】

 表Ⅱの現有戦力だけを見ると、阿部・山田選手が契約満了となってしまった今、池田・小野瀬・平岡選手の3名しか存在しておらず、この3名は他のJ1クラブでも主力になれる実力の持ち主ではありますが、幾ら何でも層が薄すぎます。
 しかし、僕は鈴木淳選手をサイドボランチで起用したいと思っており、更にはアンカーの獲得候補選手に挙げさせて頂いた宇野選手、現有戦力の茨田選手がサイドボランチとの併用が可能である点も考慮し、補強の優先順位としては低いという判断に至りました。

補強ポイント CF

【優先順位:低】

 鈴木章(10点)・福田(10点)・ルキアン(11点)選手の二桁得点トリオに加え、来季の爆発が期待される長身FWの根本選手や、ベルマーレの宝とも言うべきU19代表の石井久選手など、加入内定選手も含めると7名と頭数は十分。
 そのため、二桁得点トリオに移籍が発生しない限り、補強の必要性はないと判断。仮に3選手の中の誰かが移籍した場合も、町野選手の移籍以降の循環を考えると、早急に補強を画策すべきなのかは悩みどころ。

補強ポイント総括 総失点数を減らす方法

 ちなみに総失点数を減らすためには「WBの守備の原則の徹底」「サイドボランチの守備意識」「サイドボランチ・CFの頭を使ったプレス」が重要になって来ると考えており、特に3点目に関しては、2022シーズン、失点が「39」と少なかった要因のひとつであると思っています。
 このシーズンはCFに瀬川選手・サイドボランチにタリク選手がおり、この2人を軸とした前線からの連動したプレスが効いていた印象があります。
 そのため、複数挙げさせて頂いた補強候補選手の中でも、宇野選手の獲得、そしてサイドボランチでの起用ができれば、素晴らしい補強となるのではないかと思います。

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Ⅲ.「2025シーズン フォーメーション(仮)」

※ 青文字は加入内定or補強候補選手
※ 期限付移籍中:富居・柴田徹・杉岡・福島・蓑田・柴田壮

 前線からの連動したプレスの整理・サイドボランチの守備意識向上・WBの守備改革を山口監督にして頂ければ、山口監督が就任当初、目標としていた「5位以内」も不可能ではなく、かつ、クラブ規模・予算的にも現実的な陣容(頭数的に数名、退団の可能性はあり)となっているかと思います。

 「湘南ベルマーレ2024 シーズン総括&補強ポイント」は以上となります。
 有難うございました。

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お読み頂き、有難うございます。 チップの使い道としては「記事作成の環境整備」への充当を主に考えております。 今後とも宜しくお願い致します。