【残る補強は左WB?】「柏レイソル 2024」シーズン総括&補強ポイント
「柏レイソル 2024」
シーズン総括&補強ポイント
Ⅰ.「成績確認&シーズン総括」
シーズン総括
井原監督体制2年目となった2024シーズン。
リーグ戦では2年連続となる残留争いに巻き込まれるも、瀬戸際の17位で残留確定。
リーグ終盤には5試合連続、後半ATの失点という不名誉な記録を残してしまい、この5試合で落とした勝ち点は計8ポイント。
この現象の兆候は2023シーズン終盤には表れており、順位も含め、改善が見られなかった以上、井原監督の退任は致し方ない結果と言えるか。
それでも、コーチ・監督として計12シーズン、レイソルのために戦って来たことは事実。中でも2009年~2014年に掛けては、ヘッドコーチとして、リーグ・ルヴァン杯・天皇杯制覇に貢献しており、この点は忘れてはいけない功績。
ちなみに「選手を萎縮させてしまっていた」というネルシーニョ監督の後任であり、井原さんとしては共にヘッドコーチをしていた責任もある中、厳しく指導し難い状況に置かれていたのではないかと推測でき、仮にそうであれば、その点は同情の余地あり。
守備面 総評
成績確認に話を戻すと、2シーズン連続、残留争いに巻き込まれたチームとしては、失点が少なく、2024シーズン、僕が観た複数の試合においても、守備に関しては(ATの件は除いて)悪い印象を受けていませんでした。
スタメンの選手の前線からのプレスは整理されており、ロングボールに対応できる高さのあるDFがいて、セカンドボールの回収の意識も高く、守備面においてはJ上位クラスの完成度と言っても過言ではない出来であったと思います。
攻撃面 総評
その一方で攻撃面においては、2シーズン連続、リーグワースト2位の得点数を記録しており、来季の巻き返しに向けて、この点の改善は必須。
ビルドアップに関しては、2CB対2トップの際、白井選手が最終ラインに入るなど、工夫を凝らしながら上手く前にボールを運べていた印象。
しかし、肝心のアタッキングサードにおいては、サヴィオ選手の個人技・サヴィオ選手×細谷選手のコンビは脅威でありましたが、チームとして、明確かつ効果的な攻撃の形が定まっていなかった様に感じられました。
最も、この点に関しては、新監督のリカルドロドリゲス氏が、相手を見た上での選手の配置(ボールを受ける位置)に拘ったサッカー(ポジショナルプレー)を志向しているため、落とし込みにどれだけ時間を要するのかという懸念点はありますが、改善は期待できるかと思います。
また、6得点と苦しんだ細谷選手に関しては、リーグ開幕前から日本代表の一員としてアジア杯・夏にはU23代表としてパリ五輪に出場しており、コンディションの面で難しい1年であったことは想像に難くなく、来季の爆発に期待したいところ。
しかし「3-4-2-1」「4-2-3-1」を主に併用して来た、リカルドロドリゲス監督のサッカーの中で、2トップ向きと思われる細谷選手が、本来の力を発揮できるのかに関しては、不安材料。
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Ⅱ.「補強ポイント&候補選手」
現有戦力の確認
リカルドロドリゲス新監督が「3-4-2-1」「4-2-3-1」を併用しながら、ポジショナルプレーを使ったサッカーを志向している点を踏まえた上で、ポジション毎に補強の必要性の有無を確認していきたいと思います。
補強ポイント GK
【優先順位:中】
頭数は4枚と揃っている中、ここ2シーズンは松本選手がスタメンの座を確保しており、パリ五輪バックアップメンバーの佐々木選手と経験豊富な守田選手が次点を争うという構図。
松本選手のパフォーマンスが明らかに低調ということはなく、更には若手有望株の佐々木選手が控えていることを考えると、少なくとも最優先で補強が必要とは言えない状況。
しかし、松本選手が絶対的な存在であるかと言えば、そうとは言い切れず、佐々木選手がここ2シーズン、正GKの座を奪還できていない点も踏まえると、資金的に可能であるならば、J1主力級の選手を獲得したいというのが正直なところ。
そんな中、アルビレックスから小島亨介選手の獲得が発表(12/26)されました。
「ポジショナルプレー=ポゼッションサッカー」ということではありませんが、前線の選手が中間ポジションを取ったところで、そこへの配球がなければ意味を成しません。
そういった意味で、ポゼッションサッカーのアルビレックスで正GKを務めていた、足元の技術にも定評のある小島選手の獲得は、新シーズンに向けて価値のある補強であると思います。
ちなみに小島選手の加入に伴い、GKに移籍者が出る可能性が浮上。
補強ポイント CB
【優先順位:低】
4バックで考えた場合、犬飼・古賀・立田選手の3枚を軸に、移籍2年目となる野田選手・即戦力として期待したい大卒ルーキーの栞田選手が控えていることを考えると、守備面での質的には十分とも言える陣容。
特に立田選手はシーズン終盤、オセフン選手や大迫選手といった、上位チームのエース級の選手にも引けを取らない、素晴らしい守備を見せてくれていたと思います。
しかし、その一方で、立田選手はビルドアップを得意としていない様に見受けられ、また、CB全体の頭数的にも欲を言えばもう1枚欲しいところ。
もしくは、高校時代までCBを務めており、足元の技術もある関根選手を選択肢のひとつとして捉えることも可能。
3バックで考えた場合、ヴォルティス時代のリカルド体制も含め、左サイドCBでもプレー経験豊富なジエゴ選手も有力な選択肢。
また、関根選手を右サイドCBで起用することも十分に考えられ、日本代表での活動への好影響を思えば、関根選手自身も前向きに取り組むことが出来るかと思います。
上記の点に加え、期限付き移籍先のV・ファーレンで主力として活躍した、期待の大型CB田中隼選手の復帰報道が出ていることを踏まえ、補強の優先順位は低いという判断に至りました。
※ 立田選手のファジアーノへの移籍・田中隼選手の復帰が決定(12/27)
補強ポイント SB・WB
【優先順位:高】
4バックのSBに関しては、左サイドにジエゴ・三丸選手、右サイドに関根・片山・川口選手が在籍。
関根選手は現役の日本代表であり、その他4選手もJ1でのプレー経験豊富であることを考えると、決して層が薄いわけではない現状。
但し、リカルドロドリゲス監督がSBに偽SBの役割を求める可能性を考えると、大学時代、その様なプレーに取り組んでいた関根選手は適性・経験があるものの、その他4選手に関しては未知数というのが正直なところ。
3バックのWBに関しては、ジエゴ選手が左サイドCBに入る可能性が高いことを考えると、左サイドの補強は急務。
右サイドに関しても、関根選手を右サイドCBとして起用する場合は補強が必要。
そんな中、グランパスから中盤の右サイドを主戦場とする久保藤次郎選手(12/26)・サガンから同じく右サイドを主戦場に、WB・SB・サイドCBと複数ポジションを担うことの出来る、原田亘選手の獲得(12/27)が決定。
久保・原田選手の獲得により、右サイドは人員過剰気味となっており、人員整理が実施される可能性が浮上。
以上の点から左サイドにおいて、SB・WB(出来ればサイドCBも)を担うことの出来る人材の補強が必要という判断に至りました。
【左SB・WB補強候補選手】
・パクミンギュ(北海道コンサドーレ札幌)
パクミンギュ選手は、今シーズン、夏の移籍市場でコンサドーレに加入し、後半戦の守備の安定・追い上げに大きく貢献した、現役韓国代表の左利きSB(WB)です。
コンサドーレではWB(SB)の他に、初挑戦となるサイドCB(3バック左)も務めており、更にはミシャ式と呼ばれるポジショナルプレーと相似したサッカーに対し、加入直後から適応していた点も含め、リカルド体制に相応しい人材であると考えられます。
補強ポイント ボランチ
【優先順位:中】
土屋選手のヴァンフォーレへの期限付き移籍が発表(12/27)されたため、2枠に対して頭数は4枚。戸嶋選手をボランチでカウントすれば5枚という現状。
スタメン候補筆頭の手塚・白井選手は、個々の能力も2人の関係性も悪くなく、少なくとも最優先で補強が必要とは言えない状況。
しかし、リカルドロドリゲス監督がレッズ時代、岩尾選手を呼び寄せた点に表れている様に、前線への配球役として重要なポジションであることを考えると、欲を言えば、主力級の選手を1枚獲得したいところ。
【ボランチ補強候補選手】
・森岡亮太(ヴィッセル神戸)
森岡選手はポーランド・ベルギーで約8年プレーした後、2024シーズン途中に古巣ヴィッセルへと復帰した、中盤においては万能型と言える元日本代表の選手です。
ベルギー時代はボランチでプレーしていた時期もあり、中盤の底からゲームのコントロールを期待でき、リカルドロドリゲス監督にとって、岩尾選手の様な存在となり得る選手だと思います。
ヴィッセル復帰以降、原因は分かり兼ねますが、天皇杯とACLのみの出場となっており、仮にヴィッセルのスタイルとのミスマッチに因るものであれば、獲得の可能性は残されているのではないでしょうか。
補強ポイント SH・IH
【優先順位:低】
小屋松・サヴィオ・島村・戸嶋・山田選手とタイプが異なる主力5名に加え、アントラーズから仲間選手の加入(復帰)が発表(12/24)されており、更には来季、高卒3年目となるファルザン選手・大卒ルーキーの中川選手がいることを考えると、質・頭数の両面で十分と言える陣容。
そのため、このポジションに関しては、現有戦力の確保が最大の補強。
但し、レッズへの移籍確定報道が出ているサヴィオ選手に関しては、流出は避けられないとも思われるだけに、この点は唯一にて最大の懸念材料。
仮にサヴィオ選手が移籍してしまった場合、サヴィオ選手級の選手を国内から獲ることは難しいと思われるため、海外から新外国人選手の獲得が必須。
また、獲得の噂が出ているヴォルティスの渡井選手に関しては、リカルドロドリゲス監督の下で3シーズンに亘ってプレーしており、監督のサッカーを理解していると考えられるだけに、純粋な戦力としてはもちろん、スタイルの伝導役としても期待できるため、加入が決まれば貴重な存在となること間違いなしか。
補強ポイント CF
【優先順位:低】
エースの細谷選手・2024シーズン10得点の木下選手・2020シーズン、ヴォルティスにて、リカルド体制の下で17得点を上げ、J2優勝へと大きく貢献した垣田選手の3名が在籍していることを考えると、補強の必要性は低いと言えるか。
その一方で「4-2-3-1」にしろ「3-4-2-1」にしろ、1トップとなる可能性が高く、前記した様に、2トップ向きであると思われる細谷選手の使い所が難しく、リカルドロドリゲス監督が彼をどこに配置するかにも注目。
ちなみに現状、加入内定選手含め、来季はCFが9名いるため、1枠に対して明らかに人員過多であり、ほぼ間違いなく移籍となる選手が出ると思われます。
※ フロート選手の退団・サディキ選手のFC琉球への期限付き移籍が決定(12/28)
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Ⅲ.「2025シーズン フォーメーション(仮)」
左WBにジエゴ選手を入れて、左サイドCB田中選手を起用する形もあり得るかもしれません。
また、個人的には1トップに垣田選手を抜擢する可能性も十分にあると考えています。
何れにせよ、ポジショナルプレーが嵌まれば、上位を狙えそうな陣容になっているかと思います。その反面、中途半端なポジショナルはカウンターの餌食となりますので、オフシーズンが例年より短いことを考えると、序盤戦は苦しむ可能性も。
図にしてみると「3-4-2-1」の方が収まりの良い印象はあります。
最もポジショナルプレーをするのであれば、システムの数字に囚われる必要はないとも言えます。ただ、スムーズな導入という観点で考えると、3バックであれば(相手が4バックの場合)WBのところでズレを作り出し易いことは確かであり、リカルドロドリゲス監督の成功体験(J2優勝)も含め、個人的には「3-4-2-1」を採用する可能性が高いと踏んでいます。
「柏レイソル2024 シーズン総括&補強ポイント」は以上となります。
有難うございました。
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ちなみに、フロンターレ・ベルマーレ・レイソルと続けて来た「2024シーズン総括&補強ポイント」ですが、今回は3クラブで終了とさせて頂きます。
既に多くの選手の移籍が決まっており、年明けには外国人選手にも動きがあることを考えると、記事の作成中に各クラブの補強が終わってしまう可能性が高いことが理由となります。
J開幕まではもう暫く時間がありますので、今後は、極端にエンタメよりの記事も含めた「サッカー関連記事」や、引き続き「海外サッカー分析レポート」などを投稿予定ですので、2025年も宜しくお願い致します。
余裕があれば、FC町田ゼルビアのドキュメンタリー番組「ZELVIA 異端の新参者」のレビューを投稿予定ですが、ひとまず、2024年、有難うございました。良いお年をお過ごし下さい。