JAEAの先輩職員をご紹介!(技術職)
丹保 雅喜
原子力科学研究所 研究基盤技術部 BECKY技術課
2021年入社。配属は原子力科学研究所で研究に必要な分析や工程管理における分析業務を担当。福島第一原子力発電所の廃止措置に向けたデブリの分析技術確立を目標に活動中。
JAEAに就職した理由
私は、学生時代に化学を専攻しており、友達や先輩が化学メーカーを志望していたため、私も化学メーカーに就職を考えていました。そんな中、大学で行われていたJAEAに就職したOB訪問の説明会に参加したことで、原子力業界が何をしているかに興味を持ち始めました。はじめは、原子力や放射線に関する分野を専攻している必要があるかと思っていましたが、OBの話を聞いていく中で、原子力とは全く異なる分野で自分と同じ専攻の先輩職員が活躍していることを知り、具体的な働く姿をイメージすることができました。また、原子力機構が東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故からの福島復興を含む廃止措置に携わっている事を知り、私もその一助になりたいと思い入所を決断しました。
福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取り組み
私が現在担当している業務は、福島第一原子力発電所内の「デブリ」(燃料が過熱し溶けて固まったもの)の組成分析手法の確立です。原子力発電所を廃炉にする際、原子炉内の状態を知る必要がありますが、福島第一原子力発電所内のデブリの状態が分からないため廃炉作業を進めることが困難になっています。そのため安全評価を行う必要があり、安全評価に必要な情報としてデブリの状態や物性を調べています。その中で、私はデブリに含まれるウランやプルトニウムといった核燃料物質やその他重要な元素の同位体組成を分析しています。最近では、模擬のデブリやアメリカのスリーマイル島の原子力発電所で起きた事故のデブリを用いて同位体組成の分析を行い、技術手法の確立を目標に活動しています。その中で私が難しいと感じる点は、試料量が少ない点です。試料を分析機器で分析する際、事前に元素ごとに単離する必要がありますが、元々の試料量が少ない上に単離していくと取扱量が少なくなり、最終的に100 ng程度になってしまいます。本当に存在するかどうか分からないという不安を抱えたまま作業をしますが、私はこのような時「見えないものを見る」気持ちで丁寧に処理することを心掛けています。現在の業務は難しいと感じる反面、非常にやりがいのある仕事だと感じており、自分が重要な研究の一助になれている実感があります。今後は、福島第一原子力発電所のデブリを実際に分析する際、廃炉作業が1日も早く進むよう、丁寧かつ迅速に分析業務を行っていきたいと思います。
休日も多くプライベートも充実!
仕事を進めていく上では先輩や上司の方が丁寧にサポートしてくれるため、不安なく仕事をすることができています。また、福利厚生についても独身寮や世帯寮が完備されており、生活に困ることはないと思います。私が伝えたいのは、年間の有給休暇が27日という多さです。土日祝日とは別に有給休暇が年間20日、さらに夏期休暇が7日間付与されます。私の職場では休暇を取得するよう推奨しており、私は休暇を取ってよく遠出をしています。さらに定時退勤を機構全体で促していため、退勤後に友達と夕食を食べに出掛けたりして、仕事以外の時間も充実しています。
学生時代と今の業務の関わり
私は、化学専攻の中でも有機化学を専攻していました。そのため、原子力や放射線にまったく関係がなく、「自分はやっていけるだろうか」と不安に感じていましたが、実際に作業してみると大学で行ってきた作業(実験や研究)が役に立つことに気づかされました。私の職場は、ウランやプルトニウムなどの核燃料物質を取り扱うことが多く、取り扱いには注意が必要です。しかし、フード内作業や試薬の取り扱いなどは大学で学んできていたため、すぐに作業をすることができました。また、分析機器についても大学の講義で勉強してきた機器等が多く、大まかな原理等についてはすぐに吸収することができ、現在では、作業を行うとともに後輩に作業を教えられるまで成長しています。職場によるかもしれませんが、学生時代に学んだことが100%同じでなくても、研究や取り組みは社会に役立つと思います。
どのような就職活動を行っていたか
私は、大きく「社会に広く貢献できる仕事であること」と「仕事とプライベートが両立できる環境が整っていること」の2つを軸として就職活動を行いました。学生時代、地域の小学生や中学生と一緒に科学実験を行う学生バイトをしており、参加した学生が理解した時や実験が上手くできた時は嬉しくて一緒に喜びました。学生さんの活き活きした姿は印象的で、社会発展や地域活性化に向けた取り組みを行う仕事に就きたいと思うようになり、インフラ関係の仕事に興味を持ちました。また、一度きりの人生で多くの時間を仕事に費やすだけでなく色々な経験をしたいと思い、仕事とプライベートが両立できるような制度がある仕事を調べ、興味がある分野のうち、2つの軸に最も合致していたのが原子力機構であったため入所しようと考えました。