JAEAの先輩職員をご紹介!(研究職)
福田 航大
安全研究・防災支援部門 安全研究センター
燃料サイクル安全研究ディビジョン 臨界安全研究グループ
兼 研究開発推進部 軽水炉研究推進室
2021年に入職、安全研究センターの臨界安全研究グループに配属(茨城県東海村)。主に核燃料施設や燃料デブリの臨界安全性に係る研究業務に従事。2024年より研究開発推進部の軽水炉研究推進室に兼務。
JAEAを志したきっかけ
大学院修士課程在学中、博士号取得や研究職への憧れが強まるとともに、公共性が高く安定した職を求め、公的機関での勤務を目指すようになりました。博士課程では、JAEAをはじめとする複数の公的機関でインターンシップを経験させていただきましたが、どの機関にもそれぞれの魅力を感じ、いずれの場所で働かせていただくことになっても喜ばしい、といった気持ちでいました。
博士号取得・大学院修了への見込みが立ってきた頃、第一志望先としてJAEAを選ばせていただくことになったわけですが、きっかけはある国際会議での一場面でした。聴衆としてたまたま隣に座っていたJAEAの方が、場の雰囲気を損なうことなく建設的なコメントを飛ばし、会場を沸かせ、時に私のような学生に小声でさりげなく優しく解説してくれる姿が非常に眩しく映ったのでした。このような方がゴロゴロいるであろうJAEAという職場で働きたいと直感的に思ったことを覚えています。同時期に参加させていただいたインターンシップでは、後に同僚となる方々と出会い、一緒に働かせてもらいたい、という思いが強まったのでした。
もちろん、ESや面接では”貴機構のビジョンに共感し~”みたいなお決まりの内容を志望動機の軸にしましたし、他にも多くの理由がありましたが、私にとって最大の決め手は、正直なところ”人”でした。
4年目研究職員の実態
研究職員ということで、研究計画の立案、実証、その方法や結果の発表、フィードバックを基にしたブラッシュアップ、論文としての公表、次の計画立案、時に研究費の申請書執筆…というサイクルが業務の中心です。研究の内容をここにお書きしてもあまり需要が無いと思うので割愛します。万が一興味を持ってくださる方がおられましたら以下をご参照ください。
また、JAEAは原子力に関する唯一の国立研究開発法人ということもあり、国内外の関連コミュニティへの貢献も期待されています。例えば、論文誌の査読、学会・部会の運営や国際会議の主催といった、大きな責任を伴う、けれども非常にやりがいのある仕事も担当させていただいております。
少し込み入った話になりますが、私が所属している安全研究センターは規制側と(JAEAを含む)事業者側の双方と意見交換ができる中立的な組織です。その特異な立ち位置を活かし、窓口業務、会議や視察のアレンジといった仕事もさせていただいており、刺激的な毎日を過ごしています。
このように「研究」という枠を超えて幅広い業務を担当させていただく機会が増えてきたことで、研究に充てられる時間は年々減ってきているのが実態です。全体の業務時間の6割ほどを研究に費やせているかどうか、というところです。効率的に仕事をこなすスキルの重要性を痛感しています。ということで、この記事もほとんどchatGPTに書いてもらっています。便利な時代ですね。
研究職員からみたJAEAの特徴
JAEAの研究職で自信を持っておすすめできる所は、とにかく自由度が高い、という点です。立てた計画に対して適切な成果を上げていれば、業務の進め方について細かく指示されることは少なく、自己主導で進めることが奨励されます(他者に迷惑を掛けず、最低限のルールを守ることは大前提ですが)。このような自主性が重んじられる環境下で、研究者として大きく成長することができるのではないでしょうか。ただし、自由度の高さは両刃の剣でもあり、自分の個性や長所を生かしやすい一方で、自己管理が求められるため、堕落のリスクもあると思います。マイクロマネジメントを好む方にはJAEAの研究職はあまり向いてないかもしれません。
また、今年度から人事制度が改変され、従来の年功序列・学歴主義が撤廃されました。今後は能力・成果に基づいて待遇が決定されるそうです。そのため、”JAEAに入ってしまえば安泰、のんびり研究できるわ”と長い時間をかけて研究成果を創出したいというスタンスの方は意外なギャップに直面するかもしれません。一方で、どんどん成果を上げていきたいという気概がある方にとっては、素晴らしい職場になるはずです。
JAEAは原子力を扱う公的機関であるため、コンプライアンスが強調される場面が多いのは避けられません。率直に言えば、事なかれ主義の傾向があり、問題が起こることを極端に嫌う風潮があると感じています。その結果として、複雑なルールや、これ本当に要るんか…と思うような調査・申請が多いことも事実です。その度に謎のフォーマットをメールで投げ合うことになり、コストや効率を度外視してでも対策が行われているのが実情です(とはいえ、各所の努力により業務効率化が急速に進んでいる点は特筆すべきです)。いわゆるコスパ・タイパを重視する方には、JAEAでの職務は合わないかもしれません。一方で、細々としたタスクを着実にこなしていくことが得意な方や、厳格なコンプライアンスにクールさを感じる方には魅力的な職場であると思います。
ここで述べた内容は、同じJAEAであっても拠点・部署によっては全くと言っていいほど適用されない場合があることにご留意ください。各種実習にご参加いただいたり、noteの他の記事をご覧になるなどして自分が志望するかもしれない拠点・部署の雰囲気を掴むことをお勧めします。
学生時代の専門と業務の関連性
私は幸運にも博士論文での研究と同じ分野のグループに所属できたため、学生時代の専攻が現在の研究業務に直接活かされています。しかし、自分が知っていることなどほんの一部に過ぎず、毎日が勉強の連続です。最近では、さまざまな分野の方々と交流しながら、第2、第3の専門分野を築く努力をしています。
周りを見渡すと、学生時代は原子力の勉強などほとんどしなかった、という方はたくさんいますし、博士卒の方でさえ原子力とは無縁のバックグラウンドを持っている方もいます。重要なのは、入職後にどれだけ努力できるかだと思いますので、専門性が業務にマッチすればラッキーくらいの気持ちで構えていても良いのではないでしょうか。むしろ、学生時代に養った専門性以外のスキル(論理的思考力、作文・メールスキル、円滑なコミュニケーション能力、英語力、自己管理能力など)の方が大事なのではと個人的には考えているところです。
とはいえ、”専門性を業務にどう活かすのか”という問いは就職試験ではどうしても聞かれてしまうものなので、それらしい説得力のある答えを考えておく必要はあると思います。
就活当時を振り返って
私の就職活動では、最終的にJAEA一本に絞りました。研究室の先輩に同じ道を歩んだ方がいたため、アドバイスをいただきながら準備を進められたことが大きな力となりました。もしJAEAで不採用となっていた場合は、大学や他の研究機関でポスドクをしていたことでしょう。それもまた一つの道として悪くないと考えていましたし、今でもその考えに変わりはありません。
もしJAEAへの就職に少しでも興味があるという学生の方がいらっしゃれば、とにかく実習(インターンシップ)にお越しになることを強くお勧めします。JAEAは様々な実習区分を用意しており、期間・テーマ等非常に融通が利きます。
業務内容はもちろん、職場の雰囲気、職員の人柄、職場付近での生活環境を知ることができると、就職活動時の判断材料としてきっと役立つはずです。交通費くらいは出ますし、茨城県東海村エリアの拠点での実習であれば今年オープンしたピカピカの宿舎に滞在することも可能です。長期にわたる実習が無理でも、施設見学をしてもらうことでも職場の雰囲気を味わうことはできます。
この記事では、取り繕ったことを書いても読者のためにならないと考え、かなり正直に思うことを述べました。この記事が、読んでくださった方々の決断に少しでも役立てば幸甚です。