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1Q84と2024

 僕はここ1か月ほどの通勤時間を使って、村上春樹の『1Q84』を読んでいた。今まで村上春樹の作品はいくつか読んだことがあったが、『1Q84』は未読だった。読み始めたきっかけはバーチャルYoutuberの月ノ美兎(以下 委員長)の2024年2月28日の雑談配信であった。僕は結構長い間、委員長の配信や動画が好きで見ているのだが、それについては別の機会で触れたいと思う。

 この配信の中で、委員長の朝読書の話題から村上春樹の作品について触れている部分があった。詳細は委員長の配信を見ていただきたいのだが、その中で『ノルウェイの森』と『1Q84』の題名が上がったのだ。僕は『ノルウェイの森』は既に読んだことがあったので、『1Q84』も読んでみようと思い至ったという単純な理由だ。
 僕はその週の土曜である3月2日に近くの書店で文庫本を買うことにした。既に読んだことがある村上春樹の小説の文庫本は上下2巻だったので『1Q84』もそうだろう思っていた。僕は新潮文庫の書棚の前に立って、村上春樹の場所を見つけた。そこには『1Q84』と書かれた文庫本が3冊あった。今回のは長めの話かなのかな。そう思って僕は3冊をまとめて書棚から引き抜き、レジへ向かおうとする。何気なく帯が目に入る。1Q84 BOOK1 前編、1Q84 BOOK2 前編、1Q84 BOOK3 前編……?どういうことだ。僕は困惑して書棚に戻り、再び確認する。するとそこには、数冊の短編集を挟んで1Q84 BOOK1 後編、1Q84 BOOK2 後編、1Q84 BOOK3 後編があった。店員はちゃんと順序を確認して配置しているのだろうか。一抹の不安を覚えながらも、僕はとりあえずBOOK1の前編と後編を手に取り、レジへと向かった。
 前置きが長くなってしまったが、こうして僕の『1Q84』は始まった。そして僕は、これを読み始めたのが2024年の3月であることに何かの因縁を感じざるを得なかった。この物語は1984年4月の渋滞する首都高から始まる。1984年は40年も昔のことなのか。僕は読み始めてそのことにまず驚いた。僕が生まれて二十数年も経っているからそうなのだが、時の流れの速さを感じざるを得なかった。この本の登場人物である「青豆」という女性はとある行動によって「1Q84年」に迷い込んでしまう。そして、青豆ともう一人の青年「天吾」との2人の視点で物語は進行してゆく。
 僕は1週間でBOOK1を読み切り、週ごとにBOOK2、BOOK3を購入した。そして3月30日の未明にBOOK3まで読み切った。
 僕がこの記事を書き終わるころには2024年の4月になる。そう、青豆が1Q84年に迷い込み始めたのと同じ月だ。その世界では、彼ら彼女らは何度も夜空の月を見上げていた。『1Q84』を読んだ僕は2024年の12月にどの世界にいるのだろう。そう考えると僕は不安に襲われてしまう。だから僕は、そういう時こそ顔を上げて月を見るようにしたい。
 「月に見とれた兎は寂しくならないの」

僕が月ノ美兎委員長を知ったきっかけについてはこちら


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