
大湾区という場所のこと
中国南部に「大湾区」と呼称されている一帯があることをご存知だろうか。
正式には「粤港澳大湾区」といい、粤は広東省、港は香港、澳は澳門(マカオ)の略。そのため、ひらたくいうと「広東省、香港、マカオをひとつの都市圏として捉える場合の呼称」ということになるだろう。
英語では"Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area"となる。香港に「グレーターベイ航空」という航空会社があるが、この会社名はまさにこの大湾区に由来している(中国語ではそのまま「大灣區航空」になる。機体にペイントされている文字はこれ)。
この大湾区のうち、香港、マカオはわかりやすいのだが、少しややこしいのが「広東省」の部分。広東省といっても全域が含まれるわけではなく、以下9つの都市が「大湾区の構成圏」として制定されている。
広州
深圳
東莞
佛山
恵州
江門
肇慶
清遠
中山
珠海
広東省の地理に詳しい方ならば、これらの都市は、いわゆる「珠江デルタ」と呼ばれる地域と概ね一致していることに気づかれるかもしれない(厳密には、珠江デルタ=大湾区というわけではない(らしい)が)。
また、単なる地理的な事情からただこのあたり一帯に「大湾区」という名前をつけているというだけではなく、まさにこれら都市間の相互連携を強め、一大経済圏を築き上げようという狙いがあるらしい。
wikipediaによると、「サンフランシスコ・ベイエリアやニューヨーク都市圏、東京都市圏に匹敵する世界最大級の都市圏を目指す」とのこと。
事実、香港・マカオという、今なお一国二制のもとに独自の経済市場をもつふたつの特別行政区に加え、経済特区の深圳に珠海、広東省の省都であり中国全体でもトップ5の規模をもつ大都市・広州と、すでに単体でもかなりの経済規模をもつ都市が複数あり、さらに高速鉄道網の敷設や、地下鉄の相互直通、「一地両検」システムの実施など、都市間ネットワークの整備が急速に進んでいる。個人的な体感としても、かなり「動きやすい」エリアだと思う。
筆者の中国旅の経験は、ほぼ9割がこの大湾区で占められている。他の地域に興味がないというわけではなく、むしろ今後行く機会を作りたいと思っているのだが、どうしても知人や仕事の関係でこのあたりを訪問することが圧倒的に多い。このnoteは、在住者ではなく、しかし旅行者よりはほんの少し大湾区のディープな部分に踏み入ったかもしれない筆者の見聞録(になる予定)です。
おそらくスロー更新にはなるが、お付き合いいただけると幸いです。