藤野高明さんの番組を見て
不発弾で、両目と両手を失う
夕食時、NHK総合で放映されていた「文字の獲得は光の獲得でした~両目と両足を失って教師になる~」という番組を、途中からでしたが、見ていました。
福岡で生まれ、不発弾で、両目と両手を失い、とてつもない思いをして、二十歳で盲学校に入り、世界史の教師となった藤野高明さんという男性を取り上げていました。
本人の落ち度ではない、不発弾の爆発による障害であるにもかかわらず、それによって被った差別。
学びたい意欲があっても、彼を受け入れる場がないこと。
それでも、できないところは人の助けを借りて、大学で学び、世界史の教師になったこと。
人生の一コマ一コマに、無尽の思いが詰まっていると感じました。
挑戦に次ぐ挑戦の人生
私が見始めた時は、藤野さんがパソコンのメールチェックをしているシーンでした。
60代の頃に、8カ月だったかかかって、パソコンを習得したそうです。
「挑戦に次ぐ挑戦の人生だった」という、ナレーションに、「薩摩の男の五つの順位」を思い出しました。
1位「何かに挑戦して成功した者」
2位「何かに挑戦したが、失敗した者」
3位「何もしなかったが、手助けした者」
4位「何もしなかった者」
5位「何もせず、批判だけする者」
挑戦をし、失敗したとしても、失敗者は2位なのです。
私が藤野さんの姿で心打たれたのは、挑戦し続けてきたという点です。
その歩みが、とてつもなく大変なものであったことが、瞬時にありありとわかるので、胸がジーンと来ました。
北條民雄『いのちの初夜』と出会い、点字を学ぶ
視力回復のために、何度も手術をしたが、結局、視力は回復しませんでした。
看護師に当たり散らしたこともあったそうです。
自暴自棄になっていたという藤野さんの言葉に、無理からぬことと、またもや胸を打ちました。
その後、看護学生の女性が本を読んでくれて、最初に読んだ本だったか、それが、北條民雄の『いのちの初夜』でした。
これを知って、藤野さんは、前向きに生きるようになります。
文学、それも熾烈な文学で、作家自身が懸命に生きた作品が、誰かの心に火を灯したのです。
そんな風に、映りました。
それから、藤野さんは、点字を学ぶようになります。
彼は唇で読みます。
そして、文字が言葉になって、「文字の獲得は光の獲得でした」という言葉が重なってくる。
舌で点字を読んだ、近藤宏さんを思い出しました。
『闇を光に』の著者です。
うまく言葉になりませんが、「ああ、藤野さん、本当に良かったですね」と、すばらしい光に、私も出会ったような気持ちになりました。
ただ、唇で点字を読む、舌で読むというのは、容易なことではありません。
手記『人と時代に恵まれて』
番組タイトルにある手記『人と時代に恵まれて』を読みたいと思って調べたら、ネットで読めるようで、読みました。
すばらしい作品です。
まさしく、人と時代に恵まれた人生であったことが、平易に、情感豊かに書かれていました。
第37回NHK障害福祉賞 最優秀受賞作品。
“文字の獲得は光の獲得でした。時間は掛かりましたが、文字を読み、行を追って、そこに書かれていることを読み解いていく作業は、決して苦痛なものではありませんでした。わたしは、光を失った自らの世界に、一筋の光が差し込んでくるのを感じました。”
一流の教師とは?
最後の方で、京都の立命館大学で、教師を目指す生徒の前で、講演をしているシーンが映されます。
ある学生から、「盲学校で、世界史の教師として立った時の、生徒の反応はどんなものでしたか?」という質問に、藤野さんはこう答えました。
「障害があるのに、世界史の教師としてがんばってすごいね。そんな風には思われたくなかった。世界史の教師として一流になる。そこに健常者とか障害者というのはない。一流の教師というのは、いろんなことをよくわかって、知っているだけではない。単なる物知りではないのです。歴史が今とどう関係しているのかを生徒と一緒に学び、生徒に寄り添っていく、そんな教師が一流です」
正確ではないかもしれませんが、そんなことを、藤野さんは語っておられました。
本当に、真っ当な、真正の、本物の教師だと感じました。
いのちは大事
お孫さんとのやり取りが、印象深かった。
二十歳前のお孫さんと、こんな話をしていました。
自分(藤野)が不発弾の被害に遭わず、健康に恵まれ、大阪に行かなかったら、君は生まれなかったんだよ。
誰かがこの世に生まれるというのは、とても不思議で、奇跡的なことなんだよ。
だから、自分の命も大事、他人の命も大事なんだよ。
そんなことを、藤野さんは語っていました。
「すばらしいおじいさんだ」と感じました。
番組に、見入ってしまいました。
( ´∀`)サポート本当にありがとうございます!!😭😭😭🥰🥰🥰 ( ・ ∀ ・)ご恩返しするためにも、今後も一生懸命頑張ります!!😊😊😊