君はパンの耳を愛せるか
パンの耳。
ずっと気になりながら無視してきたけれど、そろそろ直視する勇気が出てきた。
「パンの耳」っておかしいよね?
なんで耳なの?
いちおうググってみたけど、「うーん、はしっこだからじゃない?」という「ぼーっと生きてんじゃねえよ!」と言いたくなる意見がどうやら正しいらしい。
でも!
顔の耳は、顔の面からとび出ている。パンの耳は、ぴっちりとおさまっている。
顔の耳は、「聞く」という代えがたい機能を担っているが、パンの耳は、なくてもよいものである。
私にとっては全く、反対と言っていいくらい全く違う位置づけに思える。
そこで、どう言うのがいいのか、考えてみた。
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●これが王道でしょう、はしっこ系ネーミング:パンの端。パンの淵。パンのへり。パンの壁。パンの皮。パンのぐるり。パンのあいうえおこそとてつちたさか(50音順表で読んでね)。
●食パンは耳がないときっと中が柔らかすぎて型から出した後ひしゃげてしまうと思われる。そういう意味ではパンの耳が食パンを支えている:パンの壁。パンの支え。パンの柱。パンの拠りどころ。
●パンの耳は他の部分よりも生地の分量が多くて、食パンのむしろ主たる場所ではないかと思う:パンの肝。パンの主体。パンの神髄。パンのみそ。パンのパン。
●いや、一般的には嫌われ者である:パンのみそっかす。パンの皮。パンの蛇足。パンの異端。
●事実を述べよう:パンの型との接点。パンと空気の接点。パンの接地面。パンの焼き固められたところ。パンの東西南北。パンの茶色の部分。パンの6面を2面と4面に分けた4面のほう。
●もっとファンタスティックに:パンの果て。パンの終わり。パンの最前線。パンの伸びしろ。パンのぎゅうぎゅう。パンの愛。パンの悲しみ。パンパカパン。
「パンの壁」が二度出てきて。なかなかよい。愛読誌「たくさんのふしぎ」(福音館書店)の『かべかべ、へい!』で読んだのだが、壁というのは土や煉瓦でできた、建物そのものを支える壁と、木造建築などにおける外との隔てとしての壁との二種類があるという。煉瓦造りの建築をする西洋からやってきたパンに自分を支える壁としての耳があり、柱で家を支える木造住宅に住む日本のご飯にそういう壁がないというふうに、かなり無理やりだけど関連づけて考えたら何だか楽しい。
「パンの皮」も二度登場した。子どもはこれが一押しである。確かに皮のようにむいて食べることがあるし、それだけ別に揚げたらおいしいところも野菜の皮に似ている。
私が一番しっくりくるのは「パンのふち」であり、われながらうまいこと考えたなと思うのは「パンのあいうえおこそとてつちたさか」であり、一番呼びたいのは「パンパカパン」である。
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皆さんはピンとくるものがありましたか?
いいネーミングがあれば教えてください。
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