7月13日はパンプキンの日
仕事帰りにバスに乗っていた。
「還付金詐欺」に注意を呼びかける放送が、「パンプキン詐欺」と聞こえた。
パンプキン詐欺...頭にパンプキンを被った人が仕掛けてくる詐欺?いや、そんな人の言うことは端から誰も信用しないだろう。かぼちゃかと思って買ったら購入後にレジのおばさんに「それ、新種のズッキーニよ」と言われること? それとも、「・・・キンがありますので...」と言われて還付金かと思って手数料を払ったらかぼちゃを手渡される詐欺?
バス停からお迎えに行く学童までの道、私の頭の中には深緑色やオレンジ色のかぼちゃがごろごろしていた。
すると夕食時、ひょんなことからかぼちゃが話題に出てきた。夕食はもちろん、家族のだれもその日かぼちゃを食べてはいなかった。なぜ出てきたのが、後からがんばって思い出したところによると、ムスメがコンビニで「夏とゆず」というカフェオレを見て、買う勇気はなかった、という話をして、「なぜゆず?ゆずって冬のイメージだけど」→「もしかしたら実はゆずの旬は今なのかもしれない。同じく冬至の風物詩かぼちゃが実は夏野菜であるように」という流れだった。そして、宙に浮くかぼちゃがあることなど、ひとしきりかぼちゃの話をした。
さらに夜、アマゾンプライムでジム・ジャームッシュの「パターソン」を見ていたら、パターソンが「pumpkin」という詩を書き始めた。
息が止まりそうになった。
この映画に出てくる食べ物といったら、シリアル、パイ、カップケーキ、ポップコーンてなもの。またもや、文字だけのパンプキンが出現したのだ。
これはすごい。
このすごさの、他の人にとってのどうでもよさもすごい。
この映画では、双子が話題に出たとたん、毎日のように双子に出会う。
この映画は、主人公が車の間を走って道を渡ったり、タイムアウトぎりぎりに何かが起こったりといった『映画の構文』というようなものがなく、日常生活で起こる『こちら側の構文』が徹底して使われているという気がするのだけど、何かに注目したとたんそれが出現するというどうでもよい奇跡はまさに『こちら側の重要構文』だと思う。
はっとするようなことなのだけど、解釈にも値しないし、他の人にとってはほんっとにどーでもいい。
きっと、私の7月13日がパンプキンの日であったように、知らない誰かにとっては赤紫の日だったり、99の日だったりするのだろう。
Ah~ha!
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