
ホクロ除去の施術後の経過と結果
施術前の診察・説明の記事でも記載しましたが、ホクロのCO2レーザー治療後には、何らかの傷跡が残ります。
美容クリニックなどが提供する情報では、あたかも「跡が残らない」かのような記載が見られる場合があり、注意が必要です。
(確かに、1-2mm未満の小さなホクロの傷跡であれば、よーく見ないと分からないような傷跡で済む場合は少なくないですので、素人目には「跡が残らない」と言えるかもしれませんが、プロが提供する情報としては不適切だと思います)
傷跡の残り方をイメージするには、施術のbefore & afterの写真を見るのが良いでしょう。
ただし、beforeとafterで写真の撮影の条件が異なる場合があり、こちらも注意が必要です。
例えば、afterだけ写真が明るかったり、ややピンぼけしていたりする場合があります。
また、顔全体を引いて撮影された写真を見ても、小さな傷跡の残り方までは分かりません。
本来は、ホクロを拡大して撮影した写真について、before & afterを示すべきだと思います。
また、公開されている写真は患者さんが自ら公開したものでない限り、比較的「うまくいった」症例の写真である可能性が非常に高いです。
その裏には多くの「ほどほど」の結果の症例や、残念ながら「いまいち」の結果に終わった症例も隠れていることを念頭に置く必要があります。
「ほどほど」とは、「ぱっと見て傷跡があるのが分かる」がお化粧で隠せる(ごまかせる)程度の症例、
「いまいち」とは肥厚性瘢痕などを生じ「傷跡がお化粧でも隠せない」場合や、ドレニゾンテープやケナコルト注射などの治療を要したり、「ホクロの色素が再発してしまって患者さん自身が気にしている」ような症例、といったイメージですかね。
これらの頻度について、全症例・全ホクロの治療結果を集計しているような医師やクリニックはほとんど無いのではないかと推測しますが、理想の診療においては、全ホクロのbefre & afterを写真に記録し、結果を集計して客観的な数値を公開すべきだと思います。
なお私個人が担当したホクロ除去においては、肥厚性瘢痕を生じたのは1%、再発を生じたのは1〜2%程度のホクロだと思います。
基本的には、ホクロが大きい方がこういったリスクは大きくなります。
私個人の感覚ですが、6mm以上のホクロであれば、切除の方が適しているケースが増えてくるのではないかと思います。
なお傷跡の残り方については患者さんの「体質」によるところが大きいのは間違い無いですが、それ以上に「ホクロの位置」の方がリスクに直結しています。
この点について、正しく説明してくれないクリニックもあるかもしれないので、注意が必要です。
具体的には、以下の部位の大きいホクロは肥厚性瘢痕になってしまうリスクが高いです。
・内眼角(目頭〜下まぶたの凹んだあたり)
・唇
・肩
・前胸部
他にも、施術者の技量や、使用されるレーザー機器の種類、施術後のアフターケアの内容なども、結果に影響がある可能性もあります。
これらの影響について、科学的な解析に取り組んでいる営利組織はほとんど無いでしょうが、私としてはより良い治療の実現のため、非常に興味を持っているところです。
このような情報が皆さんのお役に立てましたら幸いです。