マーケティング・トーレスをやってみた。


みなさんはフェルナンド・トーレスをご存知でしょうか。

スペイン・マドリード州出身の彼は、2001年から現在まで一線級のクラブで活躍し、その才能から「神の子(エル・ニーニョ)」という愛称までついた、超一流のサッカー選手です。


つい今年の5月までメッシやクリスティアーノ・ロナウドとしのぎを削っていた、と言えば、サッカーをあまり知らない人でも凄みがわかると思います。

そんなエル・ニーニョは今年の5月に、地元マドリードのクラブであるアトレティコ・マドリードを退団し、新天地を求めました。

その新天地として主にメディアが挙げたのは、アメリカ・日本。
メディアによってはオーストラリア・中国・トルコなども移籍先として挙げられましたが、移籍期間に近づくと前者二か国が噂になり続けました。


海外サッカーを見ている方は気づくと思いますが、トーレス獲得に手を挙げたクラブはすべて、世界トップクラブであるアトレティコからは、控えめに言ってもレベルの落ちたクラブです。


トーレスがそうした移籍方針をとった理由として、トーレス自身の性格が挙げられます。

8月29日にトーレスが日本の番組「ZIP!」に出演した際は、このようなコメントを残しました。

「私が家族といる時は鳥栖市の人々は話しかけないようにしてくれます、コーヒーを1杯飲みに出かけたりとか普通の事がスペインでは出来ない、普通のことが毎日できるのはうれしい事です」※1


つまり、トーレス自身は脚光を浴びるより、家族と静かに穏やかな生活をすることを求めたのでしょう。


スターとしてではなく、いちスペイン人として生活したい、でもフットボールは愛してやまない。それがトーレスの本心だったように思われます。



そう考えると、アメリカや日本は妥当と言えるでしょう。一見アメリカは、スター選手を見るたびに騒ぎそうに見えますが、実はそうでもないみたいです。

かつてアメリカのサッカークラブであるロサンゼルス・ギャラクシーに所属していたスティーブン・ジェラードは、アメリカでの生活についてこのようなコメントを残しています。



「まさに今が最高だよ。5分ごとに立ち止まらなくては街中を歩けなかった状態から、ここでは”Z-lister(全くの無名な人、あるいはスターの地位から最も遠い人)”になったよ。良いことだし、気に入っている」※2


スターにも、静寂を求める人がいるのです。

そうした理由で、トーレスは最終的にアメリカ・日本と交渉を続けることになりました。


しかし、ここから少し話がこじれます。


5月30日、Jリーグは、サガン鳥栖へトーレスが加入したことを発表。しかし、これは誤報で、サッカーファンを盛りたたせるだけになってしまいました。


それが原因で日本に不信感を抱いたトーレスは、なんとサガン鳥栖との交渉を決裂させました。


これにより、トーレスの移籍先はほぼアメリカに。


日本のサッカーファンは大きく落胆し、「まぁ、イニエスタは来てくれたし、それで盛り上がろう」となっていました。


しかしその1週間後、まるで青天の霹靂。


7月9日に、サガン鳥栖は、F・トーレスの移籍を発表いたしました。

誤報だとも思われましたが、サガン鳥栖は「誤報じゃないよ!ほんト―レス」「来てくれてありがト―レス」などといった、独特の言い回しで、トーレスを日本に定着させました。


9月11日時点で、既に1得点と2アシストを記録。ここから、頑張れトーレス。

※1
http://www.calciomatome.net/article/461373896.html
※2
https://www.soccer-king.jp/news/world/world_other/20150909/348552.html


さて、前置きはどうでもいいので、マーケティングトレースです。


マーケティング分析、のほうが用語として主流なのですが、今回はF・トーレスの話をどうしても話したかったので、マーケティングトーレスという言葉を使わせていただきました。
サッカー好きのマーケターにツイートされてバズッてくれれば幸いです。


さて、今回マーケティングトレースを行おうと思ったきっかけとして、鈴木優一朗さんの行ったマーケティングトレースが挙げられます。


https://note.mu/yuichirosuzuki/n/ndf23884aa76d

この記事を見て「あぁ、僕もやってみよう」と思った次第です。それだけです。

さて、そもそもマーケティングトレースについて、知らない方も多いと重いと思います。


マーケティングトレースを簡単に説明すると、「どうしてこの事業(企業)はヒットしたのか?」を多角的に考えます。


これを考える事によって、現場において問われる「どうしたらこの事業(企業)がヒットするか?」といったマーケティング力を論理的に鍛えることができます。


マーケティングトレースには


https://www.marketingbank.jp/special/cat07/104.php


を参考に、以下の手法を使います。

・PEST分析
・4P分析
・3C分析


詳しくは都度説明します。


それでは、本日マーケティングトレースを行う企業はこちらです。


株式会社フロムワン様です。


簡単に言うと"SOCCER KING"などの雑誌刊行やサッカーマガジンサイトを経営している会社です。


せっかく前置きにトーレスを持ってきたので、サッカー系の会社に焦点を当ててみたいと思います。よろしくお願いします。


フロムワンはベースボールマガジンやバスケットボールマガジンなども運営していますが、今回はそれを差別化の要因とせず、サッカーマガジン、そしてオンラインサイトの2点から分析します。


PEST分析


PESTは4つの観点から構成されています。

「Politics(政治面)」

「Economy(経済面)」

「Society(社会・ライフスタイル面)」

「Technology(技術面)」

これらから、フロムワンを見てみます。


Politics…

ロシアW杯の開催前・開催中において、やたらと政治的な事情・行動が取り上げられ、問題視が続きました。
現在は世界的に「政治とサッカーは関係ない」という風潮に落ち着きつつあります。


Economy…

それはもう大規模で動きます。ロシアW杯の経済効果は、少なく見ても3兆円とみられています。


参考までに、2006年に行われたドイツW杯の経済効果が3000億円~4000億らしいので、たった12年の間に市場は約900%成長しています。
リサーチしながら「マジか」とぼやきました。


ここまで急速に成長した原因には、SNSの発展が挙げられるでしょう。

インターネットが急速に現実との隔たりを減らした今、世界のニュースが自分の部屋で手に入る、そんな時代になっています。

そのおかげでW杯もまた「サッカーを見るイベント」から「旅行の一環」のような扱いになっており、メディアでの扱いも非常に強くなっています。僕の母は今年初めて、日本代表のスタメンについて全員覚えるようになりました。認知症予防になってますね。偉いぞ母さん。

Society…

考えてもあまり分からなかったので、

http://www.jfa.jp/social_action_programme/football_contribution/
から引っ張ります。

公益財団法人日本サッカー協会(JFA)は、サッカー競技を統括する唯一の団体としての社会的責任をふまえ、「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。」という理念のもと、サッカーを通じた様々な社会貢献活動を行っています。

JFAは、2009年に国連グローバル・コンパクトへスポーツ統括団体として世界で初めて登録されました。
国連サミットで採択された「持続可能な発展のための2030アジェンダ」で表明されている「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に、スポーツを通じて貢献していきたいと考えています。

このアジェンダにおいて、スポーツの役割は以下のように記載されています。

「スポーツも持続可能な発展にとって重要です。我々は、寛容やリスペクトを促進し、女性や若者のエンパワーメントや個人、コミュニティーに寄与するスポーツの貢献が、健康や教育、社会的包摂の目標と同様に、発展と平和の具現化に寄与すると認識しています。」


Technology…

映像技術がものすごく発展しています。
なかでもドローンとんでもない発展を遂げており、ドローンはダイナミックで魅力的な映像をお茶の間に届けます。もちろんお茶の間に限らず、ネット上で配信されるようになりました。

3C分析


3C分析は、自社の商品・サービスを展開する環境を分析するために役立つフレームワークです。

下の3つのCの頭文字をとって「3C」分析と呼びます。

「顧客(customer)」

「競合(competitor)」

「自社(company)」


Customer...



サッカーファンが圧倒的多数を占める。また、子供向けのサッカーアカデミーを経営しており、サッカーキッズの保護者からの関心もあったりする。

Competitor...


・サッカーニュースを配信するオンライン面
Goal.com、ゲキサカ、サッカーダイジェスト、各種スポーツ雑誌サイト(報知とか)、まとめブログが挙げられる

・サッカー雑誌を刊行するオフライン面
エル・ゴラッソ、フットボリスタ・サッカーダイジェストなどが挙げられる。
また、月刊コンサドーレなど、クラブ刊行の雑誌も視野に入る。

Company...


Goal.comと国内雑誌の中間あたり。
海外サッカー事情をとことん網羅するが、国内のサッカーニュースもカバーする。

だが一番の差別化と言える要因は、他サイトと違って圧倒的にSEO施策をしていること。
これによって「サッカー」などといった超ビッグワードで検索しても、普通に1ページ目(しかも2位)に入ってくる。

やっぱSEOは偉大ですね。ブロガーなど、インターネットで生きるなら間違いなく避けては通れない道です。


4P分析

4P分析とは、基本的なマーケティング内容を決めるために活用する手法で、下の4つの頭文字から構成されています。

「製品(Product)」

「価格(Price)」

「流通(Place)」

「販売促進・プロモーション(Promotion)」


Product...

サッカーサイト・サッカー雑誌

Price...

サッカーサイトは無料(アフィリエイト収益あり)、サッカー雑誌は税込980円(月刊)

Place...

オンラインとオフラインの双方


Promotion...

SEOによる検索流入・SNS活用・電車のつるし広告…オンラインでもオフラインでもPRを欠かさない。

まとめ

SEO施策を行うだけで圧倒的に強く立ち回れるという、典型的な例でした。
もうみんなSEO勉強したほうが早いですよ。ほんと。


やや投げやり気味な感想ですが、そういわざるを得ないほどSEO施策がすごかったです。

もっとフレームワークを重ねれば新たな可能性が見えてきたかもしれません…



おわり!


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