【医療マガジン】エピソード7 蒼と百田のランデブー(4/4)
さて、百田寿郎と稲葉蒼。蒼は両親の離婚後、百田蒼から稲葉蒼になっていた。そろそろ日も暮れてきて、蒼を家に帰す時刻だ。家の最寄り駅の改札で別れ際の握手をする時は、どうしても寂しい気持ちになってしまう百田だった。
「これからだんだん寒くなってくから、健康と美容に要注意だぞ」
「わかってる。もうじき、チームサソリの誕生会だね」
「ああ。今年も楽しみだ。また元気で会おう」
「あっ、パパ! 毎晩飲んでちゃダメだよ!」
「わかってるよ。サンキューな」
「うん。またLINEするね。おやすみなさいっ!」
「Oh ! ベスト・ナイト~ッ!」
百田は微笑んで、蒼の背中に掌をひらひらさせる。ちょっぴり寂しい瞬間だ。小走りに黄昏に溶けていく蒼を見送って、百田は帰路につく。蒼と過ごした日の夜は、蒼との思い出のアルバムを眺めながら飲むのが習慣化していたが、その晩の百田はアルコールを控えた。
蒼がまだ赤ちゃんだった頃、夜はほぼ毎晩、百田が抱っこして歌を聴かせながら寝つかせた。会社が休みの日は、朝から晩までずっと、お風呂も一緒だった。幼稚園の時から、運動会でも学芸会でも、いつも最高の幸せをくれた蒼だった。
そんな蒼の将来のかかった中学・高校・大学と、そばに居てやれない痛惜と謝罪の気持ちは一日として忘れたことはない。そして、百田は気づくのだ。自分はいつも蒼のことを支えてあげたいと思いながら生きてきたが、結局、自分は蒼に支えられて生きているのだと。だから、父親として、生涯を賭けて蒼に恩を返していくんだと誓う百田だった。
明日はまた、『しらこわ』のナマ配信だ。蒼のためにも、納得のいく仕事をしなきゃダナ…。おやすみ、蒼…。
【資料室だより】
「心配ごと・悩みごと・困りごとは何ですか?」
20代から80代の通院中の人100人に訊きました。複数回答可です。
<健康に係る日常的なこと>
① 新型コロナ対策のこと(37人)
② 肩こりのこと(33人)
③ 認知症予防のこと(31人)
④ 腰痛のこと(27人)
⑤ 食事のこと(24人)
⑥ クスリの副作用のこと(23人)
⑦ 肥満のこと(19人)
<健康以外の日常的なこと>
① 人間関係のこと(20人)
② 仕事のこと(13人)
③ おカネのこと(7人)
<緊急時のこと>
① 土日祝日・夜間の受診のこと(25人)
② 受診すべき診療科のこと(20人)
③ 認知症の症状のこと(17人)
<老い先のこと>
① エンディングのこと(22人)
② 財産まわりのこと(20人)
③ 親子関係のこと(27人)
④ 施設のこと(17人)
⑤ ペットのこと(9人)
さらに、「いつでもなんでも気軽に相談できる窓口がどこにあったらいいと思いますか?」(複数回答)と訊いてみると…。
① かかりつけ医(81人)
② 自治体(13人)
③ 薬局チェーン(11人)
④ 介護施設(9人)
⑤ 公民館、生保レディ(7人)
ヒヤリングをしてみて実感したのは、いろいろな悩みがあることではなく、それぞれの相談窓口がバラバラだったり、そもそもどこで誰に相談したらいいのかがわからないことへのストレスを抱えながら暮らしている人がたくさんいる…ということでした。
【参考図書】
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