【市場規模100兆円!5G時代にあえてシニアビジネス・・・の訳】その3
今回は、シニアビジネスにおけるマーケティングとセールスの基本について書いてみる。もっとも重要なポイントは、「縁」を「円」に変える「演」である。
シニアビジネスの秘訣は、「縁」をスムーズに「円」に変えることである。コロナ以前であれば、公民館・コミセンやら老人クラブやらで「縁」のできたシニアに対して、定期的にイベント(講座と懇親会のセット)を開催して「宴」を積み重ねていく。そうして信頼関係を築いていきながら、何かしら事が起きた時には「援」を提供してあげて、その対価として「円」をいただく。これが標準的なステップである。
その際に重要となるのが、一貫してシニアに好感を持たれやすい人格を「演」じるということだ。シニアの購買特性として、企業のプランドよりもセールス担当者の人間的魅力を重んじることがわかっている。逆に言えば、好感を持たれなければ、いくら悩みを解決してあげると言ってみてもおカネは戴けない。当然と言えば当然だが、シニア顧客の場合、この傾向は特に顕著である。
イベントでは当然のように様々なキャンペーンオファーをするわけだが、それ以上に助かるのは、何度か顔を合わせていれば、シニアのほうから自然と「ちょっと相談したいことがあるのですが」と言ってきてくれること。こうなったら、もう受注は確定である。
ところで、ウィズコロナ下での集客をどうするかは、とても重要な課題である。コロナショック以降、公民館等の集会場に使用制限がかかったため、大勢で集うことがなかなかむずかしくなった。なので、ウィズコロナ下では、試行錯誤の結果、各自治体が毎月1回~3回発行しているタブロイド版の広報誌に最安価な広告(東京都の場合で、1万円~5万円)を掲載し、電話をかけてもらってリストを集める手法で代用している。
自治体広報誌は四大新聞に折り込まれて各家庭に届けられる上、シニアが実によく目を通しているので、高いレスポンスが見込めるのだ。経験的に、3万世帯で10件超は手堅い。ということは、3万円の広告を十回掲載すれば、100人の見込み客リストが手に入るわけだ。個人情報さえ入手してしまえば、あとは定期的に郵便物を送って関係性を深めつつ、情勢を鑑みながらリアルイベントに引き込むという流れである。「SNSって何ですかレベル」のビジネスパーソンならば、自治体広報誌以外の媒体への広告掲載はもう考えられない。
さて、私も当初は信じがたかったのだけれど、一旦信用されると、シニアは率先してビジネスに貢献しようとしてくれる。それも全身全霊で。こちらの先手を打って、何か購入すべきモノはないかとか、このおカネを地域のために使ってもらえないかとか。こういうことは月に一度はある光景である。信者と化したシニアは実に熱い!
そして、何よりもうれしいのが、次から次へと友人知人を引っ張ってきてくれることだ。で、さらにすごいと思うのが、シニア同士が競って私を応援しようと色めき立ってくれること。こうなると、もう集客やセールスのことで頭を痛める必要はまったくない。
ただ一点。私はオトコだから、私のファンのほとんどが女性である。これはセールスの基本中の基本で、顧客が男性であれば女性がセールスしたほうが圧倒的に数字は見込めるし、逆もまた真である。もちろん、いずれの場合でも、相性が合わなければ論外ではあるが…。