人生の真実 ~晩節を穢したくないシニアたち~
前回の記事では、介護現場で身を粉にして働いている人たちの本音をお届けしました。今回は、介護職の人たちに介助してもらう側であるシニアのみなさんの想いについてご紹介します。
まだ要介護になっていない、元気な後期高齢者100人に訊いたエンディングに係るアンケート結果です。
★寝たきりになっても生き永らえたいか → NOが53%
★意思の疎通が取れなくなっても生き永らえたいか → NOが73%
★口でモノを食べられなくなっても生き永らえたいか → NOが78%
★子どもの顔がわからなくなっても生き永らえたいか → NOが69%
★問題行動を伴う認知症になっても生き永らえたいか → NOが72%
★ひとりで排泄ができなくなっても生き永らえたいか → NOが92%
これはこれで、言葉が出なくなりますよね。でも、冷静に考えてみれば十分に理解できる数字です。私だって、胃ろうも含めて、断固延命治療拒絶派ですし、自力で排泄ができなくなったら山奥にフェイドアウトすることを宣言しているくらいですからね。やはり、ほとんどの人にとって、排泄が尊厳のさいごの砦なのだと思います。
ということで、これらの結果からひとつの仮説が浮きあがってきます。つまり、(前回の記事にあったように)本当は「こんな仕事はやりたくない」と思っている人たちが、本当は「そんな状態になってまで生き永らえたくない」と思っている人たちにサービスを提供している世界。
もしかすると、それが福祉や介護の世界なのかもしれないということです。そして、今の日本では、そういう分野に莫大なおカネが使われている……。そういうことになります。だとすれば、尊厳死法案のようなものが取り沙汰される日が再びやってきそうな予感もしてきます。
ということで、ここまで見てきたように、何かのきっかけで福祉の世界を志し、専門資格まで取得したにもかかわらず、いざ現場デビューしてみたら、「こんなはずじゃなかった……」と失意の底にいる人たちがいかに多いことか。
私自身、介護保険制度がスタートした直後に、通信教育で「社会福祉士」なる国家資格を取得したのですが……。社会福祉士がここまで世間的に認知されていないとは思いませんでした(笑)。親戚のおばさんから「ええっ、あなた、オムツ交換とかヤルの? かわいそう」と言われたときは、本当にズッコケたものでした。
事実、当時、一緒にスクーリングをし、共に国家試験に合格した仲間たちのその後は、あんなに難しい試験をクリアしたというのに、残念な状況です。彼らから聞こえてくるのは、こんなネガティブな声ばかりです。
●一般の人たちは「社会福祉士」についてまったく知らない。情けないくらい、知らない。
●職場および仕事内容に、やりがいが感じられない。こんなはずじゃなかった……。
●病医院や介護施設においては、「医療が上、福祉が下」という構図が払拭されておらず、社会福祉士が医療系の一般職員にさえ指示されて動くケースがかなりある。
●利用者の生活の質を高めるために必要なサービスを調達・編集して提供するという社会福祉士本来の役割を果たせずにいる。
●年収350万円では、家も持てなきゃ、子どもも産めない。
社会福祉士のあいだでも、やはり、「こんなはずじゃなかった」という「あとの祭り」状態は同様なのです。
ちょっと古いのですが、日本社会福祉士会が20年前に行った調査結果によると、「8割以上の社会福祉士は年収600万円に届いていない」・「6割の社会福祉士は年収400万円にも満たない」。月給にすると、社会保険料等が天引きされて25万円程度ということになります。これは、開業医の約8分の1、勤務医の4分の1でしかありません。
悲惨……。
オー・マイ・ガァ~ッ、です。
月々の手取りが25万円ということは、一部上場企業に勤めるOLと同等ということになります。この金額じゃ、少なくとも妻子(あるいは夫子)を養っていくのは困難でしょう。福祉系の他の資格であれば、状況はさらに厳しくなるはずです。超高齢社会を支える存在であるはずの専門職の人たちがこんな状況でいいのでしょうか? いい筈がありません!
しかし、です。総じて収入の少ない福祉や介護の世界ですが、ごく一握りですが例外もあるのです。社会福祉士を例にとれば、先述の調査結果において、コンマ1%ながら、年収1千万円の人たちがいるのです。
もちろん、この人たちは、介護現場でオムツ交換をしてはいません。きっとレールを敷くほうの仕事をしているはずです。その一方で、年収1千万円の例外の人たちが敷いたレールの上をひたすら走り続けている人たちは、年収300万円前後をうろちょろしているのです。この差をどう感じるか、です。
おそらく、この記事を読んでくださっているみなさんは、この差を埋めたいと思われるのではありませんか?
なので、ここでハッキリと言っておきます。
大丈夫。絶望なんてする必要はないと。
絶望のすぐとなりには希望が佇んでいるものです。ただ、希望というのは奥ゆかしいので、待っているだけではダメなのです。向こうからは手を差し伸べてはこないし、声もかけては来ないのです。まずはこちらから動くことです。動くことで、まわりの風と光を変えるのです。
そして、「動く」ということをもう少し具体的に言えば、あなたがいま置かれている残念な状況を、一刻も早く脱出することです。いまの仕事や職場から逃げることです。戦わずに退散するのも、立派な戦略です。
私の友人が創設した認定資格・百寿コンシェルジュ。その背景には、介護現場で疲弊している介護支援専門員や相談員や介護職のみなさんに選択肢を示したい・・・。そんな想いがあったそうです。
もしも現在の仕事・職場・働き方に「?」を感じていて、次のステージについて考えているとしたなら、是非一度、百寿コンシェルジュ(起業支援付き百寿コンシェルジュ認定講座)について調べてみてはいかがでしょうか?
介護業界のみなさんには、特別優待価格を用意しているそうですので・・・。