【デキる上司の十訓十戒016】怒鳴らない ~怒鳴ることの3つの弊害~
例え新入社員であったとしても、彼らにも自尊心というものがあります。上司に怒鳴られたとして、頭を下げれば部下はそれで終わったように錯覚してしまいがちです。上司は上司でフラストレーションから解放される。見かけ上は一件落着のような気がしますが、実は何にも解決していません。きっと近い将来、似たようなケースが繰り返されるのがオチです。
どこが悪かったのか。なぜ指摘されたのか。どうすればよかったのか。こうした本質的なことを考えて、気づいて、納得して、そして改めてもらわない限り、この問題は未解決のままなのです。人材育成が上司のミッションである以上、軌道修正してもらうよう誘い導かなければダメだということです。
振り返ってみてください。例えばあなたは、部下に「好きなことを言え、思っているままを言ってみろ」と言いながら、あなたの思惑から外れた意見が出てきたら、「オマエはわかっていない」などと切り捨てて口を塞ぐようなことをしていませんか?
上司の怒りは職場のムードを重くします。上司に対する恐怖心のせいで自由な発言が減っていき、職場は見事なまでに暗くなります。朝昼晩の挨拶も蚊の鳴くようになり、「ありがとう」「わるいな」「助かるよ」「やるじゃん!」「問題ない?」といったメンバー相互の声かけも消えていきます。上司に本心を言わなくなります。当然、相談なんて持ちかけるわけがありません。いつしか仕事に直接かかわるコミュニケーションもなくなります。
部下たちは上司の顔色をうかがいながら仕事をするようになります。ネガティブなことを速やかに報告しなくなります。顧客ではなく、上司を向いて仕事をします。上司に言われたことしかやらない、できない部下ばかりになります。そして、上司のいないところで陰口のオンパレードとなります。なかには精神を病んで病気がち、休みがちになる部下も出てきます。あなたはすっかり裸の王様になります。こうなったらおしまいです。部下のまちがいや至らない点を指摘するときほど、一拍おいて、作戦を立ててからアプローチするよう心がけたいものです。