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【市場規模100兆円!5G時代にあえてシニアビジネス・・・の訳】その1
ワンクリックで100万円、150万円、200万円。場合によってはそれ以上。昨年来のコロナ禍で、消費者ホットラインに寄せられるネット起業塾関連の相談が急増している。従来の仕事や職場の見直しを強いられた若手・中堅のビジネスパーソンに加え、役職定年を控えたベテランまで、コスパのいい稼ぎ口を求める人たちが格好の餌食にされている。酷い話である。
そこで、だ。「ネットもいいけどシニアもネ!」ということで、シニアビジネスのカリスマが、みずからの運命を決した出来事を通して、ネット時代においても勝算の高い、実体のあるリアルな起業・副業のオプションを紹介していこうと思う。アンチネット派やアナログ派にはもちろん、シニア顧客と関わるすべてのビジネスパーソンにとって参考になるはずだ。
今の世の中、猫も杓子もネット起業といった感じで、ネット起業が花盛りである。新型コロナがそれに拍車をかけた。でも、だ。そもそもネットビジネスに抵抗のある人もいるだろうし、テクニカルに不安がある人だっているでしょう?
大学生の就職事情を調べたときに感じたのだけれど、1割程度はアナログ派がいるわけだから。ネットよりもリアルというタイプの人たちには、おそらく最もリスクの低いのがシニアビジネスにちがいない。
私はこれまで、長いことシニアの老後全般をサポートすることで生業を立ててきた。認知症になってしまうと大変だから、「そうなってもいいように」「そうならないように」というビジネスを行ってきたわけだ。
たしかに、理屈ではわかっていても、いざ元気なうちからおカネを投じてそなえようという問題意識のあるシニアは少数派だ。それでも、20人にひとり程度はリスクテイカー的な人がいるもので、ひとたびそんなシニアと出会うことができれば、エンディングまでの一切合切を任せてもらうことで、ドカンとおカネが入ってくるわけだ。
コロナショック以降、シニアビジネスには追い風が吹いている。具体的に言えば、志村けんさんがああなってから潮目が劇的に変わった。そう。高齢な人ほどコロナに罹患したらアッという間に逝ってしまうという事実が、外出を控えて一日中ワイドショーのシャワーを浴びていた人たちの危機感を覚醒させたのだ。
そのおかげで、それまでは時間と回数を重ねて、どうにか15人にひとりの受注割合だったのが、成約制約確率は5人にひとり程度まで跳ね上がった。要は、新型コロナに罹患してしまった場合のことを自分の問題として捉えたシニアたちのあいだで、老い支度の前倒し機運が高まったのである。
そしてこの傾向は、出口の見えない恒常的緊急事態宣言下の世の中では、さらに加速していくことが容易に想定される。どんなにバッファーを考慮したとしても、来春までに収束するなんてことは絶対にないから、老い支度をサポートする仕事には、大きなビジネスチャンスである。
思い起こしてみれば、平成から令和に元号が変わった一昨年から徐々に市場の変化は見て取れた。脈々と続いた天皇家の歴史の中で、史上初めて、まだ元気な昭仁上皇から徳仁天皇に御代替わりがなされた。同年秋に皇居前広場で開催された国民祝典の場では、今はなき国民的アイドルグループ嵐のステージで、日本国民の一体感がリアルタイムで全国のお茶の間に流れたのである。
70代・80代のシニアには皇族好きが多い。天皇家がああなさったのだから、自分たちも目が黒いうちに子どもたちにバトンタッチしておこう。そんなムードが湧きおこったのだが・・・。
ところが、年が明けて事態は一変。誰も予想し得なかった新型コロナ旋風で、先行きの見えない世の中に陥ってしまう。今現在も、多くの人たちが経済的基盤を失い、次なる居場所を暗中模索しているわけだ。
そんな中で、ネット起業塾をはじめとするネットビジネスがウィズコロナ時代唯一の成功モデルであるかのように喧伝され、ごくひと握りの例外を除けば、多くの受難者を生み出している現状。私はこの悲劇的憂鬱を嘆かずにはいられない。