人生ではじめての大冒険 〜西森公園〜
【 人生ではじめての大冒険 〜西森公園〜 】
小学1年の頃だったと思う。
昆虫図鑑を見てて、カブトムシやクワガタがどうしても
ほしくなった僕は、母親にペットショップで買ってほしいと
ねだるが、秒で断られる。(笑)
諦めきれない僕は、昆虫図鑑に載ってる世界各地に生息する
カブトムシやクワガタの写真を眺めてはため息。
最後の数ページに「カブトムシ、クワガタの採り方」
「えっ?カブトムシやクワガタって自分でも
捕まえられるの?」
その時は、遠くやんばる(沖縄本島北部)まで行かないと
捕まえられないと思ってたので、そのページを読んでいくと
深夜1時〜5時の間に大きな木の幹に砂糖水を塗っておくと、
早朝に行けば、カブトムシやクワガタがその砂糖水を吸いに
集まってきてるでしょう!みたいな事を書いてて、
僕の住んでた沖縄市の越来の家の近くにある大きな木と言えば
西森公園の森の木だ!と思いつき、その頃はすでに両親は離婚
してて、母はスナックで働いていて、妹は祖父母と一緒に寝て
たので、つまり、小学1年とはいえ、一応自由(笑)
深夜1時〜2時頃、一人で家を抜け出し、砂糖水を抱えて
家から徒歩5分ぐらいの西森公園へ。
西森公園と言えば、ホームレスが寝泊りしてたり、
不良の兄ちゃんたちも集まる場所としても知られていたけど
幼いCHO-1少年にとっては、カブトムシやクワガタを手に入れ
られるワクワクに比べたらホームレスも不良の兄ちゃんらも
しったこっちゃない(笑)
一人で真夜中の公園の奥の森の中に入り、見渡す限りの
大きな木に砂糖水を塗りまくり(笑)
多分、1時間ぐらいはいたと思う。全然怖くなかった。
作業を終え、「朝にはカブトムシめっちゃいるはず!」
とワクワクしながら帰宅すると、何やら家の前に
パトカーの赤いサイレンが....(あれ?)
そーっと家に入ろうとすると、お巡りさんやら母親やら
おじい、おばぁ、近所のおばさんまで!
「あんた、どこ行ってたのーっ!!!」
「えっと、西森公園にカブトムシ採りに......」
一同、呆れ顔(笑)
スナックの仕事から帰ってきた母親が僕の姿が
見当たらないので誘拐にでもあったのかと心配して
警察も呼んで、近所を探し回ったところだったみたい。
「もう!寝なさい!!」
こっぴどく叱られたけど、僕からしたら
カブトムシもクワガタも買ってもらえないから、
自分で採るしかないと思っただけだし、
何なら図鑑に書いてる通りに従って行動しただけだし。(笑)
翌朝、起きてランドセルしょってダッシュで西森公園に行き、
夜中に砂糖水を塗った木を全部チェックしたら、
アリンコとカナブンだらけで、カブトムシやクワガタは
一匹も見当たらず、ショックを受けてトボトボと
越来小学校に向かった、小学1年のCHO-1大冒険物語でした。
俺の冒険心は、あの7歳の夜に生まれたと今でも思ってます。
(終)