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2019年小売業販売を振り返る〜経済産業省ミニ経済分析より〜
経済産業省の調査統計グループよりミニ経済分析として「2019年小売業販売を振り返る」レポートが公表されました。
まず商業販売額全体を俯瞰すると、年間で459兆9,750億円もの取引が生まれています。前年比では▲2.5%と減少しました。
卸売業が314.9兆円と約7割を占めており、経済活動の中核を担っています。BtoBプラットフォーム「インフォマート」のターゲット市場であり、企業としての成長余地が非常に大きいことがわかります。
今回の主題である小売業は145兆470億円で、前年比0.1%と横ばい。コンビニが12兆1,841億円と存在感を放っています。そして、今年はついにドラッグストアが百貨店を抜きました。
年単位で見ると、飲食料品と医薬品・化粧品が継続的に成長してきました。一方、アパレルは2018年にマイナスへ転じており、ピークアウトした感があります。月単位では、消費増税前の駆け込み需要が全業種で鮮明に表れています。
ここからは「コンビニ」「スーパー」「百貨店」「ドラッグストア」の商品別内訳を比較してみます。
まずはコンビニ。
最も大きいのは日配食品で38%ほど。加工食品も合わせて約6割が食品関連です。タバコなどの非食品が30%、チケットなどのサービス売上も6,807億円あります。
続いてスーパー。
市場規模はコンビニより大きい13兆983億円で、75%を飲食料品が占めています。アパレル系も8,000億円ほど(構成比6%)。
次は百貨店です。
百貨店も最も大きいのは飲食料品で1兆7,756億円を売り上げており、販売額全体の28%にあたります。少し意外でした。
次に大きいのが婦人・子供服で、1兆3,261億円と市場の21%を支えています。上に業種別動向で見たように、アパレル小売は頭打ち気味。
商品別寄与度を見てもわかるように、アパレルの苦戦が百貨店業界の縮小につながっています。
最後に、百貨店を抜いたドラッグストアを見てみます。
ドラッグストアも最も大きいのは食品。1兆9,420億円と百貨店の食費売上を上回っており、28%を占めるまでに拡大しています。
商品別寄与度でみても食品売上の拡大がドラッグストアの成長を牽引してきたことが見て取れます。また、店舗数の増加分も大きく寄与していることも確かです。
ちょっとまとめると、
・小売販売額は横ばい
・スーパーとコンビニは健在
・百貨店は中核のアパレル苦戦で右肩下がり
・ドラッグストアの食料品売上が拡大して百貨店を逆転
詳しくは見ませんが家電は増税前の駆け込み需要が最も露骨に表れていた感じでした。ホームセンターはDIY用品が伸びていてスーパー等との棲み分けが進んでいる印象。その他小売店(アパレル専門店やガソリンスタンド等)については98兆円もあるのですが特にコメントがありませんでした。