中国ゲーム配信2強「Huya」と「DouYu」が統合するかも。背後にビリビリやKuaishouの影。ただし全てテンセントの投資先
中国のゲームストリーミングサービス「虎牙(Huya)」と「斗鱼(DouYu)」が統合に向けて協議中だと36Krが報じました。
両社の株主であるテンセントが統合を提案しているようで、話し合いは始まったばかりとのこと。いずれも取材に対してはノーコメントです。
先にサービスを開始したのはHuyaのほうで、中国最大のライブストリーミングサービス「YY」(現JOYY)のゲーム配信ブランドとして2013年に立ち上がりました。
2016年8月に子会社としてスピンオフし、2017年に平安保険から7,500万ドル、2018年3月にテンセントから4.6億ドルを調達し、同年5月にNYSEへ上場しました。
DouYuは2014年スタートです。
動画サイト『AcFun』のライブストリーミング事業として始まり、2016年にテンセントから出資を受けてゲーム実況サービスを本格化。2019年7月にNASDAQへ上場し、eスポーツでも注目を集めています。
両社の最新決算数値、KPI1Q20)をまとめてみます。
売上:24.1億元(362億円) 前年比+47.8%
営業利益:1.3億元(20億円) +372.5%
平均MAU:1.51億人 +22.2%
平均モバイルMAU:7,470万人 +38.6%
課金ユーザー数:610万人 +13.0%
売上:22.8億元(342億円) 前年比+53.0%
営業利益:2.2億元(33億円) 前年は▲0.5億元の赤字
平均MAU:1.58億人 ▲0.7%
平均モバイルMAU:5,660万人 +15.3%
課金ユーザー数:760万人 +26.2%
売上はHuyaのほうが大きいですが、成長率はDouYuが上回っており追い付いてきた形。営業利益では逆転しました。
平均MAUはDouYuのほうが多いものの、今四半期は前年比で減少しました。モバイル利用ではHuyaが上回っているようです。
両社の主な収益源である「投げ銭」を利用する課金ユーザー数はDouYuが760万人で伸び率も26.2%と大きいです。いずれも顧客単価上昇が成長を支えています。
冒頭にも記載したように、両社ともテンセントから出資を受けています。DouYuについては上場前の時点で40%近くを保有。Huyaに関しては、4月にJOYYからHuyaの株式を2.6億ドルで買い増し、持株比率を50.1%(希薄化後)として連結子会社していました。「これは何かあるな」と思ったなかでの今回の統合報道です。
これまで中国のゲームストリーミング市場は両社の寡占状態と言われていましたが、少しずつ情勢は変わってきているようです。
中国版ニコニコ市場「ビリビリ」やショートビデオ「快手(Kuaishou)」もゲーム配信領域を強化しているそう。ビリビリは8億元(約120億円)で「リーグ・オブ・レジェンド」の今後3年間の世界大会決勝戦の中国エリア独占配信権を取得、Kuaishouは1億人を超えるDAUのうちゲーム関連が7700万人に達したと発表しています。
競合の台頭もHuyaとDouYuの統合話に拍車をかけているのかもしれません。
とはいいつつ、ビリビリもKuaishouもテンセントの投資先。なんだか掌の上で踊らされているような感じです。