【EL Vol.5】技術革新による労働形態のシフト:Away from Home and Back: Coordinating (Remote) Workers in 1800 and 2020
技術革新による生産性の向上は、労働形態にダイナミックな変化をもたらす。1800年頃、機械化により手工業は工場へと変わった。そして2020年現在、ITによって人間の仕事がオフィスワークからテレワークに移行しようとしている。Juhaszら(2020)はCOVID-19感染拡大を契機とした昨今のデジタルシフトについて、産業革命期の工場シフトに重ねて分析した。労働形態は「(新技術導入による)生産性向上」が「(変更に伴う)組織調整コスト」を上回る場合に変化するだろうという仮説は、ロックダウン直前の米国において整合的であった。組織調整コストが大きい産業ほどテレワーク実施率が低く、実施可能な状況にあったとしても労働形態の変更には至っていないと見られる。
Abstract
This paper examines the future of remote work by drawing parallels between two contexts: The move from home to factory-based production during the Industrial Revolution and the shift to work from home today. Both are characterized by a similar trade-off: the potential productivity advantage of the new working arrangement made possible by technology (mechanization or ICT), versus organizational barriers such as coordinating workers. Using contemporary data, we show that organizational barriers seem to be present today. Without further technological or organizational innovations, remote work may not be here to stay just yet.
要約
本稿では、2つの文脈の類似性を導き出すことで、リモートワークの未来を考察する。産業革命期の家庭から工場での生産への移行と、今日の在宅勤務への移行である。つまり、技術(機械化やICT)によって可能になった新しい労働形態の潜在的な生産性の優位性と、労働者の調整などの組織的な障壁との間に、同様のトレードオフがあることが特徴である。現代のデータを用いて、我々は組織的な障壁が現在も存在していることを示した。さらなる技術的・組織的イノベーションがなければ、リモートワークはまだ定着しないかもしれない。
MLA
Juhász, Réka, Mara P. Squicciarini, and Nico Voigtländer. Away from Home and Back: Coordinating (remote) Workers in 1800 and 2020. No. w28251. National Bureau of Economic Research, 2020.