
キモいプラモ「ゲゲボ魔獣」をゲゲボ大解剖!

こないだ押入れを整理していたら、ゲゲボ魔獣が大量に発掘されました。皆さんも家の片隅でゲゲボ魔獣を見かけること、よくありますよね。ないですか。そうか。
ゲゲボ魔獣とは、1988年ごろにバンダイから発売されたオリジナルのプラモデルシリーズのこと。語感から推察できる通りのキモかわいい(キモが9割)モンスターたちが主役で、見どころは1体1体にそれぞれ異なるギミックが搭載されている点。そのギミックというのが「カタカタ笑いだす」「ゲップの音を出す」「なんかネバネバしている」「粘液とともに子供がはじけ飛ぶ」などなど、人を驚かせることのみに特化したものばかり。良識あるご両親の眉をひそめさせる、100点満点のクソガキホビーと言えましょう。

具体的にはこんな感じです。良すぎますね。クソガキは「食卓でも平気でゲップする下品な野郎!!」のプラモとか普通に欲しがりますからね。しかもキャラクターシールとかわいいこども付き。

中身はこんな感じ。便宜上プラモと言ってますが、上記のゲッポイドはゴムだか軟質樹脂だかのパーツがほとんどを占めています。手前の小さな袋に入っているのは干からびたスライムです。数十年前なので…。右下の白い袋は、押すと「グオゴゲ」みたいな汚い音が出ます。

で、コイツを組み立てて鼻水を絡ませ、ゲップをさせて遊ぶわけです。情操教育の敗北みたいなオモチャですが、この唯一無二のオリジナリティには強く惹かれるものがあります。
今回は、発売されている全9種のゲゲボ魔獣をギミックとともに解説。ついでに当時のチラシなどに掲載されていた未発売のゲゲボ魔獣についても、わかる範囲で紹介していきます。これで君もゲゲボ博士だ!
NO.01 ケケラカン(芸長類・嘲笑抱付目)

シワだらけのサルのような、ETをよりキモくしたような姿のクリーチャー。胴体はやわらかい樹脂製で、手足が洗濯バサミのようなバネ式になっており、ここを掴んで電気スタンドの支柱など棒状のものに挟むことができるのだ。頭にゼンマイギミックがあり、これを回すと狂ったようにケタケタとアゴを鳴らして笑う。グロテスク極まりないイラスト、凝っているようでしょうもないギミックなど、ゲゲボ魔獣のエッセンスを濃縮した名キットといえる。かな?

NO.02 ミルズリー(芸長類・除目)

上記のキットの写真はイラストとずいぶん雰囲気が違うが、実物はイラストとも写真とも微妙に違う。顔部分はイラストのほうが近く、目玉の黒目は端に寄っているし、口も笑ってはいない。モチーフは出歯亀+カエルだろうか。
手の部分に吸盤が付いており、窓ガラスにへばりつくことができる。背中にあるゲゲボ心母(ゼンマイ)のネジを巻くと、目玉がギロギロと動く…というギミック。パッケージには「窓にへばりつくエッチなのぞき魔!!」という高度な変態以外の何物でもないキャッチコピーが書かれていた。

NO.03 トリガラン(寝覚類・絶滅瀕死目)

文字通り鶏ガラのような細いカラダで、腹だけが異様に膨れている栄養失調クリーチャー。腹の部分は柔らかい樹脂製。ゲゲボ魔獣の中ではかなり地味な方である。プロフィールにも「弱点:すでに弱っている」などと書かれる始末。ギミックも地味で、しっぽのゼンマイを巻くと腹がヒクヒク動いて死にそうな動きをするというだけもの。虚弱にもほどがある。

NO.04 コモポン(軟驚類・子宝多産目)

エイリアンの卵嚢がモチーフと思われる魔獣で、背中の巨大な袋で子供を育てている。この袋は軟かい素材でできており、底にはバネが仕込まれている。で、身体のスイッチを押すとバネの勢いで袋の中の無数の子供たちがポーンと飛びだすという、なかなかにハデな生態を持つ。キットにはスライムも同梱されており、コレを袋の中に子供と一緒に入れることで粘液に包まれた子供がボビュッという感じで飛び出し、大変イヤな気分になれたものだ。スライムはあちこちにへばりつくため、遊んでいるうちに量がどんどん減っていくという難はあったが。あと子供もどっかいく。昔、コレ(スライム付き子供)を客室のじゅうたんの上にブチ撒けてしまい、なかなか取れずに往生した思い出がある。

NO.05 ゲッポイド(芸長類・臭悪騒音目)

上でもちょっと紹介したが改めて…。秀逸なデザインとネーミングで、ゲゲボ魔獣のなかでも屈指のネームバリューを誇る(かもしれない)1匹。稼動ギミックこそないが、全身が柔らかくブヨブヨしている。腹には音袋が仕込まれており、押すと「ゲポッ」「グォゴゲ」と不愉快な音を出すのだ。鼻水を模したスライムも使って遊べば楽しさ1.2倍。ぜひ一度手にとって、そして脱力してほしい。オススメの一品。

NO.06 スラメーバ三兄弟(軟驚類・兄弟一顔目)

蛍光物質を含んだ弾力性のある特殊素材でできていて、とってもカラダに悪そうである。目、鼻、口のパーツに分かれているが、組み立てなければならない箇所はまったくなく、もはやプラモデルでもなんでもない。暗いところで光るほか、ベタベタしていて窓ガラスやドアノブにへばりつくといった性質を持つ。粘着力が落ちても水で洗えば復活するので安心。3体重ねて顔面合体しよう!

NO.07 ヘリマーム(芸長類・懸垂羞恥目)

ツメ状の手が樹脂製になっており、机のヘリなどを掴むことができる(保持力が弱くてすぐずり落ちてしまうが…)。背中にはゼンマイがあり、回すと顔が上下して、ヘリからひょこひょこと覗いているように見えるというギミック。ゼンマイを使っているわりには地味である。ていうかこういう顔のヒトっているよな。どこかで見た気がするんだけど。舛添要一?

NO.08 ギュヨヨーン(軟驚類・引出驚嘆目)

これまた秀逸なデザイン。上アゴと下アゴをつなぐ「ゲゲボ伸筋」は、ビヨ~ンと伸びる素材でできている。ゼリーみたいなハエ叩きのオモチャと同じアレだ。両腕、両足には吸盤がついていて、引き出しの中につっぱって張り付くことができ、開けた人はビックリウギャーというわけ。子供のころデパートのおもちゃ屋で買ったキットにはなぜかゲゲボ伸筋が入っておらず、キットを取り替えてくれるよう電話したのだが、「ゲゲボ魔獣のギュヨヨーン」という商品名を向こうが聞き取れず、「ゲゲボ魔獣の! ギュヨヨーンなんですけど!」と大声で連呼する羽目になった。

NO.09 ミズデロン(樹湯類・蔓巻温泉目)

お風呂で遊ぶことを前提に造られた変わり種。なんとコイツの全身は形状記憶樹脂でできていて、お湯で温めたり水で冷やしたりすることで、自由に身体を曲げたり、元の形に戻したりできた。浴槽で遊ぶ場合、水を出しすぎてヌルくなってしまうのが難といえば難であった(桶に入れとけばいいのに)。ちなみに頭はスポイトになっており、水鉄砲にして遊べる。ガキは水モノも好きだからね。アクアドンとか。フグのような頭に骨そのものの胴体という、異形のデザインが驚くほど違和感なくしっくりしている。

実際に発売されたゲゲボ魔獣は上記の9種だが、当時の宣材には未発売の魔獣たちの姿が6体確認できる。以下の3体は正確なプロフィールや解剖図などの設定もあり、当時配布されていた小冊子「ゲゲボ魔獣大百科」に掲載されていたとのこと。大百科欲しいんだけどバカ高価くて手が出ません。
NO.XX ドビュンガー(芸長類・壁貼翼目)

ゲゲボ魔獣たちのボス的存在とのこと。ゲゲボ心母が組み込まれており、翼をバタバタはばたかせることができるらしい。尻尾から伸びる糸で天井に吊るし、飛び回って人を驚かせるとか、そういうギミックだったと思われる。「壁貼翼目」とあるので、脚の部分も吸盤か粘着性の素材でできていて、壁にはりつくことができたのではなかろうか。面白そうだが部屋が大惨事になりそうな気もする。
NO.XX ニラメン(芸長類・哀愁破顔目)

ミルズリーのようにゼンマイで顔のパーツが動いてにらめっこができるのかなと思ったが、こいつにゲゲボ心母は無いらしい。頭部には「ゲゲボ流体脳」なる器官がある様子。今でもたまに見かける、握ると目ん玉が飛び出すグロキモいキーホルダーみたいな軟質素材で頭部ができている…とかだろうか?
NO.XX アガキラー(寝覚類・尾仮死寝目)

なんか音を出す、ということくらいしかわからない。トリガランと同じ寝覚類で、外見もトリガランと被っている。どうにも地味な魔獣である。「死んだふりがうまい」とのことなので、触ろうとするといきなり動き始めるとか?
以下の3体は「ゲゲボ系統樹」なるイラストにシルエットだけ掲載されていた魔獣で、名前すらわからない。コイツらの正体が明らかになる日は来るのだろうか?

NO.XX 謎の樹湯類

岩のようにゴツゴツした魔獣。ミズデロンと同じ樹湯類なので、お風呂や水場で遊べるギミックがあったのではなかろうか。全身がスポンジや軽石になっていて体を洗えるとか。キモいな。発泡しながら溶けて無くなると面白い。
NO.XX 謎の寝覚類

6本足のクモのような魔獣。舌だか尻尾だかわからんが、細長く伸びた部位がポイントだと思う。おそらくこれは電灯のヒモであり、ぶらさがって足をバタバタさせるとか、そういうギミックだと思うのだがどうか。
NO.XX 謎の軟驚類

すごい勢いでカエル跳びしているようなポーズの魔獣。スラメーバ三兄弟やギュヨヨーンと同じ軟驚類なので、軟質素材のボディがギミックに関わってくると思われる。なんか大昔にあった、ポンプを押すと跳ぶカエルのオモチャみたいなやつしか思いつかないが…。
いかがでしたか? キモかったですね。とは言え個々の魔獣たちのデザインはかなりツボでしたし、遊び心あるギミックも含め、見た目のキワモノ度以上に完成度の高いシリーズだったのではないかと思います。ちなみにゲゲボ魔獣のデザイン、あらいずみるいが参加しているという情報を聞いた気がするが未確認。ファンロードのゲゲボと混同されてない? 違うの? それはそれとして、いつも心にゲゲボマインドを秘めてやっていきましょう。以上です。