Y Combinatorのプログラムに参加してきた[前編]
初めまして! Godship, Inc. Founder/CEOのJackです。現在、ステルススタートアップをアメリカで立ち上げています。
サンフランシスコに引っ越してきてから100日を超えたので、今回はここまでの振り返りと7/27にサンフランシスコにあるYCの新ヘッドクウォーターで行われた、Startup School 2024 Westのレビューをしようと思います。
参加するまで
渡米
6/10に事実上引っ越してきました。事実上というのはまだ必要に応じて日本に戻る必要があったり目的のビザを取り切ってはいないけれど、活動の本拠地はこちらに移したということです。
渡米の目的はベイエリアでスタートアップをやるためです。(ベイエリア = サンフランシスコ + シリコンバレー + α、シリコンバレーよりベイエリアの方がよく使われる )
中2くらいの時からアメリカ、主にベイエリアのスタートアップ起業家に憧れていて、彼らの背中を追い続けてここまで来ました。彼らと同じ土俵で大きな勝負がしたいので一生アメリカを本拠地としてやっていこうと思っています。コロナなど色々あり当初の予定より渡米が3年遅れていたので、渡米時の気持ちとしては「やっと行けるぜ」「ちょっとベイエリア揺らしてくるわ」的な感じでした。
生活
ベイエリアに来たのはこれが2回目、去年の9月に下見の10泊旅行で一人で来ていました。海外経験は特に無くて、その去年の9月のアメリカが初海外で今回が2回目の海外です。
一年ぶりにsfに来て、第一印象は人増えたな、という感じ。それに加えて前回は初めてが重なりすぎて空港を出た瞬間から撃たれるんじゃないか、殺されるんじゃないか(過剰)などものすごく警戒していましたが、今回は謎に慣れていて東京と同じほぼ警戒心0の状態で来れました。家にいるのが嫌いで出来るだけ家の外にいたいのでこちらに来る前は、危ないから夜は外出できなくて残念と気分が沈んでいましたが、意外と毎日帰ってくるのは21から24時くらいなので東京よりむしろ遅くて満足しています。
シェアハウスは中心部のSoMa(South of Market)にあって、周辺には様々なスタートアップや有名企業のヘッドクウォーターがあります。(X, Airbnb, Square, ScaleAIなど) 立地はとても良く、ホームレスもいるにはいますが気にするほどではないです。4畳くらいの一人部屋にあとは全部シェアで月1200ドル。
上の世代の人達のnoteを読んだりリサーチをしていると、事業以外の苦労話が多いので(例えば銃を突きつけられる、叫び声で毎朝目が覚める、英語力も知り合いも貯金も0、窓ガラスを破られる、車中泊、金無くて3食バナナなど)、行く気が若干失せますが、いざ来てみると案外全然やっていけそうだな、という感じはしています。
全体的に物価は2.5倍くらい。特に最初の支払いが重なった6、7月は160円を超えていたので地獄でした。普通に高いので外食もショッピングもしなくなりました。ジムも行ってません。車を気軽に借りられません。メントスが400円だった時はしばらくショックでした。でも最近、スーパーなどで値段にいちいち×150をしなくなったので使いすぎている気がして怖いです。
超都会が好きなので前は新宿に住んでいたのですが、sfの街自体はスタートアップの人達用みたいな感じで遊ぶところはあんまり無く(知らないだけかも)、有名な観光地(Pier39など)も1回行ったら飽きるのでハイキングもしない日本の若者にはつまらないと思います。逆を言えばとても事業に専念できる環境だと思います。
今は東京でのナイトドライブが一番恋しいです。
YCとは
YC(Yコンビネーター、略してYCと呼ぶ)が世界一のアクセラレーターで、ベイエリアエコシステムの特に入り口をコントロールしているのは周知の事実。生まれたばかりの会社に箔が付き、資金調達や顧客獲得の際に有利になります。
採択率は近年人気が高まってきて1%前後。採択までのプロセスは、応募→インタビュー(上位8%くらい)→追加のインタビュー(無い場合も)→採択です。応募の際の項目をちゃんと埋めると上位80%ほどになり、また上位10%くらいはポテンシャル的には変わらないと言っている人もいるので1%に入るには運も必要そうです。
プレシードに当たる$500Kが一括で投資されます。スキームについては全部post valuation SAFEで$125Kが固定の7%、残り$375Kがバリュエーションキャップ無しのMFN(Most Favored Nation、最恵国待遇)で投資されます。この$375Kは大体次のシードラウンドで、バリュエーションキャップが$15Mから$20Mくらいなので1.875~2.500%に転換されます。昔は投資額はもっと少なかったです。
(よく使うKは1000ドル、Mは100万ドル、Bは10億ドルの略です。)
最近はAIかディベロッパーツールかデータ系じゃないと入りづらいです。toCの一か八か枠も減ってきました。またソロ創業者も入りにくいです。しかし、最近のバッチは学生または最近卒業した人の割合が30%ほどに急増しているので若くても全然大丈夫だと思います。学生の場合専攻は大体コンピューターサイエンスかエンジニアリングじゃないと工夫が必要そうです。シリアルやYCの会社でエンジニアで働いていた、元FAANGエンジニア、とかはやはり入りやすいです。
豆知識的なのは最年少は確か14歳、YCに採択されると学校は退学しないといけない、3回採択がギネス記録、既にYC内の(英語では do YCと言う Did you do YC?的な)知り合いがいたらリファラルで入りやすくなるチャンス有り、5%くらいはユニコーンになる、日本国籍?のCEOはおそらく6社/5000+社、その中で初めて採択されたのはFond社のTaro FukuyamaでS24には2社、20代である程度の規模まで行っている人は大体YC出身、S大生は良さそうなアイデアがあれば大体通るから逆に入らないことを選択する人もいる、Loopt社のSam AltmanはS05、YC内にも投資家リストが存在し評判が悪いと投資できなくなる、最初はYCではなくCambridge Seedと呼ばれていた、とかでしょうか。(他にも色々書けますが詳しいことは中の人に聞いてください!)
YCは定期的にバッチ-batchと言われる3ヶ月のプログラムを行なっています。バッチと言う名前の由来は、忘れました..笑 一つのまとまりという意味で何かに例えていたはずです。どのバッチに参加したかは○XXと表し、○には季節の英単語の頭文字のアルファベットが、XXには西暦の下二桁が入ります。最近採択数を半分にして年に4回に増やし、個人的にはSummerとSpringが両方Sなのでどう見分けを付けるのかが気になる(どうでもいい)。
プログラムでは会社が数社のグループに分かれ、そこに担当パートナーが付きます。頻繁にグループミーティングで目標を確認しあったり、オフィスアワーなどで詰められつつ徹底的に会社のアクセラレーションを行った後にDemo Dayでシードの資金調達のために投資家に対して1分程度のプレゼンをします。
YCの影
去年旅行に来た時も、Mountain Viewの旧ヘッドクウォーターに行っていました。
自分はW24とS24に申し込んで断らていて(F24も追加で!)、かつ日本にはYCファウンダーが皆無なので自分の中で幻の存在みたいになっていました。東京にいたときは1人だけイベントで会ったことがありました。(AlpacaのYoshi Yokokawa)
それもそのはずでそもそも日本登記だと入れず、アメリカ、カナダ、シンガポール、ケイマン諸島のどこかに登記している必要があります。先に日本で登記して調達など色々やっていると、参加のタイミングが来た時に登記を移す必要があるのでめんどくさいです。この4つ以外の国のYC採択会社は本社はデラウェアに登記しています。子会社がその国にあったり無かったりと言う状態です。ちなみに登記で有名なサービスのStripe Atlas(サムネイル右端のPatrick Collisonがコーファウンダー)もClerky もYCの会社です。
sf到着翌日にダウンタウンのシェアオフィスを借り、3日目くらいでYCという単語が聞こえてきておっ!?みたいになって、開始早々スタートアップのバイブを感じました。
最初はスゲー!えぐ!みたいになってたのですが、割とオフィスに10人くらいはいたので徐々に慣れてきました。入るのが難しいけど割といる感じです。入ったりエグジットしたりすると貰えるらしい帽子やバッグなどのYCグッズでも関係者かどうか分かります。全員YCYCと言っていてYC信仰が強く、YC一強感があり他のアクセラが霞んで見えます。YCか、YC以外か。
お、ちょうど今記事を書いている横で隣の隣に座っている人が電話で「S21に参加してDemoDayで$3Mをレイズした」と言っているのが聞こえてきましたがもう驚きません!
「The reality is.. most startups fail.」「Then, what did you learn in a batch?」みたいな会話も聞こえてきてYCの会社でもきついんだなとも思いました。
加えて、友人が住んでいる家の近くにいわゆる"YCマンション"があり、それはYCファウンダーが多く住んでいる場所です。(YCファウンダーしか入れないかも) 何回も前を通り過ぎたりして毎回その話をしていたので身近に感じていました。
Apply
7月の頭くらいにこのプログラムの存在を知り、申し込みました。申し込むにあたってYCのアプリケーションと同じような自由回答の質問が8問くらいあって、バッチ同様に参加者が選ばれます。倍率は4倍くらいだと思います。ノンテックなシステムをハックした時のことを教えてくださいみたいな模範解答が気になる安定の質問や、過去のテストスコアを書く(おそらくSATや数オリの結果などを期待されているが、そんなものは残念ながら無い)ものがありました。2週間後くらいに招待の通知が来ました。これの存在を教えてくれた友人は落ちてしまったので何とも言えない気持ちに。。。
7/27当日
大まかな流れとしては、Registration→パートナー達の大セッション→部屋別のファウンダー × パートナー達の小セッション→自由(交流、建物散策)という感じ。
Registration
楽しみすぎて扉が開く1時間前に行って他の人と喋っていました。これに参加するためだけにヨーロッパやテキサスから飛行機で来ていた人もいて気合い入ってんなあと笑。
扉のところには警備員がいて勝手に入れないようになっています。いざ扉が開いて受付で名前を言って名札とビンゴシートを貰いました。ビンゴは景品でバッグがもらえる、他の参加者に質問をしてyesを見つけ、参加者同士の交流を促すためのものです。A person who has personal websitesとかA person who has ridden a Waymoなどがありました。ビンゴしましたが更なる抽選で外れました(泣)早く行ったので結局三列目の中央で見れました。
食べ物とドリンクは大量にあったのでパートナーセッションが始まるまでは飲み物片手に頑張ってビンゴを埋めていました。
WiFi のパスワードはmakesomethingなので近くに来てネットに困った人は是非。
パートナーセッション
Paul Graham × Garry Tan
Christina Cacioppo (Founder/CEO @Vanta)
Garry Tan × Jared Friedman × Harj Taggar × Diana Hu(長いので後編)
Dalton Caldwell × Michael Seibel (長いので後編)
Dalton Caldwell × Sam Altman (長いので後編)
外の広場で行われ、天気は最悪だったので皆凍えながら聞いていました。笑 今回はアイデア段階~シード前半の人達用のプログラムなので、アドバイスやトークもそれ用でした。
以下、各セッションのポイントをまとめています。
1.Paul Graham × Garry Tan
Co-Founder × CEOのFireside(対談のこと)。 彼のエッセイの[How to Do Great Work]についての話。皆さんも読みましょう。by 本人 実は事前課題みたいな感じでこのエッセイを読んでくることが推奨されていた。
今始めろ・・・
スタートアップを始める最適なタイミングは今だ。そもそもスタートアップを始めることは普通の人向けではないし、いざやってみないと自分が適正かどうかも分からない。もしその先が分からなかったとしてもとりあえず飛び込め。
2.Christina Cacioppo (Founder/CEO @Vanta)
コンプライアンスエリアで最近Series Cで$150M調達したVanta のChristinaのスピーチ。個人的には特に3が良かった。
そして彼女はとある名言で締め括った。
"All overnight success takes about 10 years" - Jeff Bezos
アイデアを見つける・・・
アイデアを見つけ、それを大きなマーケットで確立するためのTipsを教えようと思う。それは1.ユーザーを見つけろ。全て最初はユーザーから始まる。ユーザーを理解するのにもっと時間を割け。 2. ビタミン剤では無くぺインキラーを提供しろ。実際かつ具体的に存在する問題を解決し、そのプロダクトがあったら良いよねではなく無いと困る存在になるべきだ。3.競合をリスペクトしろ。競合は賢いし、とてもモチベーションがある。自分たちの方が優れていると考えがちだが決して侮るな。プロであるあなたの目線と顧客の目線は違う。4.過小評価されることを嬉しく思え。もしキラープロダクトを持っていて誰もあなたのことに注目していないのなら、それはあなただけが秘密の鍵を持っているということだ。他人からのプレッシャーを受けずにイノベーティブになることができ、またヘッドスタートを切れる。
3.Garry Tan × Jared Friedman × Harj Taggar × Diana Hu
・・・・・・・・・・・・・(長いので後編で)
4.Dalton Caldwell × Michael Seibel
・・・・・・・・・・・・・(長いので後編で)
5.Dalton Caldwell × Sam Altman
・・・・・・・・・・・・・・(長いので後編で)
記事が6400字を超えたので続きは後編で書こうと思います。
お楽しみに!
(現在資金調達を行っており特にエンジェル、VCの方、お話ししたいのでご連絡お待ちしております!)