秋華賞・雑感
「1.1倍」、三冠すらも通過点という実況が記憶に新しい2018年に牝馬三冠を達成したアーモンドアイ、その時のオッズは「1.2倍」、2020年に無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクトは「1.4倍」、日本競馬歴代の女傑を上回る期待の数字、視線、リバティアイランドと川田将雅、476㌔、10㌔増え成長した世代の主演女優、寸分の隙はない、無に徹する鞍上、曇天から戻った陽光を背に幕開く
逃げると思われたコンクシェルは行く素振りなし、好発決めた実力馬コナコーストが先手、後続は集団を帯びる、ハーパーは3.4番手、すぐ後ろにリバティアイランド、馬群から外に出す機を窺う、一泡吹かせようと他馬もリバティを包囲し潜める
前半1000㍍61秒6、3~4コーナーまでペースは上がらない、動きなく残り600㍍であがる大歓声、放たれた光速、動いた真打、ものの数秒で先団を飲み込み、直線手前で先頭の主演女優リバティアイランド
2馬身.3馬身と広がる差、春に対戦のライバルを置き去りにする、鞍上の川田将雅はムチを抜かない、勝利は至上命題、且つ余力は世界戦に、他馬とは違う世界線、後続から唯一迫るローズS覇者マスクトディーヴァも彼女には蚊帳の外、2分1秒1、ノーステッキ、史上7頭目の牝馬三冠の偉業を力八分で成したヒロイン、興奮よりも感嘆が上回った歓声、ゆっくり歩を確かめスタンド前に戻った人馬、鞍上の川田将雅の表情が少々崩れる、ゴーグル越しではあるが感は極まっているように映った、インタビューでも目には光るものが、沈着の彼が見せた安堵と果たした責務、そして未来への宣誓、まさに通過点の三冠ロード、「次戦はできれば年内」と口にした陣営、JCか香港か有馬か、全開に放たれた彼女の走りが待ち遠しい
「オーディション」のローズSでベールを露にしたマスクトディーヴァ、勝負所で前を捌けず外に持ち出すロスがありながら、最速上り33秒5を繰り出し唯一牙城に迫った、祖母ビハインドザマスク譲りの鬼脚、真価は如何にの大舞台で本物を証明、まだ伸びる逸材、"若武者"岩田望来と歩む光の先、3着には2馬身半を付けた
3着争いはハーパー、ドゥーラ、モリアーナの3頭、辛くもハーパーが2番人気の意地、成長した馬体、力は出したが開いたままだった「水」、4着ドゥーラ、5着モリアーナも尽力、次は古馬と混じり研鑽を積む
新たに記され継がれる三冠の記、間違いなく歴代名牝・女傑の域、見逃すはずがない海外のレーシングポスト、日本競馬の看板女優、世界披露へ正装の時に入った