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外国人ケアワーカーの本質@ケアワーカー送り出し国からのレポート

つい1年前までは、バリバリの肉体労働者でした。

雨の日も、風の日も、雪の日も、早朝だろうが深夜だろうが関係なく、バイクで各家庭を回りながら、訪問介護をしました。


パンデミック中の在宅介

カバンの中のアイテムは、タオル、着替え、水、頭に巻く手拭い、感染症対策防具など。そして、絶対に忘れてはならないアイテムの1つが、骨盤矯正ベルト(腰痛コルセット)です。骨盤矯正ベルトをつけないで、1日現場で働くと、あっという間に腰痛になります。

移乗介助や排泄介助では、中腰の姿勢が求められ、知らず知らずのうちに腰方形筋や腸腰筋がガチガチになります。自分でストレッチをしても腰の違和感が拭えず、このまま現場のハードワークが続き、腰痛になったらどうしようかと、本当に悩みました。


オムツ交換の練習風景

肉体労働者にとって身体は資本です。

私は元プロボクサーで指圧師ですから、身体に関してはそれなりに詳しく理解しています。当時、私にとっての腰痛対策は、骨盤矯正ベルトの装着と減量でした。

隙間時間を見つけてはランニングをし、体重を落とす努力をしました。加えて、訪問介護の場合、デカい身体はそれだけで利用者さんに圧迫感を与えます。その意味でも、身体をなるべく細くするように心がけていました。

想像してみてください。自分の家に、家族ではないデカい身体の男があちこち動き回っていたら、圧迫感があるでしょう。しかも、デカい身体の男は小回りが利かず、家の中のモノによくぶつかります。(その度に怒られます。。)


在宅には物があふれています

施設のように広い空間であれば気にならないかもしれませんが、狭い家の中でのデカい身体は、どうしても圧迫感を感じさせてしまいます。

私は、利用者さんから直接、「あなたは圧迫感がある」と言われました。ボクサーであれば誉め言葉でも、ヘルパーとしては致命的な一言です。

なので、腰痛対策と相まって減量に取り組んだのです。京都の二条城の周りをよく走りました。今となっては懐かしい思い出です。

さて、聞くところによると、日本で働く外国人ケアワーカーが仕事を辞める理由の1つに、腰痛が挙げられているようです。どんなに日本語が流ちょうに話せても、肉体労働者が身体を痛めてしまったら価値が失われます。

介護技術や介護器具の使い方などを、送り出し国で付焼刃(つけやきば)的に教えてもあまり意味がないと思っています。それよりも、むしろ、肉体労働者として、身体の鍛え方、メンテナンスの仕方、腰痛対策などを、来日前にきちんと教えてあげる方が、役立つのではないでしょうか。

そのための布石として、戦略的にボクシングの動画をFacebookに投稿しています。肉体労働者を指導するトレーナーとしての発言力を高めるためです。

どんなにキレイごとを言っても、介護はバリバリの肉体労働であり、外国人労働者に求められているのは、「労働力」です

予算が許されるのであれば、彼らが日本へ飛び立つ前に強化合宿をひらいて、私は鬼トレーナーに変身したいです。


忘年会の余興練習(あしたのジョー)

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