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隕石の街に巻き起こる陰謀と心の傷 映画 アステロイドシティ ネタバレ感想
こんにちは。こんばんは。記念すべき感想1本目の映画はアステロイドシティ。
以下あらすじ
時は1955年、アメリカ南西部に位置する砂漠の街、アステロイド・シティ。隕石が落下してできた巨大なクレーターが最大の観光名所であるこの街に、科学賞の栄誉に輝いた5人の天才的な子供たちとその家族が招待される。子供たちに母親が亡くなったことを伝えられない父親、マリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターのシングルマザー──それぞれが様々な想いを抱えつつ授賞式は幕を開けるが、祭典の真最中にまさかの宇宙人到来!?この予想もしなかった大事件により人々は大混乱!街は封鎖され、軍は宇宙人の事実を隠蔽しようとし、子供たちは外部へ情報を伝えようと企てる。果たしてアステロイド・シティと、閉じ込められた人々の運命の行方は──!?
というもので、私がこの映画を見た感想をまとめます。
「メソッド演技についての映画…?」
この映画について語る動画を見てると演技法の一つメソッド演技と役者の苦悩がテーマではないかという意見が多かったです、しかし個人的には”顔”がテーマだと思いました。人には様々な顔があります。友達の前での顔、会社での顔、家族の前での顔など…
私にだってたくさん顔があります。SNSの本垢、裏垢…なんてものも1つの顔です。そして今作の登場人物にも”顔”があります。ではその一番下にある”顔”とは??
それは喪失と悲しみを抱える本当の自分。
妻を失ったオーギー
物語の主人公はオーギー。彼は妻を失った悲しみから立ち直れないままこのアステロイドシティに来ます。そして本作の構造で特殊なのは、これは映画の中の劇であるということ。つまりオーギーを演じるのは、映画の中の俳優ジョーンズホール、そしてこの役を演じるのが現実の俳優ジェイソンシュワルツマン。つまりオーギースティーンベック(ジョーンズホール)は妻を失い、そしてジョーンズホール(ジェイソンシュワルツマン)は実際に恋人?関係にあったコンラットアープを失います。彼は劇の中のオーギーとしても、俳優ジョーンズとしても大切な人を失っています。
何が言いたいかと言うと、本当の顔を隠して人前で演技するのは難しけどみんながやってるということ。演技のためには自分の意志に反することもしないといけない。それを表すかのようにオーギーはホットサンドのグリルで手を火傷させます。なぜそんなことするかというと、それが演技プラン、もとい悲しみを隠すための行動だからです。
アステロイドシティにあるクレーター
本作の二重構造は、明るいアステロイドシティの町と比較的暗めの舞台裏。
ジョーンズはその劇で与えられた役と自分の境遇を重ねないのは不可能で、まさにその役とは近親者の死から立ち直れない役。ジョーンズは心の傷に囚われず役者として演じないといけない、しかしそこには演技では隠し切れない心の傷がある、それを表すようにアステロイドシティには大きなクレーターが剥き出しになっています。
アステロイドシティを抜け出したオーギー
舞台セットから抜け出したオーギーは、妻役と出会います。そこでの会話…
妻「現像できるかしら」
オーギー「僕の写真だからね」
ここで言っているのは心の傷を治すには向き合うしかないということを言っているのだと思います。写真を現像する(自分の経験、過去を受け入れる)ことが重要なんだということをオーギーはこの会話で理解するのだと思います。
起きたければ眠れ
起きたければ眠れとは、眠らないと起きれないように、悲しみを回復するにはそれ自身と向き合うしかないと言っているのだと思います。
本作アステロイドシティは舞台とその舞台裏。演じること、また宇宙人や陰謀、コメディーなど楽しいこと、それとそこに隠された心の闇や本当の顔の二面性を描いてるのだと思いました。
だからおかしくてちょっと切ないの物語なのかと。
予告編