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徳を積もうとして積めなかった強欲な大人のはなし

ブラッシュアップライフにハマっていた。徳をたくさん積んでおけば人間に生まれ変われる。積んで無いとアリクイとかになっちゃうお話し。

アリクイにならない為、ポンコツとポンコツの息子はどちらが徳を積めるか競っていた。

徳を積もう

という気持ちで生きていると不思議なことに困っている人を見つける能力が鍛えられてくる。

ポンコツは犬の散歩中、迷子の男の子を保護した。


こっちも保護されそうだけども

昼寝から起きたらママがいなかったらしくパニックになって外に飛び出てきたらしく、ママが帰ってくるまで一緒に待った。

次は大荷物のおばあちゃんが踏切を渡りそこねそうな所に遭遇。漫画か?

ってくらいに色々出会った。

息子は、道端でスマホの使い方のわからないおじいちゃんに話しかけられ、


側から見たら恐喝

1時間くらいかけておじいちゃんの息子への電話のかけ方を教えたらしい。

転んでたおばあちゃんを助けたとも言っていた。


ポンコツと息子は

「よーしもうこれでかなり徳積んだよねー!」

と大満足で話していた。

それを静かに聞いていた娘が



娘はちょっと姉と性格が似ている


「徳って積もうとして積むものじゃなくない?」


と言ってきた。

つまりは自分の欲のために積んだ徳は徳じゃない。
と。


本当にすいませんでした。

ポンコツと息子は強欲な自分を恥じた。

それからまた不思議なことに困った人と出会う事も無くなった。


しばらくして、ポンコツと娘で散歩していると


2人だとちょっとラク

道端にスマホが落ちていた。
ポンコツが拾って、見てみたが、電話をかけられない設定にされていて何もできなかった。

もう徳を積む事に飽きていたポンコツは


ここに置けば誰か気付くよね?

と人任せに置き去りにしようとした。


待ちなさいよ

と娘に呼び止められ、娘はそのスマホの電話帳の履歴の人に、娘のスマホから片っ端に電話をかけ始めた。


とくをつめよ

するとスマホの持ち主の娘さんと繋がった。どうやら持ち主は、この近くに住んでいるおばあちゃんであった。近かったので、そのまま家まで届けることになった。

その家からは品の良いおばあちゃんが出てきて、

「まあ!こんな可愛らしい方が届けてくれるなんて!本当にありがとうねえ!」

すっごいすっごい感謝されてた

「お礼したいからお名前と住所教えてくださる?」

と言われたが、

侍なんか

と頑なに教えずその場を去った。

そしてその後何度も娘のスマホにおばあちゃんから電話がかかってきて、どうしてもと言われて

たくさんのイチゴと、犬用のおやつ、素敵なお花を頂いた。

そのおばあちゃんの家の門構えが気になり、(なんかすごかった)おばあちゃんの名前を検索した。(強欲なポンコツ)

すると、友禅染めで有名な方で伝統工芸師だった。

おばあちゃんは今度、作品会をするので良ければ、と言って案内をくれた。

すごかった


これが徳を積むということか。

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