いまやまさんのおはなし中編
https://note.com/jack0909/n/n76f52717205c
今山さんと自宅も近所だということがわかり、一緒に帰るようになった。
ポンコツは運動の為歩きだったが、今山さんはチャリ。帰り道はいつも、ポンコツに合わせてチャリを押してゆっくり帰ってくれた。
歩きながら、ポンコツはその日の愚痴を今山さんにピーチクパーチク言いながら帰った。今山さんはいつも、
と聞いてくれて、別れ道になると、
「見てください!月が綺麗ですよ!」
と言って、2人でポーっと見る夕方の白い月が本当に綺麗で、
「今日もお疲れ様でございました。」
と深々とお辞儀をされ、1人帰る時には今日の嫌な事を忘れていた。
そして時々、帰り道、今山さんのご自宅に招待してくれる事もあった。
大きなマンションの一室。今山さんらしく、すごく整頓されたお部屋。優しい旦那さんとも会えた。お部屋にはもう独立された娘さんの写真が大事そうに飾られていた。
お仕事が休みの日には、今山さん宅でランチをした。
「たまにはいいですよね」と言って
「たまにはいいですよね」と言いながら缶ビールを出して、プシュッとやりはじめ
「たまには…」と言って最後に
ポンコツはポテトをたくさん頼んでもらった時のように開放的な気持ちになった。
自由に見えてポンコツは息抜きの仕方を知らなかった。真面目すぎる今山さんの息抜きは最高だった。
大人の息抜きを教えてもらった。幸せな日だった。
1年くらいたった頃に、今山さんが言った。
嫌な予感がした。
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