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アブラハム合意

ここのところ、ポンペイオ国務長官をはじめ、トランプ政権の高官から「アブラハム合意」との言葉が発せられている。8月13日に発表された、イスラエルとUAEの国交正常化合意を指した言葉だ。

この命名は当事者が使用しているものではない。当初から米トランプ政権が意図的に使っている。(13日)フリードマン駐イスラエル米大使は「この合意は、『アブラハム合意』と呼ばれることになるだろう。アブラハムはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教という三大宗教の父だからである。」と述べた(8月14日、ヨウム・サービア紙

9月6日ポンペイオ国務長官は、FOXニュースのインタビューに応じ、「アブラハム合意は、イランの脅威がアメリカの領土に及ばないよう、あるいは、中東のどの国も害さないようにするための同盟だ」との認識を示した。翌日には、ホワイトハウスがトランプ大統領とサルマン・サウジ国王との電話会談内容を明らかにし、「アブラハム合意に基づくイスラエル・UAE間の直行便開設に関してサウジアラビアが恒常的な領空通過を許可したことを評価」した。大統領選挙を目前に控え、福音派やユダヤロビーの支持を固めるべく、この問題が象徴的なネーミングを経て、大いに政治利用されている実態が見えてくる。

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写真:国際法を無視し、エルサレムをイスラエルの首都と認めるトランプ大統領。背景に、米福音派の強い影響(2017.12)

アブラハムは、アラビア語(イスラム教)では、イブラヒームと呼ばれる。イブラヒームは、イスハーク(イツハク。ユダヤ人の祖)とイスマイール(イシュマエル。アラブ人の祖)の2人の子の父である。

ホワイトハウスが積極的に使う以上、この呼び名はこれから一般化してくることだろう。《3分でわかる》アブラハムとは何者か?



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