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毎日、ニュースを見て仕事に行くこと

 洗濯物を片付けて、ご飯を作って、皿を洗って、お風呂に入って、自分たちより早く起きて、仕事をして、ニュースを見ている。小さいころ、毎日これを家族とこなすことが大人だと思っていた。
 
 今日30歳になる。不安とも期待とも言えないそわそわした気持ち。全部内面化された自分の価値観のせいなんだけど、30歳って言い訳の効かない、いよいよ‘’大人‘’って感じしない?20代はまるまるゲネプロで、いよいよここから本番ですよって。

 それに同じように30歳が成人みたいなことを言っている人は事実俺だけじゃない。例えば村上春樹が30歳成人を唱えてるし、なんと孔子曰く而立は30だと。

 翻って本番が始まる私はどうだっただろう。洗い物は…残っていないが、食器は出しっぱなしだ。ごみは散乱していないが袋の容量は8割うまってて、ペットボトルはこぼれかけてる。洗濯物はたたんであるがしまわれていない。ソファの1/3を占拠している。風呂は昨日の夜はパスして今朝済ませた。ニュースは今週見えなかった気象予報士のお姉さんの動向が気になる、仕事は別に大戦力でもないがいないよりはマシなくらいだ。でも部屋は整頓してある。散らかってはいない。仕事は別にやりがいも目標もないが少しの贅沢は別に厭わない程度だ。好きなものにも囲まれている。つい先日憧れのギターが届いて丁寧に弾き倒しているところだ。  
これは…

 大人って何だろう。内面の私はなんてなにもできない人間なんだと嘆く。外面の私はようやく自信を持ててきたと嘯く、素直になってきて楽しいと。

 大人という仮面を、一つ数字を重ねるごとに増やしていく。そうそれは年を重ねるごとにむしろ繊細になっていく心を守る鎧であるかのように。自分で作った‘’大人のようなもの‘’の鎧をかぶって今日も過ごす。多分これから一生。大人のフリ。重たいからやんない方がいいよねこんなの。別に縛られる必要ないじゃん自分の思う"大人"になんて。

じゃあなんでJさんは大人のフリをするの?

……。そういうこと。あなたにそう思われたいから。大事な人にそうふるまっている自分が好きだから。

今日30歳になる。今日も晴れて暑くなるらしい。大人だ。私はなんとでもできるから、なんでもできるから。

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